田子倉駅
田子倉駅(たごくらえき)は、福島県南会津郡只見町大字田子倉字後山にあった、東日本旅客鉄道(JR東日本)只見線の駅(廃駅)である。
冬季(12 - 3月)は豪雪のため閉鎖されていた臨時駅であったが、2013年3月16日のダイヤ改正で廃止された[1]。当駅から会津若松方面が仙台支社管内であったが、廃止後は隣駅であった只見駅から会津若松方面が仙台支社管内である。大白川方の六十里越トンネル内に新潟支社との境界がある[2]。
廃止前は東北地方の鉄道駅では最西端の駅であった。臨時駅ではあったが、営業キロと換算キロの設定があった。
駅構造
線路の北側に単式ホーム1面1線を有する地上駅(会津坂下駅管理)。列車が大白川方の六十里越トンネルと只見方の田子倉トンネルの間で少しだけ外に出る地点に位置していた。
ホームは南側の田子倉湖と北側の崖に挟まれた低い場所にあり、スノーシェッドに覆われていた。ホームの中ほどから北側に階段が上がっており、これを登ると駅舎を通って崖の上を走る国道に出ることができたが、駅舎の内部には階段と通路のみがあった。
駅周辺
田子倉湖畔にあり、周囲数kmには商店はおろか、自動販売機すら存在しない。駅周辺には浅草岳や鬼が面山など、奥只見の山々への登山口が点在するのみで、民家はない。大白川方向へ少し歩くと只見町が登山基地として設けた田子倉無料休憩所があり、トイレもある。
駅前を通る国道252号は、積雪のためほぼ半年間は不通となり、春先の4月や晩秋の11月などは当駅周辺へのアクセス手段が只見線の列車のみとなっていたが、只見線の列車も冬季は当駅を通過していた。また、停車する列車も1日3往復しかなかった。
これらの特徴から当駅は、いわゆる秘境駅の一つとされていた。
もっとも、秋の紅葉シーズンなどは、田子倉湖の紅葉を見ようと、主に新潟方面から多数の観光客が来訪したため、列車内はもちろん、到着時の駅周辺はかなりの混雑を見せていた。往復の列車をうまく組み合わせれば数時間の観光が可能なため、この駅を利用したツアーも企画されていた。
廃止までの経緯
2011年(平成23年)7月30日から、新潟福島豪雨により営業休止し、大白川 - 只見間が復旧した後も、当駅は通過となっていた[3]。2012年(平成24年)9月12日、JR東日本新潟支社は定例会見において、当駅を廃止する方針を表明[4]、2013年(平成25年)1月、只見町側に、同年3月で廃止する意向を伝えた。町、町議会は容認できないと反対の姿勢をとっていた[5]。
歴史
- 1971年(昭和46年)8月29日 - 日本国有鉄道(国鉄)只見線の只見 - 大白川間の開通に伴い開業。旅客のみ取り扱い。開業当初は、スノーシェルターがなかった。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化によりJR東日本に継承。
- 2001年(平成13年)12月1日 - この日行われたダイヤ改正より、12 - 3月の冬季間は全列車通過となり臨時駅に降格[6]。
- 2011年(平成23年)7月30日 - 新潟・福島豪雨により営業休止。
- 2012年(平成24年)10月1日 - 只見-大白川間が復旧するが、当駅は全列車通過となる。
- 2013年(平成25年)3月16日 - 廃止。
隣の駅
- 東日本旅客鉄道
- テンプレート:Color只見線
- ※当駅の廃止により、只見駅 - 大白川駅間の駅間距離(20.8km=営業キロ)はJR東日本管内の在来線で最長となっている(これまでは田沢湖線・赤渕駅 - 田沢湖駅間の18.1km(同)が最長であった)。
脚注
- ↑ テンプレート:PDFlink
- ↑ 仙台支社管内で支社最寄り駅である仙台駅から一番遠い駅でもあった。
- ↑ JR東日本新潟支社プレスリリース 只見線 大白川 - 只見間復旧について
- ↑ JR只見線 全線早期再開は困難 MSN産経ニュース(2012年9月13日)2012年9月13日閲覧
- ↑ JR只見線 田子倉駅 3月中旬廃止 只見町「容認できず」 福島民報県内ニュース(2013年1月16日)2013年2月3日閲覧
- ↑ この年以降、11月頃になると、仙台支社管内の駅、同支社所属の車両で運転される普通列車車内にその旨の中吊りやポスターが掲出された。