ヒト上科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒト上科 (Hominoidea) は、ヒトの仲間と大型類人猿をくくるサル目(霊長目)の分類群である。ヒト上科にはヒト科(ヒト科 :ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンが含まれる)とテナガザル科が含まれる[1][2]。
ヒト上科の下位分類は、従来はヒトと類人猿を科レベルで分けていたが、DNA解析等の知見により、現在ではヒト科に類人猿も含めることが一般的である。
狭鼻下目であるヒト上科がオナガザル上科から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている[3][4]。5種のヒト上科(テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ヒト)の肝臓から尿酸オキシダーゼ活性は検出されなかったが、ヒト上科以外の旧世界のサルと新世界のサルでは尿酸オキシダーゼ活性が検出された。ヒト上科の共通の祖先が旧世界のサルから分枝した際に、尿酸オキシダーゼ活性が消失したものと推定される[5]。尿酸オキシダーゼ活性の消失の意味付けは、尿酸が直鼻猿亜目で合成能が失われたビタミンCの抗酸化物質としての部分的な代用となるためである[6]。しかし、ヒトを含むヒト上科では、尿酸オキシダーゼ活性の消失により難溶性物質である尿酸をより無害なアラントインに分解できなくなり、尿酸が体内に蓄積すると結晶化して関節に析出すると痛風発作を誘発することとなる[7]。
下位分類
ヒト上科(Hominoidea)の新しい分類例
- (新しい分類には、いくつか異学説がある)
- ---
- テナガザル科 Hylobatidae
- ヒト科 Hominidae
- オランウータン亜科
- ヒト亜科 Homininae
- ギガントピテクス Gigantopithecus † (更新世、中国/絶滅)
- ゴリラ族 Gorillini
- ヒト族Hominini
- チンパンジー亜族 Panina
- ヒト亜族Hominina
- サヘラントロプス属 †
- サヘラントロプス・チャデンシス Sahelanthropus tchadensis †
- オロリン属 Orrorin †
- アルディピテクス属 Ardipithecus †
- ケニヤントロプス属 Kenyanthropus †
- ケニアントロプス・プラティオプス Kenyanthropus platyops †
- アウストラロピテクス属 Australopithecus † (華奢型)
- アウストラロピテクス・アファレンシス A. afarensis † ("ルーシー")
- アウストラロピテクス・アフリカヌス A. africanus †
- アウストラロピテクス・アナメンシス A. anamensis †
- アウストラロピテクス・ガルヒ A. garhi †
- パラントロプス属 Paranthropus (頑丈型) †
- パラントロプス・ロブストゥス P. robustus †
- パラントロプス・エチオピクス P. aethiopicus †
- パラントロプス・ボイセイ P. boisei †
- ヒト属 Homo
- ホモ・ルドルフェンシス H. rudolfensis †
- ホモ・ハビリス H. habilis †
- ホモ・エルガステル H. ergaster †
- ホモ・エレクトス H. erectus †
- ホモ・アンテセッサー H. antecessor †
- ホモ・ハイデルベルゲンシス H. heidelbergensis †
- ホモ・ネアンデルターレンシス H. neanderthalensis †
- ホモ・フローレシエンシス H. floresiensis †
- ホモ・サピエンス H. sapiens
- ホモ・サピエンス・イダルトゥ H. s. idaltu †
- ホモ・サピエンス・サピエンス H. s. sapiens
- サヘラントロプス属 †
- この分類の場合、ヒト亜族が人類となる。また、ヒト上科のうち人類を除く霊長類は類人猿とよばれる。
ヒト上科の従来の分類
脚注
- ↑ テンプレート:MSW3 Groves
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ サルとヒトとの進化の分岐、定説より最近か ミシガン大 AFPBB News 2010年07月16日
- ↑ Nature2010年7月15日号
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ Peter Proctor Similar Functions of Uric Acid and Ascorbate in ManSimilar Functions of Uric Acid and Ascorbate in Man Nature vol 228, 1970, p868.
- ↑ 高木和貴、上田孝典「腺酸分解酵素PEG化ウリカーゼの適応と意義」『高尿酸血症と痛風』18(2),2010,pp41-46
- ↑ ヒト科の出現、國松 豊、地學雜誌、Vol. 111 (2002) No. 6