的川泰宣
テンプレート:Infobox Scientist 的川 泰宣（まとがわ やすのり、1942年2月23日 – ）は、日本の宇宙工学者、工学博士である。専門は、軌道工学、システム工学。
出自
広島県呉市生まれ。戦艦大和が建造中の呉海軍工廠が一望できる高台が遊び場だった[1]。呉市立荒神町小学校、呉市立二河中学校、広島大学附属高等学校を経て東京大学に進学する。1965年に東京大学工学部航空学科宇宙工学コースを第一期生として卒業し、東京大学大学院工学研究科航空学専攻に進学する。大学院の最後の年には、日本初の人工衛星「おおすみ」の打上げに貢献。的川は糸川研究室の最後の弟子である[1][2]。1970年東大大学院工学研究科航空学専攻博士課程を修了し、東大宇宙航空研究所に入所。組織替えとともに1981年文部省宇宙科学研究所に移り、助教授を経て教授に就任。
業績
この間、ミュー（M）ロケットの改良、数々の科学衛星の誕生に活躍し、1980年代、日本初の地球脱出ミッションであるハレー彗星探査計画では、中心的なメンバーとして力を尽くしたのをはじめ、探査機の飛翔計画の策定、大型ロケットの設計に一貫して活躍した。宇宙科学の国際協力、日本の宇宙開発の広報・教育活動は、この人なしには考えられない。また漁業関係者との交渉など広く対外折衝に関わってきたことでも有名である。宇宙科学の最前線になくてはならない人となっている。宇宙科学研究所対外協力室長、鹿児島宇宙空間観測所長、日本航空宇宙学会長、第25回宇宙技術と科学の国際シンポジウム（ISTS）組織委員長、国際宇宙大学（ISU）理事、国際宇宙航行連盟（IAF）副会長等を歴任。2003年宇宙航空研究開発機構（JAXA）発足とともに、JAXA教育・広報統括執行役となり、JAXA宇宙科学研究本部対外協力室長・教授を兼ねた。2005年5月にはJAXA宇宙教育センターを先導して設立し、初代センター長。工学博士。
2013年3月現在、JAXA名誉教授、まぎん こども宇宙科学館館長、相模風っ子教師塾塾長、JAXA教育・広報アドバイザー、日本学術会議連携会員、国際宇宙教育会議日本代表、米国惑星協会（TPS）評議員、リモートセンシング技術センター（RESTEC）評議員、認定NPO法人子ども・宇宙・未来の会（KU-MA）名誉会長、公益財団法人日本宇宙少年団（YAC）顧問、財団法人 極地研究振興会評議員の職にある。
のぞみの「あなたの名前を火星へ」キャンペーン、はやぶさの「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーン、かぐやの「月に願いを」キャンペーンは的川の発案で、それぞれ27万人、88万人、41万人の名前が寄せられた。日本の宇宙活動の「語り部」である。 。 JAXA宇宙教育センターは、各地の学校教育・社会教育の現場と連携して着実に日本の教師、宇宙教育リーダーや子どもたちの心に火をつけつつあり、大規模に展開されている。的川は「宇宙教育の父」とも呼ばれる。平成19年度（2007年度）の神奈川文化賞（科学技術部門）受賞。平成22年度（2010年度）の南日本文化賞（科学技術部門）受賞。
TBSラジオの「全国子供電話相談室」、NHKテレビの「科学大好き土よう塾」、クローズアップ現代、視点・論点を含むテレビ、ラジオ、新聞にたびたび登場し、宇宙関連のトピックスについて解説を行っている。なお神奈川新聞の2011年11月～12月、「わが人生（的川泰宣）」と題する連載が60回にわたって掲載された。なお小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還後に制作・公開された3本の映画で、西田敏行（20世紀フォックス）、藤竜也（東映）、中村梅雀（松竹）のモデルとなった。
人物
ヘビースモーカーであったが、40歳の誕生日に一度に40本のタバコを吸い禁煙した。
本職の宇宙工学以外でも、東大時代は軟式テニス部の選手として活動した。東大ソフトテニス史上最強の後衛と謳われ、大学4年間で関東リーグ36勝4敗（勝率9割）、第3学年秋のシーズンに東京六大学リーグ戦全勝の記録を持つ。
業務とは別に、現在、日本宇宙少年団(YAC)顧問、呉市にある大和ミュージアム（呉市海事歴史科学館）名誉館長、母校である広島大学附属高校の同窓会である東京アカシア会会長、ふるさとTV顧問であり、毎日小学生新聞に「銀河教室」（水曜日）、朝日新聞に「宇宙がっこう」（土曜夕刊）という週刊の連載を持っている。
