サザビー (ガンダムシリーズ)

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テンプレート:Pathnav サザビーは、アニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する架空の兵器

ネオ・ジオン軍のニュータイプ (NT) 専用モビルスーツ (MS)。

本項目では、小説機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場するナイチンゲールについても記述する。

機体解説

テンプレート:機動兵器 新生ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの専用機として開発された機体。既存のジオン系MSの全ての技術を投入した集大成的存在。

設計は旧ネオ・ジオン(アクシズを前身とするハマーン・カーン指揮下のネオ・ジオン)の技術者が呼び集められ、彼らを中心として行なわれた。当初はギラ・ドーガをベースとして開発が進められていたが、ギラ・ドーガのムーバブルフレームサイコミュ関連の装備を内部に組み込むのにはサイズが不足しており、総帥専用機として開発部から要求されたスペックを満たすことはできなかった。その後、何度かの試行錯誤を経た結果、より大型の機体を新規に開発することが決定される。開発の際にはモビルアーマー (MA) 級のサイズを持つ機体も考案されたが、サイコフレームの採用により全高25m級というサイズに落ち着いた。なお、ギラ・ドーガをベースに開発が進められていた機体はヤクト・ドーガとして完成し、2機が実戦に投入されている。一方、新規設計の際に考案されたMA級の機体は開発プロジェクトが別の部署に移管され、後にα・アジールが完成した。

新生ネオ・ジオン軍内では基礎設計は可能であったが、実機の製造・試験のための施設が不十分であったため、開発自体はアナハイム・エレクトロニクス社に委託されることとなり、かつての旧公国軍指揮下にあり、現在も影響が強いグラナダ工場において製造が行われた。

サザビーはMSとしての基本性能を高いレベルでまとめた上でNT専用機としての機能を付加させていくという理念の下開発され、その結果MS単体での基本性能とNT専用機としてのサイコミュ関連の性能が共に高く、双方のバランスが取れた優秀な機体として完成した。本来搭載に膨大なスペースを必要とするサイコミュ関連装置は、サイコフレームの採用により小型化されている。従来の重MSのような多数の武装は施されておらず、大型化による内部スペースの余裕を利用して機体性能の総合的な向上が計られている。

コクピットは頭部にあり、緊急時には機体から分離させることができる。さらにコクピットブロックには小型スラスターも内蔵されており、戦線を早急に離脱することが可能。また、他のMSと同様にリニアシートを標準採用している。メインカメラにはモノアイが採用されているが、これはリック・ディアスに採用されていたものに改良を加えたものであり、性能も向上した。コクピットを頭部に置いたことによる胴体部の内部スペースの大きな余裕を利用して高出力のジェネレーターとサイコミュのメインユニットを装備している。

ネオ・ジオンの指導者が自ら搭乗する機体であることを鑑み、可能な限り破壊されにくいことが要求されたため、機体の耐久性は非常に高い。装甲に用いているガンダリウム合金は技術発展により従来型よりも強度が増しているため、機体の耐弾性を低下させることなく装甲厚を削減することが可能となり、軽量化と同時に運動性の向上ももたらしている。さらに装甲自体に姿勢制御スラスタープロペラントなど各種機器を内蔵する余裕も生じた。バックパックのスラスターは機体サイズと比べると小型で3基しか装備されていないが、この3基でリック・ドム1機分に相当する推進力を持ち、肩部にはフレキシブルショルダースラスター、機体全体に多数の姿勢制御用スラスターを装備。また、オプションとして2基のプロペラント・タンクを装着することで、最大戦闘出力の継続時間を90秒以上延長することが可能。これにより大型の重MSでありながらも従来機を越える高い機動性・運動性を誇り、稼働時間も通常のMSを大きく上回る。アクチュエーターを始めとする機体制御システムも高性能なものを採用し、サイコフレームの装備により追従性も高い。手足の稼動範囲も広く、武装を使わずにマニピュレーターや脚部で直接敵を攻撃することも可能。

