オリオンビール

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テンプレート:複数の問題 テンプレート:Infobox オリオンビール株式会社は、日本の大手ビールメーカー。沖縄県に本拠を置く。ビールのブランドである「オリオンドラフト」を指して「オリオンビール」と称することもある。シェアでは日本国内第5位。

概要

日本のビール大手5社(麒麟麦酒アサヒビールサッポロビールサントリー・オリオンビール)中のシェアは0.9%と圧倒的最下位であるが、沖縄県では最大のシェアを誇り、本土復帰直前の最盛期には県内市場の9割[1]、ないし8割以上を押さえ[2]、現在でも5割を超すシェアをもつとされ[3]、いわば「県民ビール」として定着している。沖縄県内シェアは、オリオンビールによれば55-56%(2003年(平成15年)度実績、アサヒビール委託分を除く)。

2005年(平成17年)度の売上構成はビール・発泡酒類99%、清涼飲料水1%となっている。沖縄本島北部の名護市に唯一の生産工場を持ち、そのため「名護ぬ水小(なごぬみじぐぁー)=名護の水」とよばれている。沖縄県では大手の企業であるため、文化事業(各種イベント)等の協賛にも寄与している。沖縄県のイベントのほとんどに協賛しており、オリオンなくしてイベントは成り立たないといわれている。また、これらのイベントがアーティストの発掘や育成につながっており、文化創造に大きな役割を果たしている。最大のイベントはオリオン・ビアフェスト(ビアフェスト)である。

歴史

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オリオンビール名護工場

アメリカ合衆国統治下の1957年(昭和32年)5月18日に、社会経済復興には第二次産業(製造業)を興さなければいけないという志から、当時から名水が湧出していた名護町(現在の名護市)で沖縄ビール株式会社として設立された。当時の資本金5000万B円。1957年5月時点での日本円とのレートは3円 = 1B円だったため、現在は創立時は資本金1億5000万円と表記されることがある。

同年11月1日にブランド名を県民に懸賞金付募集広告として新聞で公募を行い「オリオンビール」と名付けられた。ちなみに賞金は1等1万B円、2等3,000B円、3等2,000B円、当時としては破格の高額だった。なお、「募集広告」と「命名決定・賞金授与者」の各告知広告のコピーは名護工場の見学コースに掲示してある。その後、1959年(昭和34年)6月に社名も「オリオンビール」に変更した。

1959年に生産開始。当初は他の日本の大手ビールの勢力が強く、苦戦するが、製品をそれまでのドイツ風ビールから、沖縄の気候を考慮して[4]、アメリカ風ビールに切り替えると共に、県内全域で営業活動を行った結果[1]、県内シェア1位となる。

1972年(昭和47年)本土復帰の際、期限付きで沖縄県内のみ酒税が減免される優遇措置がとられたため、これもオリオンビールに有利に働いた。優遇税率は5年間の時限措置だったが、5年ごとに見直されるだけで延長が繰り返され、現在も県内出荷向けに限り、ビールが本土の酒税と比べて20%軽減されている。軽減額は、2004年(平成16年)度実績でビールが約14億円。

当初はビールのみを製造していたが、他のビールメーカーが発泡酒などで攻勢をかける中、多品種のビール、発泡酒、ソフトドリンクなどを発売して応戦し、多品種少量生産となって生産コストが上昇した。また、販路拡大のためには、税の優遇がなく、輸送費がかかる本土(または海外)への進出が必要になるが、拡大戦略はなかなか進まなかった。

そのような中、2002年(平成14年)の酒税優遇措置再延長の議論の際、自民党税調および財務省からの発言で、2007年(平成19年)5月での優遇措置廃止が既定路線となっていた。実際には知事交代により5年間再延長された。優遇措置廃止は即ち価格競争力の低下を意味するため、2002年(平成14年)に大株主でもあるアサヒビールと提携関係を結ぶこととなった。現在は、オリオンビールが沖縄消費分のアサヒスーパードライの一部商品を生産し、アサヒビールが沖縄県外(奄美群島を除く)でのオリオンビールの一部商品の販売を行うようになっている。近年では、県外でもアサヒビールのルートを通じ販売され、また、沖縄料理店を中心にオリオンビールが提供されることが多くなっており、2013年のインタビューで、関係者は「県外向けの出荷量は、ここ6年間で倍増しました」と述べている[4]

