ウィトルウィウス

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『建築について』をアウグストゥスに披露するウィトルウィウス(右)。1684年の絵画

マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオテンプレート:Lang-la, 紀元前80年/70年頃 - 紀元前15年以降)は、共和政ローマ期に活動した建築家・建築理論家である。『建築について』(De Architectura、建築十書)を著した。この書物は現存する最古の建築理論書であり、おそらくはヨーロッパにおける最初の建築理論書でもある。

ウィトルウィウスについては、『建築について』の著者であること以外には知られず、その出生年、没年、家系は不詳である。ただし著作からは彼が建築家であることは明らかであり、またアフリカ戦争時にガイウス・ユリウス・カエサルの下で勤務し、アウグストゥスに仕えたことが確認できる。著作によって名声を得ようとしたようであるが、彼の『建築について』がローマ建築にどのような影響を与えたかは定かではない。

『建築について』はおそらく紀元前30年から紀元前23年の間に書かれたと推測される。この書において最も知られた理論は、ある建築が成功するかどうかは、職人の技や形式ではなく、建築家の仕事が社会ともつ相関性に依存するというものである。また、「よい建築は、堅固さ、快適さ、快という3つの条件によって成り立つ」とする定式は多くウィトルウィウスに帰せられるが、これが直接彼の理論であるか、それとも翻訳者による敷衍であるかどうかについては議論がある。

『建築について』が現在に伝わるのは、カール大帝によるカロリング朝ルネサンスの賜物である。他のラテン語著作と同様、このとき作られた多くの筆耕本によって、この本は伝えられた。現在残る写本は、その多くがこのときに製作された写本のひとつ、大英博物館図書室所蔵ハーレイ写本2767番を定本としている。ウィトルウィウスの理論は中世においても知られていたが、ルネサンス期の建築家に特に注目され、新古典主義建築に到るまで古典的建築の基準として影響を与えた。

ウィトルウィウスは『建築について』の中で水車について論じている。古代ギリシアにおいて、水車とは水平に流れる小川の流れを利用して作動させる横向きの車輪を意味し、滝のように落下する水の力を利用して作動させる現代的な水車は知られていなかった。ウィトルウィウスは『建築について』において後者の水車を紹介し、こちらを用いることでより強力な水力を活用できることを、ヨーロッパで初めて提唱した。そして、西洋では現代に至るまでこちらの水車が一般的なものとして受け継がれている。このことから、水を縦に落として作動させる形式の水車は、横向きのギリシア型・ノルウェー型と対比して、ウィトルウィウス型と呼ばれている。

関連項目

参考文献

  • 『ウィトルーウィウス 建築書』(東海大学古典叢書、著:ウィトルーウィウス、訳註:森田慶一)
  • 『ウィトルーウィウス 建築書』普及版(東海選書、著:ウィトルーウィウス、訳註:森田慶一、ISBN 9784486005025)
  • 『世界建築辞典』(鹿島出版会、著:ニコラス・ペヴスナー他、訳:鈴木博之、ISBN 9784306041615)

外部リンク

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