お犬の方

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お犬の方(おいぬのかた、? - 天正10年9月8日1582年9月24日))は、戦国時代の女性。尾張国の武将織田信秀の娘で、織田信長の妹、の姉(妹という説もあり)。号は大野殿・大野姫、法名は霊光院。

初めは尾張国大野城佐治信方に嫁ぎ、一成を産んだが、 天正2年(1574年)に信方は戦死。このとき、兄信長より下京地子銭が送られている。犬も姉妹の市と同じく、信長に愛された妹であったという。

天正5年(1577年)に管領細川晴元の嫡男で京兆家当主の山城国槙島城主の細川昭元と再婚した。昭元との間には、細川元勝・長女(秋田実季正室)・次女(前田利常の正室の珠姫の侍女)をもうけた。天正10年(1582年)に死去。法名は霊光院。京都・龍安寺肖像画が残っており、妙心寺第四十四世月航宗津の賛文には、婦人がいかに美しかったか言葉を尽くして述べられている。

なお、東京都渋谷区恵比寿南2丁目18番にある松泉寺(臨済宗)は開基を犬と伝えているが、建立年は死後20年近く経った慶長9年(1604年)であり、開基に直接関わったわけではないと推測される。故人の没後に所縁の人物が創建に関わり、開基を故人に求める、という例があり、もしくは別所にて個人が開基に関連した寺が移転ないしは発展して、名や所在地を改めた、というケースが考えられる。いずれにせよ、同寺同地での開基に、直接当人の関係はないと思われる。