銘柄

2013年(平成25年)8月現在)

自社ブランド

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グラスにつがれたオリオンビール。2007年4月にリニューアル時に、上部の濃い金色の部分が、背景色と同じ色になる小変更が行われている

ビール

  • ドラフトビール - 2007年4月に味とデザインをリニューアル。沖縄・奄美群島以外では「アサヒオリオンドラフト」としてアサヒビールが販売。
  • いちばん桜(季節限定醸造ビール) - 毎年年明けから春の時期に限定発売される。2002年(平成14年)度から販売されているが、2004年(平成16年)度まではドラフトの季節デザインだった。2005年(平成17年)度以降は季節限定醸造ビールとなり、2006年(平成18年)度以降は麦芽100%(アロマホップ)になった。2012年(平成24年)度には、缶デザインを白基調から水色基調に一新している。2010年(平成22年)度から、350ml缶に加え、中瓶も販売されているが、中瓶は背景色が白で、デザイン変更はされていない。なお2013年(平成25年)度以降それまでより早く前年末から発売されている。
    • 2009年(平成21年)より、沖縄・奄美群島以外でアサヒビールが「アサヒ オリオンいちばん桜」として数量限定で販売されている。
  • 夏いちばん(季節限定醸造ビール) - 2013年(平成25年)より夏季限定で発売されている、いちばん桜の夏バージョンともいえる商品。原料は麦芽、ホップ、米。ドラフトビール比で麦汁を1.2倍とし、丁寧にうまみを抽出しているほか、ホップはアロマホップを100%使用し、夏にふさわしい爽やかな味わいに仕上がっている。ラインナップは350ml缶のみ。
    • 2014年(平成26年)より、いちばん桜同様アサヒビールが「アサヒ オリオン夏いちばん」として数量限定で販売を開始する。

発泡酒

  • 麦職人
  • 麦職人デラックスタイム

第3のビール

  • オリオンサザンスター - リキュール類。「第四のビール」ともいう。
  • オリオン麦の雫 - 同上。2012年10月発売。

上記2製品は沖縄・奄美諸島以外ではアサヒビールが販売(初夏時期に期間限定・350ml缶のみの販売)。

  • オリオンゼロライフ - 同上。2011年(平成23年)より販売開始。糖質0・プリン体60%オフの機能系新ジャンル。『平成23年度沖縄県推奨最優秀優良県産品賞』受賞商品。
  • オリオンスペシャルエックス - 同上。発泡酒として販売されていた「オリオンスペシャル」の実質的な後継商品。

アサヒビールとの共同開発商品

  • オリオン ちゅらたいむ

オリオンビールとアサヒビールの共同開発で沖縄・奄美諸島以外ではアサヒが「沖縄だより」として発売。発売初年の2013年はオリオン側での発売はなかったが2014年よりオリオン側でも発売を開始することになった[5]第3のビール。(期間限定・350ml缶のみの販売)。

アサヒビールからの委託製造商品

  • アサヒスーパードライ(350ml缶、500ml缶、10L樽、20L樽のみ委託製造。ただし中瓶、大瓶、特大瓶は沖縄県下ではアサヒビール博多工場製の物を販売)

ビールテイスト飲料

  • オリオン クリアフリー

ソフトドリンクシリーズ

  • オバァ自慢のさんぴん茶
  • 茶願寿
  • ORIONレモンティー
  • ORIONトマトジュース
  • ORION烏龍茶
  • ORIONアクアビート

関連会社

関連項目

出典・脚注

  1. 1.0 1.1 テンプレート:Cite news - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  2. テンプレート:Cite news - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  3. テンプレート:Cite news - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  4. 4.0 4.1 テンプレート:Cite news - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  5. 参照リンク
  6. 2006年3月31日まではホテル西武オリオン。

外部リンク

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