鉄道連隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年3月7日 (金) 20:14時点におけるYamato-i (トーク)による版 (カテゴリの一部変更)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

鉄道連隊(てつどうれんたい)は戦地における鉄道の建設・修理・運転や敵の鉄道の破壊に従事する連隊。本項目では、日本陸軍が保有した鉄道連隊について説明する。

概要

日本陸軍鉄道連隊の前身、鉄道大隊(2個中隊・電信1中隊・材料廠)は日清戦争後に初めて編成された。以来、日露戦争から太平洋戦争大東亜戦争)まで活躍した。支那事変以前は近衛師団隷下の交通兵旅団に属していた。

1940年7月の平時編成表によると、鉄道連隊の編制は連隊長(大佐)の下に連隊本部(57人)、3個大隊(大隊本部5人、3個中隊=1個中隊107人)、材料廠(23人)の合わせて1091人。ただし、鉄道第二連隊には、このほかに練習部、幹部候補生隊、下士官候補生隊が付設されていた。

部隊沿革

鉄道第一連隊

テンプレート:軍隊資料

ファイル:Chiba map circa 1930.PNG
1930年頃(昭和初頭)の千葉市周辺の地図。鐵道第一聯隊は地図中央やや上の、軍用鐵道分岐近くにあった。
ファイル:Chiba Park.jpg
千葉公園(鉄道第一連隊作業場跡地)
終戦時所在 - 中国湖南省株州
最終連隊長 - 岩井恭三中佐

※ 作業場跡は現在千葉公園になっている。園内にはトンネルや橋脚が遺構が残っている。材料廠の建物は千葉経済学園内に現存する。

鉄道第二連隊

テンプレート:軍隊資料

終戦時所在 九州
最終連隊長 越川外次郎中佐

※ 鉄道連隊正門は、現在、千葉工業大学に残されており、国の登録有形文化財になっている。

鉄道第三~二十連隊

三~二十連隊については、ほとんど第一連隊か第二連隊を母体に、1934年(昭和9年) - 1945年(昭和20年)に編成された。以下、連隊名(編成完了年・編成地→終戦時)を記す。(吉田釧「鉄道連隊銘々伝」『鉄道兵回想記』所収などにより作成)

  • 第三連隊1934年(昭和9年)2月10日ハルピン山東省済南
    • 通称号: 栄三四一〇一、最終連隊長: 鴨沢常二郎大佐
  • 第四連隊1938年(昭和13年)3月1日・満洲牡丹江→遼寧省海城
    • 通称号: 路三四一〇二(満六六八)、最終連隊長: 前田昌夫中佐
  • 第五連隊(1938年(昭和13年)4月20日・千葉→バンコク泰緬鉄道を建設
    • 通称号: 森五八〇四、最終連隊長: 橋本光治大佐
  • 第六連隊1937年(昭和12年)10月6日河北省石家莊→上海
    • 通称号: 甲一四三五、最終連隊長: 中原寅蔵中佐
  • 第七連隊1944年(昭和19年)3月3日・千葉→仏印
    • 通称号: 義二一四三、最終連隊長: 引地武雄中佐
  • 第八連隊(1944年(昭和19年)3月3日・千葉→ルソン島
    • 通称号: 尚武二一四四、最終連隊長: 柳明雄中佐
  • 第九連隊(1941年(昭和16年)9月23日・津田沼→ビルマ) 泰緬鉄道を建設
    • 通称号: 森五八〇五、最終連隊長: 津島悟己郎中佐
  • 第十連隊(1944年(昭和19年)3月27日・千葉→仏印
    • 通称号: 信二一四五、最終連隊長: 吉村周平大佐
  • 第十一連隊(1944年(昭和19年)3月27日・津田沼→ビルマ)
    • 通称号: 義二一四六、最終連隊長: 安東恒雄大佐
  • 第十二連隊(1944年(昭和19年)3月9日・津田沼→湖南省長沙
    • 通称号: 統二一四七、最終連隊長: 坂元三男中佐
  • 第十三連隊(1944年(昭和19年)2月10日・千葉→華中)
    • 通称号: 栄二五三〇、最終連隊長: 竹本武雄中佐
  • 第十四連隊(1944年(昭和19年)4月14日・千葉→安徽省蚌埠)
    • 通称号: 統二一四八、最終連隊長: 水野征一中佐
  • 第十五連隊(1944年(昭和19年)4月24日・津田沼→湖南省東陽)
    • 通称号: 統二一四九、最終連隊長: 小田永吉中佐
  • 第十六連隊1945年(昭和20年)4月・千葉→内地)
    • 通称号: 東部八六、最終連隊長: 江畑広雄大佐
  • 第十七連隊(1945年(昭和20年)4月・津田沼→内地)
    • 通称号: 東部八七、最終連隊長: 黒石茂喜大佐
  • 第十八連隊(1945年(昭和20年)5月30日・河北省宛平県長辛店→河南省開封市)
    • 通称号: 甲二一五二、最終連隊長: 君塚勘吉中佐
  • 第十九連隊(1945年(昭和20年)5月3日・満洲牡丹江→一面坡)
    • 通称号: 路四三五一、最終連隊長: 布施広治中佐
  • 第二十連隊(1945年(昭和20年)5月3日・満洲ハルピン→北満洲)
    • 通称号: 路四三五二、最終連隊長: 石原昇中佐