2011年10月28日、品川プリンスホテルで講演中、脳幹出血で倒れ、救急病院に運ばれ20日間入院した。幸い後遺症は全くなく、従来通り元気に活躍している。なお、小惑星6526に「Matogawa」の名が、的川泰宣に因んでつけられた。小惑星帯にある小惑星で、北海道の円舘金と渡辺和郎が発見した。以下の作品では、日本の宇宙探査機が「マトガワ」という小惑星に着陸（タッチダウン）し、サンプルリターンを試みる。 ロケットガール - 第4巻『魔法使いとランデヴー』に登場。探査機名は「はちどり」。 サマーウォーズ - 探査機名は「あらわし」。
著書
単著
- 『宇宙のひみつ Q&A』（朝日出版社2014年7月）
- 『しくみがわかる宇宙ロケット』（誠文堂新光社2013年12月）
- 『この国とこの星と私たち - 喜・怒・哀・楽の宇宙日記４』（共立出版2012年12月）
- 『的川博士の銀河教室』（毎日新聞社2012年6月）
- 『宇宙ロケットのしくみ』（誠文堂新光社子供の科学サイエンスブックス2011年1月）
- 『いのちの絆を宇宙に求めて‐喜・怒・哀・楽の宇宙日記３』（共立出版2010年10月）
- 『「はやぶさ」物語』（NHK生活人新書2010年10月）
- 『小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡──挑戦と復活の2592日』（PHP出版2010年9月）
- 『どうやって、宇宙へいくの？──宇宙のひみつがわかるえほん１』（ポプラ社2009年3月）
- 『なぜ、宇宙へいくの？──宇宙のひみつがわかるえほん２』（ポプラ社2009年3月）
- 『なぜ、星は光っているの？──宇宙のひみつがわかるえほん３』（ポプラ社2009年3月）
- 『宇宙人は、ほんとうにいるの？──宇宙のひみつがわかるえほん４』（ポプラ社2009年3月）
- 『わたしたちは、星からうまれたの？──宇宙のひみつがわかるえほん５』（ポプラ社2009年3月）
- 『宇宙なぜなぜQ&A──宇宙のひみつがわかるえほん６』（ポプラ社2009年3月）
- 『人類の星の時間を見つめて - 喜・怒・哀・楽の宇宙日記２』（共立出版 2008年8月）
- 『図解：宇宙と太陽系の不思議を楽しむ本』（PHP出版2006年11月）
- 『宇宙なぜなぜ質問箱（新訂版）』（朝陽会2006年10月）
- 『宇宙の旅 太陽系・銀河系をゆく - 宇宙のナゾに挑む近未来物語』（誠文堂新光社 子供の科学サイエンスブックス 2006年2月）
- 『逆転の翼 -ペンシルロケット物語』（新日本出版社 2005年11月）
- 『轟きは夢を乗せて - 喜・怒・哀・楽の宇宙日記』（共立出版 2005年3月）
- 『宇宙からの伝言 - いのちを大切にするということ』（数研出版 Chart Books Special 2004年12月）
- 『やんちゃな独創 - 糸川英夫伝』（日刊工業新聞社B&Tブックス 2004年5月）
- 『図解 宇宙の謎がみるみるわかる本』（2003年9月）
- 『トコトンやさしい宇宙ロケットの本』（日刊工業新聞社 B&Tブックス─今日からモノ知りシリーズ2002年 8月）
- 『ロシアの宇宙開発の歴史─栄光と変貌』（東洋書店 ユーラシアブックレット 2002年3月）
- 『宇宙の謎まるわかり』（PHP文庫 2002年1月）
- 『月をめざした二人の科学者 - アポロとスプートニクの軌跡』（中央公論新社 中公新書 2000年12月）
- 『宇宙に取り憑かれた男たち』（講談社 講談社プラスアルファ新書 2000年7月）
- 『宇宙科学の愉快な世界 - ロケット博士の「星と宇宙」ちょっとイイ話』（成美堂文庫 1999年2月）
- 『宇宙で暮らすための69の基礎知識』（大和書房 1999年2月）
- 『宇宙の謎を楽しむ本 - ビッグバン特異点から暗黒物質、地球の起源まで』（PHP文庫 1998年8月）
- 『おもしろくてためになる宇宙と地球の雑学事典』（日本実業出版社 1998年4月）
- 『宇宙なぜなぜ質問箱』（大蔵省印刷局 1996年8月）
- 『宇宙は謎がいっぱい - ビッグバンから人類の未来まで』（PHP文庫 1996年8月）
- 『ロケットの昨日・今日・明日』（裳華房 ポピュラーサイエンス 1995年7月）
- 『超なるほど宇宙の謎学 - 知ってオドロキ！大宇宙の神秘!!』（日本文芸社 にちぶん文庫 1994年6月）
- 『宇宙にいちばん近い町 - 内之浦のロケット発射場』（春苑堂出版 かごしま文庫 1994年）
- 『大人のためのほんとうの宇宙のはなし』（PHP研究所 1992年10月）
- 『飛び出せ宇宙へ』（岩波書店 岩波ジュニア新書 1992年8月）
- 『星の王子さま宇宙を行く - 小田稔からのメッセージ』（同文書院 The Prominent Series 1990年8月）
- 『宇宙へのパスポート』（小学館 コスモハンドブック 1990年）
- 『宇宙へのはるかな旅』（大月書店 科学全書 1989年10月）
