ときわ公園
ときわ公園(ときわこうえん)とは、山口県宇部市に所在する常盤湖を中心とした都市公園(総合公園)である。条例上の名称は、常盤公園[1]。
目次
概要
渡辺祐策らにより寄贈された常盤湖周辺の土地をもとに、宇部市が1925年(大正14年)に開設した。入園料は無料[2]。自転車の乗り入れは禁止で、遊園地内はペットの連れ込みも禁止されている。財団法人宇部市常盤遊園協会が管理を行っている。
園内には四季の花が植えられており、春には桜、初夏には菖蒲、秋には菊が見られる。また、公園のシンボルであるペリカン(人工孵化により誕生したカッタくんもいた)などの鳥類が常盤湖で飼育されているほか、動物園ではサルを中心に様々な動物が飼育されている。なお、ペリカンとともに公園のシンボルであったハクチョウは、2011年2月に発生した高病原性鳥インフルエンザの感染拡大を防ぐため、全て殺処分された。
国の登録記念物に登録されており、NHKの「21世紀に残したい日本の風景」総合公園の部で1位に選ばれたほか、日本の都市公園100選、日本さくら名所100選、美しい日本の歩きたくなるみち500選にも選ばれている。
常盤公園という漢字表記が広く使われているが、公式ホームページ等では「ときわ」とひらがな表記になっている。なお、かつて宇部市交通局のバス停(「常盤公園」「常盤公園入口」)は漢字表記を用いていたが、2010年(平成22年)10月1日のダイヤ改正と同時にそれぞれひらがな表記に改称している[3]。
沿革
- 1698年(元禄11年) - 常盤池築堤。
- 1920年(大正9年) - 湖岸の別荘地にサクラが植樹される。
- 1924年(大正13年) - 渡辺祐策らが常盤湖周辺の土地購入活動を開始。
- 1925年(大正14年) - 渡辺祐策らにより寄贈された常盤湖周辺の土地をもとに、宇部市が常盤公園を開設。
- 1937年(昭和12年)
- 1月 - 常盤池西側一帯の地区(現在の湖水ホールからスポーツ広場付近までの地区)にゴルフ場兼飛行機不時着陸場が計画。
- 7月 - 宇部ゴルフ興業株式会社がゴルフ場開発用地を買収(その後計画は中止)。
- 1955年(昭和30年) - 市民募金をもとに「宮大路動物園」が宇部市松山町1丁目(現在の宇部市勤労青少年会館敷地)に開設。
- 1956年(昭和31年) - 宇部市が常盤公園の総合公園としての整備を都市計画決定。
- 1957年(昭和32年) - オランダの動物園より白鳥20羽を導入。
- 1958年(昭和33年)6月 - 常盤公園遊園地が開園。
- 1959年(昭和34年)4月 - 常盤遊園地に西日本初のジェットコースター設置。
- 1961年(昭和36年) - 第1回宇部市野外彫刻展が開催。
- 1962年(昭和37年)から1964年(昭和39年) - 宮大路動物園が常盤公園に移設。
- 1965年(昭和40年) - 宇部常盤サボテンセンターが開館。
- 1967年(昭和42年)3月 - インドのカルカッタよりモモイロペリカン10羽を導入。
- 1968年(昭和43年)
- ペリカン島完成。
- 10月 - 国民宿舎「常盤荘」が開館。
- 1969年(昭和44年)11月1日 - 石炭記念館完成。
- 1970年(昭和45年)11月1日 - 石炭記念館のモデル炭鉱が完成。
- 1985年(昭和60年)7月 - 日本で初めてペリカンの人工孵化に成功。このとき生まれたペリカンが「カッタくん」と名付けられ、後に有名となる。
- 1987年(昭和62年) - 日本動物園水族館協会から繁殖賞を受賞。
- 1991年(平成3年)
- 湖水ホールが開館。
- 9月27日 - 台風19号により宇部常盤サボテンセンターのドーム全体の約70%にあたるガラス及び鉄骨が破損し、修復不可能となる。
- 1992年(平成4年) - 白鳥大橋が開通。
- 1995年(平成7年)4月1日 - 熱帯植物館が開館。
- 2001年(平成13年) - 入園料が無料となる。
- 2007年(平成19年)9月29日 - 緑と花と彫刻の博物館(ときわミュージアム)が開館。
- 2008年(平成20年)
- 2010年(平成22年)
- 1月14日 - 2009年のTOKIWAファンタジアのイルミネーションコンテストに展示された、10,482本のペットボトルを用いて作られた高さ7.39mのタワーが、「ボトルで作る世界一高い彫刻」としてギネス世界記録に認定。
- 1月26日 - ときわ遊園地の管理会社であるサノヤス・ヒシノ明昌と、秋吉台サファリランドの運営会社である田中金属が連携協定を締結。
- 7月2日 - やまぐちフラワーランドと連携協定を締結。
- 7月13日 - 下関市立しものせき水族館(海響館)と連携協定を締結。
