アーンショーの定理

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テンプレート:出典の明記 アーンショーの定理(アーンショーのていり、テンプレート:Lang-en-short)は、任意の電荷のない領域において静電場が存在するとき、その領域に荷電粒子をおいた場合、粒子は安定なつり合い状態を維持できないというものである。名称はテンプレート:仮リンクによる。

これは電位 φ(スカラー量)が、先の任意の領域で、ラプラス方程式

<math> \Delta \phi = 0 </math>

を満たす調和関数であるとき、その領域内で電位 φ は極大、極小を持たないということ(ただし、領域の境界は除く。また鞍点の存在は可能)を意味する。右辺が値を持つ場合はポアソン方程式と呼ばれ、この場合は領域内で φ の極大値が許される。

この定理は、静電場だけでなく磁石と磁性体のみからなる静磁場でも成り立つ。すなわち、アンペールの法則では磁場 <math>\vec{B}</math> の周回積分が積分路を貫く電流 <math>\mu_0 \vec{i}</math> に等しくなるが、巨視的電流が存在しない系では磁場

<math>\vec{H} = \frac{\vec{B}}{\mu_0}-\vec{M}</math>

はスカラポテンシャルを持ち、ラプラス方程式を満足する。

直感的な証明

アーンショーの定理を、静電場を使い直感的に証明すると以下の通り。

いま、スカラポテンシャル場 φ があるとすると任意の点において電場 <math>\vec{E}</math> は

<math>\vec{E} = - \mbox{grad} \, \phi</math>

と書ける。考えている領域内のある点で φ の極大があったと仮定する。その極大点を取り囲む小さな閉曲面を考える。すると、その閉曲面近くの電場ベクトルは必ず閉曲面を内から外へ貫く。勾配 grad φ が φ の極大点近傍では極大点に向かうためである。

すると ガウスの法則

<math>\iint \vec{E} \cdot \hat{n} ds = \frac{q}{\epsilon_0}</math>

より、閉曲面で E を積分した値が正の値をとり、内部には電荷が存在することになり仮定と矛盾する。テンプレート:Physics-stub