ヤクト・ドーガと同型のファンネルを6基装備しているが、ヤクト・ドーガが肩アーマーに直接ファンネルを搭載していたのに対し、本機ではバックパックに設けられたファンネル・コンテナに収納されている。コンテナにはファンネルのエネルギーおよびプロペラントの補給機能が備わっているため、連続使用が可能となり、ファンネルの運用能力の向上と使用可能時間の延長に貢献している。

機体は往年のシャアの乗機と同様赤を基調とした赤系統で塗装され、フロントアーマーには本名のキャスバル・ダイクン(もしくは通り名としてのシャア・ダイクン)のイニシャルCDト音記号風にアレンジしたマーキングが入っている。

武装

ビーム・ショット・ライフル
サザビーの主兵装。本体下部に散弾銃のようなグリップを備える。全長約14mに達する大型の武装で、この時代の携行式ビーム火器としては破格の出力 (10.2MW) を持つ。銃口は2つあり、それぞれ通常の収束ビームと拡散ビーム弾を選択発射できる。拡散ビームは広範囲を攻撃することが可能で、接近戦時に有効。
ビーム・サーベル
グリップに伸縮機構を採用したサーベル。アイドリング・リミッター機能に対応しており、デバイスや出力は一般のMSに装備されているものと同等。左右の前腕内部に1本ずつ収納され、素早く接近戦に対応することが可能。νガンダムのサーベルと斬り結んだ際には、出力面で下回っている。
ビーム・トマホーク、大型ビーム・サーベル
専用の接近戦用兵装。ビーム・トマホークまたは大型ビーム・サーベルとして使用できるが、ビーム刃を展開しない状態でもヒートホークとして機能する。通常のサーベルよりも威力が高く、マニピュレーターで保持して使用する他に投擲武器として用いることも可能。大型ビーム・サーベルとしては広範囲に刃が形成されるため使い勝手に秀でており、通常はこの形態で利用されることが多い。映画劇中ではビーム・トマホークとしては使用されていない(漫画版で一度使用された)。
未使用時は柄を縮めた状態でシールド裏面に搭載され、スカート・アーマーに装備することも可能。宇宙世紀0090年代のビーム・サーベルの標準的な機構であるアイドリング・リミッター機能を備える。映画劇中では大型ビーム・サーベルを投げ付け、νガンダムのビームライフルを破壊した。
カトキハジメによるデザインリファインが行われたプラモデル『マスターグレードサザビー Ver.Ka』(2013年発売)では、左右分割して片刃のビームトマホーク2刀流や、それを連結してビームナギナタとして使用できるとの新解釈が導入された。
シールド
裏面にビーム・トマホークとマイクロミサイル3基を装備し、表面にはネオ・ジオンの紋章があしらわれている。他のネオ・ジオン軍MSが携行するシールドほどの兵器架台化はされていない。装甲に使用される物と同等のガンダリウム系合金が用いられており、コーティングも施されている。腕部への固定箇所を中心にシールド本体の回転・スライドが可能であり、これによって腕の動きを著しく制約することを防ぎ、防御面を有効に活用することができる。
メガ粒子砲
腹部に内蔵されたメガ粒子砲。サザビー自体のジェネレーターに直結しており、そこから生み出されるエネルギーを利用するため威力は高く、本機の火器の中では最大の火力を持つ。ビームが拡散するため攻撃範囲も広く、一撃で複数のMSを撃破したり、アクシズの岩盤を粉砕することも可能だが、ジェネレーター直結式で砲口の左右からは胴体に沿うようにエネルギー供給用ケーブルが伸びており、それらが破損した場合はパワーダウンして威力が大幅に低下してしまう。
ファンネル
背面の2つのファンネルコンテナに3基ずつ、合計6基を格納している。ヤクト・ドーガに装備されているものと同型だが、機体に合わせて赤系統のカラーリングが施されている。従来のファンネルに比べビーム砲の威力の向上や稼働時間の延長が図られており、サイコフレームの採用により更に安定した稼動が行えるようになっている。グリプス戦役から第一次ネオ・ジオン抗争時のMSに比べ搭載数が減少しているのは、ファンネルの立場が「攻撃の主体」から「補助的な武装」へと変わったため。未使用時の本体は円筒形をしており、分離後にスラスターカバーの四方展開・ビーム砲身の伸長が行なわれ攻撃態勢に移る。推進器部分は1基の大型スラスターの周囲を囲むように小型のスラスターが配置される構造になっている。
ハンドキャノン
劇中未登場。B-CLUBよりガレージキットが発売されたのみで、ほぼ詳細不明。