- 7月31日 - 周南市徳山動物園と連携協定を締結。
- 2011年(平成23年)
行事・イベント
- 4月第1日曜日 - さくらまつり
- 6月中旬日曜日 - しょうぶまつり
- 8月下旬土曜日 - ときわサマーフェスタ
- 10月上旬〜11月中旬(隔年開催) - UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)
- 11月上旬 - 宇部市菊花コンクール・山口県菊花コンクール
- 12月 - ときわファンタジア
- 2008年(平成20年)から開催。一般公募のイルミネーション作品の展示や観覧車の夜間営業が行われる。
入園者数
年間入園者数は、かつて最大で70万人を記録したこともあったが、レジャーの多様化が進展し減少しつつある。この状況を解消するため、TOKIWAファンタジアなどの各種イベント・キャンペーンを年間を通じて行った結果、2009年度(平成21年度)の入場者数は4年ぶりに増加に転じ、412,000人となった。
入園者数は以下の通り。
年度 | 利用者数(増減) | 主な出来事 |
---|---|---|
1999年度 | 392,176 | |
2000年度 | 390,488(▼1,688) | |
2001年度 | 405,154(△14,666) | 入園料無料化、駐車場有料化に伴い集計方法変更。 |
2002年度 | 418,000(△12,846) | |
2003年度 | 473,000(△55,000) | |
2004年度 | 423,000(▼50,000) | |
2005年度 | 437,000(△14,000) | |
2006年度 | 388,000(▼49,000) | |
2007年度 | 384,000(▼4,000) | |
2008年度 | 375,000(▼9,000) | 国の登録記念物(名勝地関係)に登録。TOKIWAファンタジア開始。 |
2009年度 | 412,000(△37,000) |
主要施設
緑と花と彫刻の博物館
公園内にあった宇部市野外彫刻美術館と宇部市熱帯植物館、湖水ホール内の彫刻展示室が統合され、2007年(平成19年)に開館した。市民から公募された愛称として、ときわミュージアムが与えられている。
- 詳細は、「緑と花と彫刻の博物館」を参照。
ときわ遊園地
- 入場料 - 無料
- 営業時間
- 3月16日から10月15日(夏時間) - 9時30分から18時
- 10月16日から3月15日(冬時間) - 10時から17時
- 休園日 - 毎週火曜日(祝日の場合は翌日に振替、ゴールデンウィーク、春、夏、冬休みは除く)
- 遊園地内5箇所の設置された自動販売機または売店、事務所で「のりもの券」と「のりもの回数券」が販売されており(のりもの回数券は自動販売機のみ)、各アトラクション・のりものごとに料金が設定されている。
- サノヤス・ヒシノ明昌が管理を行っている。
のりもの券の種類
- のりもの券 - 100円券、200円券、300円券、400円券
- のりもの回数券 - 一綴り1,000円(券は1,100円分)
アトラクション・のりもの
- スーパーローラーコースター
- スカイダンボ
テンプレート:Col-begin テンプレート:Col-break
- カッタ君観覧車
- アストロファイター
- アモーレエキスプレス
- メリーゴーランド
- 子供汽車弁慶号
- ロックンロール
- レッツゴートーマス
- なかよしキッズランド
- おとぎの城
- 妖怪寺
- トランポリン
石炭記念館
- 入館料 - 無料
- 開館時間 - 9時から16時50分
- 休館日 - 年末年始(12月29日から1月1日)
石炭鉱業は宇部市の発展の礎であり、公園周辺も採炭の現場のひとつであったことなどから、地元政財界と多くの市民の寄付により、1969年(昭和44年)11月1日に開館した。翌1970年(昭和45年)11月1日には炭鉱内部の様子を再現したモデル炭鉱が完成している。
館内には石炭の採掘・加工の様子を説明する模型や当時使用されていた器具類、採掘現場で発見された化石など約3,000点が展示されており、屋外には矢弦車や坑内石炭運搬車、D51形蒸気機関車(18号)等が展示されている。
また、展望台はかつて見初炭鉱で使用されていた竪坑櫓を移設したものに、エレベーターを設置して利用しているものである。
- 建築概要
- 構造 - RC造
- 規模 - 地上2階
- 延床面積 - 748.65m2
- 高さ(展望台) - 地上37m、海抜65m
ときわ湖水ホール
- 開館時間 - 9時から22時(17時以降は施設利用予約がある場合のみ)
- 休館日 - 年末年始(12月29日から1月1日)
