トリウム

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テンプレート:Elementbox トリウム (テンプレート:Lang-en-short) は原子番号90の元素で、元素記号Th である。アクチノイド元素の一つで、銀白色の金属

1828年スウェーデンイェンス・ベルセリウスによってトール石 (thorite、ThSiO4) から発見され、その名の由来である北欧神話の雷神トールに因んで命名された[1]

モナザイト砂に多く含まれ、多いもので10 %に達する。モナザイト砂は希土類元素セリウムランタンネオジム)資源であり、その副生産物として得られる。主な産地はオーストラリアインドブラジルマレーシアタイ

天然に存在する同位体は放射性のトリウム232一種類だけで、安定同位体はない。しかし、半減期が140.5億年と非常に長く、地殻中にもかなり豊富(10 ppm前後)に存在する。水に溶けにくく海水中には少ない。 トリウム系列親核種であり、放射能を持つ(アルファ崩壊)ことは、1898年マリ・キュリーらによって発見された。

トリウム232が中性子を吸収するとトリウム233となり、これがベータ崩壊して、プロトアクチニウム233となる。これが更にベータ崩壊してウラン233となる。ウラン233は核燃料であるため、その原料となるトリウムも核燃料として扱われる。

性質

銀白色の柔らかい金属で、非常に延性に富む。結晶構造は面心立方格子で、1400 テンプレート:℃付近で体心立方格子へ転移する。また、融点沸点の差が大きく、液体状態をとる温度幅は2946 テンプレート:℃と元素中最大[2]

酸化しやすいが、表面に酸化皮膜が形成されるとそれ以上進行しない。空気中で加熱すると白光を発して激しく燃焼し、粉末は常温で自然発火する。高温ではほかに、水素窒素ハロゲンと反応する。純度が高ければ空気中でも安定しているが、酸化物と混合すると酸化が促進され、灰色から最終的には黒色となる。高純度の試料でも0.1 %ほどの酸化物を含んでいる。

水と反応して水酸化物を生じるが、不溶性なので不動態状となって反応は進みにくい。塩酸王水には溶けるが、硝酸には不動態被膜が形成され溶けない。ただし、濃硝酸に触媒として少量のフッ化物イオンを加えると、不動態が破られ溶けるようになる[3]。アルカリ溶液には不溶。

酸化物は、ほとんどの酸に溶けにくい[2]。塩類(塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩)は水溶性だが、塩基性にすると不溶性の沈殿を生じる。

化合物

トリウムの化合物はその酸化数が+4のとき安定となる[4]

  • 過酸化物 不溶性固体の中にわずかに存在する。この性質を利用すると、他のイオンとの混合溶液からトリウムを分離することができる[3]
  • リン酸イオンの存在下では、Th4+ はさまざまな組成の化合物を作り、どれも水や酸性溶液に不溶である[3]
  • フッ化カリウムフッ化水素酸と混ぜると、Th4+ は ThF62- のような錯イオンを作り、不溶性の塩 K2ThF6 として沈殿する[3]

同位体

テンプレート:Main トリウムの同位体は全て放射性同位体で、存在率100.00 %のトリウム232をはじめ、27種が知られている。 原子量は210 uから236 uまで[6]

ほとんどの同位体の半減期は10分以内と短く、比較的安定な以下の4種を除いて全て30日以内である。

  • トリウム230(イオニウム) ウラン238の崩壊生成物で、半減期は75380年。
  • トリウム229 励起エネルギーが7.6 eVと著しく低い核異性体を持つ[7]。半減期は7340年。
  • トリウム228(ラジオトリウム) 半減期は1.92年。

用途

危険性

  • 燃焼性:粉末状態のトリウムは自然発火性で、注意して扱うべき金属である。
  • 放射性:トリウムは半減期の長いアルファ線源であり、外部被曝より内部被曝のリスクが高い。体内に入ると、肺、すい臓、肝臓について発癌危険性がある。国際がん研究機関 (IARC) は、トリウム232とその崩壊生成物を「ヒトに対して発癌性がある」Group 1分類している[11]

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:元素周期表

テンプレート:トリウムの化合物
  1. テンプレート:Cite
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite book
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 テンプレート:Cite book
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite book
  6. テンプレート:Cite journal
  7. テンプレート:Cite journal
  8. 「写真工業」2004年9月号
  9. テンプレート:PDFlink
  10. 銀河系外の星にアクチノイド元素トリウムを初検出すばる望遠鏡
  11. テンプレート:Cite web