劇中での活躍

物語冒頭から最終盤までシャアの愛機として活躍。序盤ではアムロ・レイが乗るリ・ガズィを圧倒し、ロンド・ベルがアクシズ破壊のために放った核ミサイルを全て撃ち落している。

劇中においてギュネイ・ガスが搭乗するヤクト・ドーガのファンネルはアムロのνガンダムが装備するフィン・ファンネルにより一方的に撃破されていたのに対し、サザビーの放ったファンネルはフィン・ファンネルと互角に渡り合っている。

サイコフレーム技術を流用し互角の性能となったνガンダムとの一騎討ちとなり、双方が武器を失い格闘戦となった末、アクシズ表面に激突する。この際に脱出装置が作動し、射出された操縦席ブロックはνガンダムに捕らえられた。

デザインなど

デザインは出渕裕。企画段階の名称は「ザ・ナック」だったが、同名のファミコンソフトが存在したため取りやめられている[1]。当初コックピットの位置は胴体だったが、デザイン後に頭部へと変更された。その影響で、脱出装置作動後のシーンでは、コックピットが設定より大きく作画されている。

出渕の初期デザインでは、右腕は大型ハンド式メガ粒子砲に換装されているほか、ファンネルは腹部後方のスカート内部にキュべレイ型のものを装備している。それに代わり、背面にはプロペラントタンクを搭載。頭部はシャアのヘルメット、顔面部は百式がモチーフとなっている[2](決定稿ではフェイスデザインは変更されている)。模型誌『B-CLUB』30号ではこの初期デザインを「MSN-04X サザビー・プロトタイプ(試作実験機)」として立体化した。

2000年7月にバンダイよりプラモデル「1/100 マスターグレード サザビー」が発売されている。さらに2008年6月にはHGUCキットが発売された。

ハイパーサザビー

ゲーム『バトルロボット烈伝』に登場したオリジナル機体で、シャアの搭乗するサザビーがハイパー化した状態。

ナイチンゲール

テンプレート:機動兵器

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場し、『CCA-MSV』に分類される機体。サザビーの強化発展機[3]

サザビーに比べて頭頂高はやや低く、体勢も前傾姿勢で、胴体部は前後に伸びるように大型化されている他、巨大な肩部バインダーにはα・アジールのものを小型軽量化したファンネルを10基を搭載。後部アーマーに2基、背部に3基、計5基のプロペラント・タンクが接続されており、稼働時間の延長が図られている。スカートアーマー内には、かつての重MSジ・Oにも装備された隠し腕(接近戦用マニュピレーター)が仕込まれており、MAクラスの巨躯を持つ機体でありながら近接戦闘能力を備える。シールドはサザビーとほぼ同一形状のものを携行。

武装は当初はメガ・ビームライフルとビームサーベル及びファンネルのみとされ、ゲームなどで登場する際[4]には独自設定として胸部にメガ粒子砲が存在し、シールドにサザビーと同様にミサイルが装備されている場合があった。しかしその後、プラモデル「RE/100 1/100 ナイチンゲール」においてシールド裏にミサイルが配置され、漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』においてはさらに頭部のコックピットやビームトマホークの所持、腹部のメガ粒子砲の存在も描かれ、サザビーと同様の豊富な武装とギミックを持つ機体として扱われるようになっている。

