オレンジの種五つ

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テンプレート:Portal テンプレート:Infoboxオレンジの種五つ」(オレンジのたねいつつ、原題:"テンプレート:En")は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち5番目に発表された作品である。『ストランド・マガジン』1891年11月号初出。1892年発行の短編集『シャーロック・ホームズの冒険』(The Adventures of Sherlock Holmes) に収録された[1]

あらすじ

依頼人が事件に巻き込まれて殺害され、ホームズは犯人を(結果的に)捕らえることができなかった事件である。

1887年に起こった事件と強く示唆されているが、1888年または1889年に起こったと考えている研究家もいる。

依頼人であるジョン・オープンショーの伯父と父がクー・クラックス・クラン(K.K.K)に脅迫、殺害され、ジョンのところにもオレンジの種が5つ入った脅迫状が届いた。ホームズはなんとか被害を食い止めようとするが、ジョン・オープンショーは翌朝死体で発見されてしまう。

K.K.Kによる殺害であると直感したホームズは、脅迫状の消印から彼らが船乗りであることを推理し、その日1日かけて犯人たちの乗った船を探し当てる。その船の到着に合わせて、オレンジの種が5つ入った復讐の手紙を彼らに送りつけようとするが、彼らの船は嵐に巻き込まれてしまい、ホームズの手紙は彼らの元には届かなかった。

ホームズを出し抜いた女性

「オレンジの種五つ」には、「これまで4回失敗し、そのうち1回が女性 (a woman) によるものだった」というホームズの発言がある[2]。このホームズを唯一出し抜いた女性は、「ボヘミアの醜聞」に登場するアイリーン・アドラーのことだと考えられている[3][4]

しかし、「ボヘミアの醜聞」冒頭にはアイリーン・アドラーのことを、ホームズはいつも「あの女性 (the woman)」と呼ぶ[5]という記述があるため、別人のことを指すとする解釈もある。この別人説では、女性 (a woman) とはホームズが失敗した「黄色い顔」の事件に登場する、エフィー・マンローのことだとしている[6]

脚注

  1. ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』日暮雅通訳、河出書房新社、2002年、75-76頁
  2. 原文 I have been beaten four times – three times by men, and once by a woman
  3. 増永浩之「失敗」『シャーロック・ホームズ大事典』小林司・東山あかね編、東京堂出版、2001年、321-322頁
  4. 翠川こかげ「アイリーン・アドラー」『ホームズまるわかり事典 『緋色の研究』から『ショスコム荘』まで』平賀三郎編著、青弓社、2009年、12-14頁
  5. 原文 To Sherlock Holmes she is always the woman. I have seldom heard him mention her under any other name.
  6. ギャヴィン・ブレンドの説。 - コナン・ドイル著、ベアリング=グールド解説と注『詳注版 シャーロック・ホームズ全集3』小池滋監訳、筑摩書房〈ちくま文庫〉、1997年、356-358頁

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