ときわ公園東駐車場に隣接し、大展示ホール(400名収容)やミーティングルーム(70名収容)、会議室、彫刻展示室、湖水レストランなどを備える。宇部市内においては初めて建築設計競技が実施された公共施設である。
- 建築概要
- 設計 - MA建築設計室
- 施工 - 高砂工務店、新光産業JV
- 構造 - RC造
- 規模 - 地下1階地上1階
- 敷地面積 - 22,133.45m2
- 建築面積 - 2,110.15m2
- 延床面積 - 2,849.63m2
ときわレストハウス
- 開館時間 - 9時から17時(焼肉レストランは22時まで営業している)
- 休館日 - 年末年始(12月29日から1月1日)
ときわ公園中央駐車場に隣接し、施設内には団体休憩室や焼肉レストラン(焼肉広場ボンボン)、甘味処あんみつ姫などがある。
ときわ湖畔北キャンプ場
- 使用料 - 無料
- 面積 - 約2,000m2
- 収容人数 - 約100名
- テントサイト数 - 15
- 開設期間 - 通年
ときわ公園北駐車場(約100台)・ときわ公園スポーツ広場が隣接し、利用日3ヶ月前の月初めから申し込みが可能(土・日・祭日を除く)。
かつて存在した施設
- サボテンセンター
- 国民宿舎
特色
彫刻
「自然と人間の接点としての芸術を」という市民の願いに端を発し、1961年(昭和46年)に宇部市野外彫刻展が開催されて以降、現代日本彫刻展、UBEビエンナーレと名を変え、隔年で彫刻展が開催されている。現在では、神奈川県の箱根彫刻の森美術館とともに国内の双璧をなすと言われている。
ときわミュージアムの野外彫刻展示場の他、園内各所にUBEビエンナーレの受賞作品を始め、90点を超える様々な作品が常設展示されている。
園内で常設展示されている彫刻の一覧
作品名 | 作者 | 年 |
---|---|---|
蟻の城 | 向井良吉 | 1962年 |
PONKO94 | 本郷重彦 | 1991年 |
杜 | 長廣隆次 | 1991年 |
宇宙の風景I | 楠田信吾 | 1991年 |
無題No.95 1985 | 田中米吉 | 1985年 |
重力空間-赤 | 内田晴之 | 1997年 |
光影体 | 鎌塚昌代司 | 2001年 |
森 | 長廣隆次 | 1985年 |
風になるとき | 西野康造 | 1997年 |
坑夫 | 荻原守衛 | 1907年 |
SUN SADDLE'87 | 山口牧生 | 1987年 |
内なる空73-2 | 山本衛士 | 1973年 |
ロッキング・ドール | 関正司 | 1979年 |
重力質 Ring'03 | 曽我孝司 | 2003年 |
あなたと…(わすれてしまったこと) | 武荒信顕 | 1989年 |
ネジリンボウ'81-A-B | 能登原弘芳 | 1981年 |
四角な太陽I | 向井良吉 | 1977年 |
Villa TORAYAN(TORAYAN記念館) | ヤノベケンジ | 2005年 |
無題No.2-66(原題:作品) | 湯原和夫 | 1967年 |
手 | 高村光太郎 | 1918年 |
鳩 | 柳原義達 | 1961年 |
動物
- ハクチョウ
- ときわ公園が総合公園として開園した最初期のころから同園のシンボルでありつづけ、公園のみならず宇部市そのもののシンボルとしても認知されていたが、2011年(平成23年)2月6日に園内で発生した高病原性鳥インフルエンザの感染拡大防止のため、園内の全てのハクチョウが殺処分となった。テンプレート:Main
- 殺処分直前には、オオハクチョウ11羽、コハクチョウ3羽、コブハクチョウ189羽、コクチョウ136羽、クロエリハクチョウ18羽、オオハクチョウとナキハクチョウの交配種1羽が飼育されていた。これだけの数のハクチョウが飼育されていた例は国内では他になく、また国内の公園で飼育されているコブハクチョウは全て常盤公園のハクチョウの子孫である[6]。
- ペリカン
- ハクチョウと並んで公園のシンボルとなっている。日本初の人工ふ化によって生まれた「カッタくん」が近くの幼稚園などにしばしば飛来するようになり、その様子がマスコミで報道されたことで一躍全国の注目を浴びることになった。
- モモイロペリカン、ハイイロペリカン、コシベニペリカン、フィリピンペリカンの4種が、公園中央部のペリカン島を中心に飼育されている。一部のペリカンは放し飼いにされ、近隣の学校や幼稚園に飛来することもあったが、2011年に発生した高病原性鳥インフルエンザの影響で全てのペリカンに切羽処置が施され、テンプレート:要出典範囲。
- サル