劇中での活躍
劇中においてはνガンダム(Hi-νガンダム)と戦闘を行う。最終局面では赤熱化するアクシズ岩盤上にて、MS史上初の長時間の肉弾戦を演じるも腕部フレームを粉砕され、頭部フロー・システムが作動する。射出されたコクピット・カプセルはνガンダムによって捕獲、岩盤に叩きつけられ、機体は沈黙している。
デザイン
デザインは出渕裕、永野護の初期デザインをまとめる形でデザインされた。企画段階の名称は、ドイツ語の「ナハトガル」。

ナハトガル

テンプレート:機動兵器 永野護による初期デザインのナイチンゲールは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のスタッフを降板した際に後のデザインの原型になったが、全身のデザイン画は公開されておらず、『月刊ニュータイプ』1998年6月号付録の「まるごと富野」内にて「ナイチンゲール・ジオン」という名前で頭部デザインだけが公開されていた。

その後も全身像は不明のままだったが、『月刊ニュータイプ』2007年1月号にて「ナハトガル (Nahatgall)」という名称とともに、最新のラインで描き直されたものが公開された後、2011年には自身の単行本である『ファイブスター物語 リブート』第2巻に「NAITIENGEAILE」と記載されている当時描かれたナイチンゲールと思われる設定画の一部が改めて掲載されている。

また、永野の想定した設定も付記されており、この機体はグリプス戦役後のハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍の使用する重MSとしてアナハイム・ジュピターが開発を行っていたもので、データが月のアナハイム社に流出した際に誤って英語で読み取られ“ナイチンゲール”と呼ばれるようになったとされている。

主な任務は対艦強襲・駆逐戦闘でMAに近い運用を想定しており、その巨体に高い機動力を与えるプロトンドライブの放熱板が頭部から背部にかけて取り付けられている。

また、MAN-104の型式番号の他「MAN-104/MSae-39-20001-X-19D( - 20006-X-19D)」というアナハイム社内での統一コードが設定されており、キュベレイは「MANae-103-10001-X-15B」であるとされる。

なお、機体のカラーリングは緑色であったが、後に『機動戦士ガンダム30周年画集 天地創造』に掲載された際には赤に変更されている。

MSN-04B サザビー

近藤和久の漫画作品に登場。劇場版の設定とは異なり、通常指揮官用MSとして実験的ながら量産され、地上戦に投入されている。ファンネルポッドを廃してウェイトバランスを調整したことで地上での走行性が高められているが、NT専用機ほどの性能はない。武装はマシンガン(実弾火器)、シールド内蔵ミサイル、腹部メガ粒子砲。

機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場したクルツ大尉機はウィルボトン基地奇襲作戦に参加した。作戦中にPX-00531からの攻撃を受け、片腕を失いながらもシールド内蔵ミサイルによりPX-00531を撃破し、ウィルボトン基地を陥落。その後、地球脱出作戦を援護するためにブラウン大尉のブレッダやマイヤー小尉のG-3と共に、ΖΖガンダム量産型Ζガンダム 大気圏内仕様からなる大部隊と交戦し、敵に大被害を与えた後にザンジバルに乗り込み、宇宙へ脱出している。

新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に登場したマーシ機は、ガウで空輸されていたが、目標ポイント到着寸前に試作MA・G-RAYの攻撃を受け、脱出しようとするもガウの墜落に巻き込まれて爆発している。

機動戦士ガンダム 新ジオンの再興』では2機以上の機体が確認できる。地球脱出作戦において指揮官機として作戦に参加していたが、Gコマンダーの攻撃を受け、2機が撃墜された。搭乗者は不明。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:宇宙世紀

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  1. 「B-CLUB」22号 49ページ。
  2. 「B-CLUB」30号 88-91ページ。
  3. 「B-CLUB」30号 16-17ページ。
  4. 第2次スーパーロボット大戦α』 など