揚陸艦
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揚陸艦(ようりくかん、Landing Ship)は、人員や物資の輸送を目的とした艦船のうち、岸壁などの港湾設備に頼ることなく、自力で揚陸する能力をもった軍艦のこと。海岸に直接、もしくは自らに積載したヘリコプターやホバークラフト、上陸用舟艇を介して歩兵及び装甲戦闘車両などを上陸させる。物資や人員を素早く陸揚げすることから、揚陸艦の名が付いた。第二次世界大戦期に急速に発達した。
現在、米英では「揚陸(艦)」の用語として、空軍力による「空挺(エアボーン/ヘリボーン)」も含む「Landing(operation)」ではなく、「水陸両棲」という意味の「Amphibious」を拡張した「陸海軍共同作戦」という意味の「Amphibious warfare」、さらに「敵前での強襲」という意味合いを含む「Amphibious assault」を用いている。
発展
当初は揚陸艦が「直接海岸に乗り上げて揚陸(ビーチング)」する戦車揚陸艦(LST)が主体であったが、現在では、船型大型化と母船が陸上砲火に晒されるのを防ぐため、上陸用舟艇を積載したドック型揚陸艦(LSD/LPD)やヘリコプターによる空輸を主体とするヘリコプター揚陸艦や強襲揚陸艦(LPH/LHA/LHD)が主流となっていった。
上陸部隊を多数搭乗させ敵前に上陸させるという特質のため、多数の人員や物資を乗せる事ができ、病院設備を保有しているケースも多い。このため、災害時には物資輸送艦や病院船、避難民の収容所となる事もある。