オンネトー

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ファイル:Yunotaki fall.JPG
北側にある湯の滝、黒っぽいものが酸化マンガン

オンネトーは、北海道足寄郡足寄町東部・阿寒国立公園内にあるである。名前はアイヌ語で「年老いた沼」あるいは「大きな沼」の意味である。

地理

阿寒国立公園内に位置する。雌阿寒岳の噴火により西麓の螺湾川の流れが止められてできた堰止湖で、湖水は酸性魚類は棲めないが、エゾサンショウウオザリガニが棲息する。湖面は刻々と色を変えることから五色沼の別名もある。波のない時は雌阿寒岳阿寒富士を映し出す。阿寒湖から近い湖沼だが、流出河川の螺湾川は西方の十勝方面へと流れる。

観光・利用

オコタンペ湖東雲湖とともに北海道三大秘湖の一つとされているが、湖畔には散策路が設けられ、国設野営場もあるなど、他の2つと比べると周辺の整備は進んでいる。オンネトー野営場と雌阿寒温泉は、雌阿寒岳の登山口となっている。北東に約2km進んだ雌阿寒温泉には、国民宿舎ユースホステル民宿がある。

オンネトー湯の滝

オンネトー湯の滝(オンネトーゆのたき)は、オンネトー湖の南東方向にある2つのである。天然記念物日本の地質百選の1つである。

雌阿寒岳と阿寒富士の西麓のアカエゾマツ林内に位置し、雌阿寒岳由来の温泉水(水温43度、pH6、Mn2+を3.05ppm含む)が湧き出て、高さ20mほどの2条の滝となって安山岩溶岩の崖を流れ落ちている。かつては滝上の池が天然の露天風呂として利用されたが、微生物によって酸化マンガンを生成する現象が発見され保護のため入浴禁止となった。無料の露天風呂が別に作られたが、それも入浴禁止となった。

歴史

1953年頃、辺りにはマンガン鉱山があり3500トンのマンガン鉱石が採掘された[1]。北海道大学の針谷教授が、形成中の鉱床であることに気づいた。1989年に学術調査が行われ、温泉水から微生物(糸状藻類とマンガン酸化細菌)がマンガン鉱物を生成する「生きている鉱床」であること、それは陸上においては「世界唯一の場所」であることが分かった。マンガン鉱物の析出は数千年前から継続していると考えられ、近年では年間1トン程度の生成とされる[1]

1992年には、万国地質学会議の出席者らによる視察、1995年には、日独共同研究講演会が行われた。翌年、滝の近くに小屋などが設置された。

2000年9月6日には「オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地」として国から天然記念物の指定(文部省告示 第144号)を受けた。1985年ごろより人為的に池にナイルティラピアが放流された。その後もグッピーなどの熱帯性淡水魚が放流され、それらの魚が越冬して繁殖して藻類を食べつくしてしまい、マンガン泥の生成量が減少してしまうことが問題視されるようになる。1999年よりポンプで池を排水して数千匹の外来魚を駆除するなど大掛かりな対策が毎年実施されているが、熱帯魚を根絶するに至っていない。2010年には環境省職員らがテラピア1800匹、グッピー7500匹を捕獲している[2]

現象

マンガン酸化物が沈殿するための3条件がある。

  • 原水中のMn2+濃度が高いこと
  • 原水が無菌的であること
  • 有機物の提供があること

湧き出る温泉水が上2つの条件を満たし、残りの条件は、崖にある糸状藻類が、マンガン酸化バクテリアに有機物を供給することで満たしていると考えられる[3]。泉源と滝斜面のシアノバクテリア(藍藻類)が光合成によって酸素を放出し、マンガン酸化菌がその酸素と温泉水中のマンガンイオンより二酸化マンガンを生成する。生成された二酸化マンガンは泥状となり池や滝の周囲に溜まっている。

交通アクセス

足寄市街地から東へ約50km。国道241号北海道道949号オンネトー線を経由する。夏期は阿寒湖畔からバス(所要時間30分)が運行されている。

オンネトーの滝へは、オンネトー湖の南にある駐車場からの遊歩道(湯の滝コース、1.4km)を歩くとあり、滝と共に小屋・トイレもある。なお、ヒグマの出没地域であり、注意・対策が必要である。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 1.0 1.1 国指定文化財等データベース(文化庁)
  2. 外来魚から「湯の滝」守れ 足寄で水抜き駆除作戦 『北海道新聞2010年10月16日朝刊 第4社会面
  3. 竹松伸『マンガン団塊-その生成機構と役割』恒星社厚生閣 p95,96