- リスザル、フサオマキザル、トクモンキー、ボンネットモンキー、ニホンザル、ブラッザグエノン、パタスザル、ハヌマンラングール、シロテナガザル、アジルテナガザルの10種が公園南部の動物園で飼育されている。ボンネットモンキーは約50頭が飼育され、船型の飼養施設「ときわ丸」に2013年6月まで飼育されていた。2014年のリニューアルまで仮飼育舎で飼育される[7]。
- その他
- 動物園ではタンチョウ、クロヅル、チリーフラミンゴ、ヤクシマヤギなども飼育されている。
植物
園内には約3500本の桜をはじめ、様々な四季の花が植えられている。
- サクラ(開花時期:3月下旬 - 4月上旬)
- サクラの植樹は当地が公園として整備される以前から当時の地主らによって行われていたものであり、現在では常盤湖の周囲に約3.500本の桜が植えられている。 特に、常盤池東岸を中心としたエリアは桜の名所として知られており、日本さくら名所100選にも選ばれている。満開となる時期には「さくらまつり」が開催される。
- ショウブ(開花時期:5月下旬 - 6月下旬)
- 白鳥大橋付近に約5.300m2のしょうぶ苑が広がる。本数約8万本、品種約150種類の花菖蒲があり、6月中旬には「しょうぶまつり」が開催される。
- スイレン(開花時期:5月中旬 - 10月初旬)
- しょうぶ苑の中に約1.700m2のスイレンの池がある。
- ボタン・シャクヤク(開花時期:4月中旬 - 5月初旬)
- ときわミュージアム本館と白鳥大橋の中間付近に位置するぼたん苑に、約200株のボタン・シャクヤクが植えられている。
- フジ(開花時期:4月下旬 - 5月初旬)
- 園内4箇所に藤棚がある。ペリカン島付近に位置する面積約1,300m2のものが最大で、約100mのトンネルがある。
- ヒラドツツジ(開花時期:4月下旬 - 5月中旬)
- 公園全体に多く植樹されているが、特に白鳥湖付近には数多く植えられている。
- アジサイ(開花時期:5月下旬 - 6月下旬)
- しょうぶ苑付近にあじさい苑があり、約1,500株のアジサイが植えられている。
- シャクナゲ(開花時期:4月中旬 - 5月初旬)
- ぼたん苑から約50mの位置にシャクナゲ苑があり、約300株のシャクナゲが植えられている。
- ウメ(開花時期:2月中旬 - 3月中旬)
- 常盤湖の東岸にある桜山に、約100本のウメが植樹されている。
- ラン
- ときわミュージアム本館ラン室に植えられている。
- サボテン
- ときわミュージアム本館サボテン室では、南米産の玉サボテンや柱サボテン、うちわサボテンなど約260種3,700株のサボテンを自生地に近い景観で見ることができる。
- 熱帯植物
- ときわミュージアム本館熱帯植物室に植えられており、 パパイヤ・バナナ・マンゴーなどの熱帯果樹やブーゲンビレア・パイプカズラなどの熱帯花木、トックリキワタ・マホガニーなどの有用植物など約260種3,700株の熱帯植物を見ることができる。
交通アクセス
鉄道
バス
- 宇部市営バス常盤公園バス停(正面入り口前)
- 宇部市交通局常盤公園入口バス停から徒歩5分。
車
駐車場
駐車場は、入園料が無料になった2001年(平成13年)4月に有料化された。2010年(平成22年)8月現在、普通車1回400円、大型バス1回1,600円である。
収容台数
- 正面駐車場(常盤公園正面入り口前) - 67台
- 西駐車場(ときわミュージアム横) - 192台
- 東駐車場(ときわ湖水ホール前) - 約630台(臨時東駐車場を含む、大型バス可)
- 中央駐車場(ときわレストハウス横) - 129台(大型バス可)
- 北駐車場(スポーツ広場横) - 約100台
- 常盤ふれあいセンター横駐車場(臨時駐車場) - 約350台
脚注
- ↑ 宇部市都市公園条例
- ↑ 2001年4月以降、入園は無料となった。2001年4月以前は、入園料が必要であったが、宇部市民には特別優待券として無料入場券が配布されていた。優待券の有無にかかわらず、アトラクションや園内施設の利用料金は別途発生していた。なお、この優待券は義務教育終了年齢以下には配布されておらず、小学生は名札、中学生は生徒手帳で宇部市民であることを示し無料で入場できた(未就学児は無料)。
- ↑ テンプレート:Cite press release
- ↑ テンプレート:Cite press release
- ↑ テンプレート:Cite press release
- ↑ テンプレート:Cite
- ↑ ボンネットモンキーお引っ越し 常盤公園動物ゾーン改装、仮施設へ : 山口 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)2013年6月11日
関連項目
外部リンク
- ときわ公園
- ときわミュージアム
- 宇部市観光コンベンション協会
- サノヤス・ヒシノ明昌 - ときわ遊園地管理会社
- 宇部市ホームページ