- 『人工の星・宇宙の実験室』（岩崎書店 ぼくらの天文・気象・地球 1986年4月）
- 『ハレーすい星のなぞ』（ポプラ社学習文庫 - 理科・地球と宇宙 1986年3月）
- 『ハレー彗星の科学』（新潮社 新潮文庫 1984年1月）
共著
- 『宇宙ロケット』（松尾弘毅編、学研学研の図鑑 1981年1月）
- 『翔べ科学衛星「ひのとり」』（平尾邦雄編、三省堂選書1985年6月）
- 『軟式テニス・上達の科学』（同文書院 1987年9月）
- 『宇宙開発のおはなし』（日本規格協会 おはなし科学・技術シリーズ 1991年）
- 『宇宙』（学研 学研の図鑑 1995年12月）
- 『生きるとき大切なこと』（東洋経済新報社産経新聞社編2000年12月）
- 『宇宙はこうして誕生した』（佐藤勝彦編、株式会社ウェッジウェッジ選書2004年9月）
- 『技術と自然の未来を探る』（新日本出版社2004年10月）
- 『ブックガイド<宇宙>を読む』（岩波書店2008年11月）
- 『図説宇宙工学』（日経印刷2010年12月）
- 『私たちの「はやぶさ」』（毎日新聞社2012年1月）
- 『思惟する天文学──宇宙の公案を解く』（新日本出版社2013年7月）
- 『賢者の本』（三五館2013年12月）
監修
- 『宇宙探査大図鑑』（PHP研究所、2013年8月）
- 『なぜ？どうして？ 宇宙と地球 ふしぎの話』（林公代著、池田書店、2013年7月）
- 『「はやぶさ」がとどけたタイムカプセル』（山下美樹・文、ぶんけい2011年10月）
- 『宇宙ロケットのしくみ』（PHP文庫2011年8月）
- 『宇宙ビジネス』（アスキーメディアワークス2011年6月）
- 『はじめてのうちゅうえほん』（PIE BOOKS 2009年7月）
- 『水ロケットを飛ばそう』（日刊工業新聞社1996年8月)
- 『宇宙探検』（同朋社ビジュアル博物館 1998年7月）
- 『スペースガイド(1999)』（丸善 1999年2月）
- 『スペースガイド(2000)』（丸善 2000年3月）
- 『スペースガイド(2001)』（丸善 2001年3月）
- 『スペースガイド(2002)』（丸善 2002年1月）
- 『スペースガイド(2003)』（丸善 2003年3月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2002)』（アストロアーツ アスキームック 2002年1月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2003)』（アストロアーツ アスキームック 2003年3月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2004)』（アストロアーツ アスキームック 2004年4月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2005)』（アストロアーツ アスキームック 2005年3月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2006)』（アストロアーツ アスキームック 2006年4月）
- 『宇宙たんけんたい(1)太陽』（小峰書店 2005年7月）
- 『宇宙たんけんたい(2)月』（小峰書店 2005年1月）
- 『宇宙たんけんたい(3)太陽系の惑星』（小峰書店 2005年2月）
- 『宇宙たんけんたい(4)火星』（小峰書店 2005年2月）
- 『宇宙たんけんたい(5)国際宇宙ステーション』（小峰書店 2005年3月）
- 『宇宙たんけんたい(6)宇宙人っているの？』（小峰書店 2005年3月）
- 『絵でわかる宇宙大地図』（ネコパブリッシング 2005年7月）
- 『宇宙年鑑 - Spaceguide(2006)』（アストロアーツ アスキームック 2006年4月）
- 『ネクストアインシュタイン(1)進化する宇宙大発見』（新日本出版社 ようこそ研究室へ 2006年2月）
- 『ネクストアインシュタイン(2)ぼくらの地球の謎に迫れ』（新日本出版社 ようこそ研究室へ 2006年2月）
- 『ネクストアインシュタイン(3)生物といのちの不思議』（新日本出版社 ようこそ研究室へ2006年2月）
- 『ネクストアインシュタイン(4)ハイテクノロジーの達人』（新日本出版社 ようこそ研究室へ2006年2月）
出演
脚注
関連項目
外部リンク
- 新生JAXAをよろしく。 - 宇宙航空研究開発機構発足時の的川泰宣によるあいさつ
- 人類に希望を与える宇宙開発 的川泰宣氏テンプレート:Scientist-stub