連隊長等

鉄道第一連隊

鉄道大隊長
  • 吉見精 工兵中佐:1896年10月16日 -
  • 井上仁郎 工兵少佐:1901年2月19日 - 1906年7月11日
  • 土屋喜之助 工兵中佐:1906年7月11日 - 1907年10月9日
鉄道連隊長
  • 土屋喜之助 工兵中佐:1907年10月9日 - 1908年8月29日
  • 武内徹 工兵大佐:1908年8月29日 - 1910年11月30日
  • 渡辺兼二 工兵大佐:1910年11月30日 - 1913年3月4日
  • 山田陸槌 工兵大佐:1913年3月4日 - 1915年2月15日
  • 岡野友次郎 工兵大佐:1915年2月15日 -

車両

鉄道連隊が敷設した路線

鉄道連隊は戦地のみならず国内各地でも鉄道建設を請け負い、訓練をかねていたので、建設費は材料費を負担するだけでよかった。そのため、鉄道事業者からは重宝された。

内地

また、千葉県内には鉄道連隊の演習用の路線があった。戦後一部は新京成線に転用された。詳しくは鉄道連隊演習線を参照。

外地

参考文献

  • 岡本憲之・山口雅人『実録 鉄道連隊 知られざるその使命を解き明かす』(イカロス出版、2009年) ISBN 978-4-86320-146-0
  • 新人物往来社戦史室 編『日本陸軍兵科連隊』(新人物往来社、1994年) ISBN 4-404-02144-5
第三部 工兵連隊 鉄道連隊 p197~p202
  • 佐山二郎『工兵入門 技術兵科徹底研究』(光人社NF文庫、2001年) ISBN 4-7698-2329-0
第三章 工兵の作戦 鉄道作戦 p68~p86、第五章 工兵器材解説 鉄道器材 p283~p317
  • 高橋 昇『軍用自動車入門 軍隊の車輌徹底研究』(光人社NF文庫、2000年) ISBN 4-7698-2267-7
第六章 鉄道車輌 p337~p418
  • 長谷川三郎(元鉄道五連隊第三大隊長、少佐)『鉄道兵の生い立ち』(三交社、1984年) ISBN 4-87919-801-3
  • 坂田 要『津田沼鉄道第十七聯隊』(文芸社、2006年) ISBN 4-286-02078-9
  • 松代守弘「戦線の輸送を支えた鉄路の工兵 陸軍鉄道部隊」
学習研究社歴史群像』2005年6月号 No.71 p178~p185
  • 椎橋俊之「「SL甲組」の肖像 第32回 鉄道聯隊 鉄道兵かく戦えり
ネコ・パブリッシング『Rail Magazine』2006年10月号 No.277 p69~p82
  • 『絵はがき 写真に残された明治~大正~昭和』(船橋市郷土資料館、2005年3月23日)

鉄道連隊を描いた作品

関連項目

外部リンク

テンプレート:Gunji-stub