クリープ (レディオヘッドの曲)

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テンプレート:Infobox Singleクリープ」 (Creep) は、英国ロックバンドレディオヘッドの(EP「イッチ」に続く)2ndシングルと、そのタイトルトラック。1992年に発売、彼らの1stアルバム『パブロ・ハニー』(1993年)にも収録されている。バンドのブレイクのきっかけになったという点において、レディオヘッドのシングルの中で特に著名なナンバー。しばしば同時期のオルタナティヴ・ロックムーブメントにおける代表曲として、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」やベックの「ルーザー」などと共に挙げられることもある。1998年以降ライブで披露されることは少なくなっている。

プロダクション・歌詞

G–B–C–Cmの循環を繰り返すコード進行が特徴。キーをG majorと受け取るとI–III–IV–ivの進行となり、このタイプのオールディーズ調の循環は、バンドが「スコット・ウォーカーソング」と語るに一理あるものとなっている。アルペジオエド・オブライエンで、コーラスにおいて入ってくるグランジ的な激しいギタープレイはジョニー・グリーンウッドのもの。この印象的なディストーションギターを冗談めかしてエドが語るには、「ジョニーは(ギター)ペダルを限界まで上げて、この曲を糞台無しにしたがってたのさ」ということである。当初、アウトロにはピアノも入っていたが、最終的にはミックスでカットされた。

コーラスで"but I'm a Creep"(でも、俺はウジ虫だ)に帰結する、陰鬱でありながらも鮮烈な歌詞は印象的である。一部、放送禁止用語のためにアメリカなどでは歌詞を変える必要があったので、シングル版では若干の手直しを施され、禁止用語が差し替えられている。

バックグラウンド

クリープはトム・ヨークによってエクセター大学在学中、アコースティック形式で作曲された。トムのエクセター卒業後、トムから初めてそれを聞かされたコリン・グリーンウッドは「あの瞬間、自分の人生が決まったように思った」と感激したという。ジョニーは「クリープは学生時代にトムのバンドのギグを見に来たある女の子にインスパイアされてトムが書いたもの」と語っている。

レディオヘッドが『パブロ・ハニー』を作成するにあたって、バンドはプロデューサーであるショーン・スレイドとポール・コルデリーにこの曲を「スコット・ウォーカーソング」と紹介して披露した。会話のあやで初めショーンらは、バンドが本当にスコット・ウォーカーの曲のカバーを披露していると思いこみ、(『Exit Music』など)ショーンは「フックがあって使えそうな曲」だったので、バンドの演奏を褒めながらも内心残念がった。しかしその後のミーティングでこれは勘違いだと分かり、晴れてクリープはレディオヘッドの曲として録音されることになる。

発表後

当初は歌詞に頻繁に出現する放送禁止用語が原因で、ラジオでも殆ど放送されなかった。しかし本国イギリスではなくまずイスラエル、そして米国でヒットし、その後イギリスでも火がついた。

「クリープ」は間違いなくバンドのブレイクのきっかけになったナンバーだが、活動の足枷となった曲でもあった。リリース後のライブでは「クリープ」を目当てに見に来る客がほとんどで、ライブで披露する新曲は注目されなかった。実際メディアに煽られてクリープに飛びついたファンの多くはそれほどレディオヘッドに忠実ではなかったため、これ以後『ザ・ベンズ』の"Street Spirit"までバンドのシングルが取り立ててヒットすることはなく、バンドの側でも難しいマーケティングを強いられることになった(『Exit Music』他)。また、多くの本国やアメリカのプレスやメディアは、レディオヘッドに「クリープだけの一発屋」という評価を下した。このような状況は2nd『ザ・ベンズ』をリリースするまで延々と続き、一時期バンド内や仲間内では、「クリープ」を「crap(ゴミ)」と呼び合うジョークを使っていたほどだった。

ミュージックビデオ

ビデオは地元オックスフォードのクラブで撮影された。EMIによるレディオヘッドの公式映像としてはこのビデオが初である。

その他

脚注

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