レクサス・GS
GS(ジーエス、Lexus GS )は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」から販売されている大型セダン(Eセグメント)である。
2012年現在で販売されているのは4代目モデルであるが、初代と2代目モデルは日本国内に限ってはトヨタブランド(ネッツ店)にて「トヨタ・アリスト」として販売されていた。
目次
概要
レクサスのラインアップ上は、最上級車の「LS」に次ぐ上位に位置する4ドアセダンである。また、LSなどと同様に、エンジンと電気モーターを併用したハイブリッド仕様車を3代目モデルからラインアップに加えている。
歴史
初代 S147L型(1993年 - 1997年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1991年に登場したトヨタ「アリスト(初代)」のレクサスブランド版として、1993年2月22日からトヨタ自動車田原工場にて生産を開始した。アリストにはターボエンジンの設定があったが、一方でGSには3.0L直列6気筒自然吸気エンジンのみの設定で、あくまで車名の由来であるグランドツーリングに主眼を置いたモデルであり、両者で性格や位置付けが異なる。
グレード | 排気量 | エンジン・最高出力 | 変速機 | 駆動方式 |
---|---|---|---|---|
GS300 | 3.0L | 直列6気筒DOHC2JZ-GE(220ps/30.0kg・m)、 | 4速AT | FR |
2代目 S16#L型(1998年 - 2005年)
テンプレート:Infobox 自動車のスペック表 1997年にアリストがモデルチェンジした翌年、GSもモデルチェンジした。エンジンは直列6気筒エンジン(2JZ-GE)とV8エンジン(1UZ-FE)の2本立て。アメリカの雑誌『モータトレンド』が選定する1998年のインポートカー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。また、同じくアメリカの雑誌『カーアンドドライバー』が選定するテン・ベストカーに、1998年から2000年まで3年連続で選定された。
2001年マイナーチェンジ。「GS400」に搭載されていた4.0L V8エンジン(1UZ-FE)が、LS(3代目)にも搭載される4.3L(3UZ-FE)に変更され、モデル名も「GS430」へ変更。
グレード | 排気量 | エンジン・最高出力 | 変速機 | 駆動方式 |
---|---|---|---|---|
GS430 | 4.3L | V型8気筒DOHCエンジン 3UZ-FE (300ps/45.0kg・m) | 5速AT | FR |
GS400 | 4.0L | V型8気筒DOHCエンジン 1UZ-FE(300ps/42.8kg・m) | ||
GS300 | 3.0L |
3代目 S19#型(2005年 - 2012年)
- 発表・発売(2005年)
2005年1月、北米国際オートショーにて3代目GSがワールドプレミア。同年8月30日には日本においてもレクサスブランドが開業し、2ドアクーペの「SC430」とともに「日本レクサス」の第1弾としてデビューした。目標月間販売台数は1100台と発表された。
当初はV型8気筒搭載モデルのフラグシップモデル「GS430」と、V型6気筒エンジン搭載の量販モデル「GS350」の2車種をラインアップ。「GS430」は先代と同じパワートレーン(3UZ-FE型V8+6AT)を引き継ぐが、「GS350」が搭載する新開発の直噴V型6気筒3.5Lエンジン(2GR-FSE)の出力は300psを大きく超えて315psとなり、歴代のトヨタ自動車製乗用車としては初めて280psを超えた。また地域によって商品展開に違いがあり、「GS350」は日本・北米・韓国で、同じV6エンジンでも3L版の3GR-FE型を搭載する「GS300」は中国などその他の地域で販売されている。
- 「GS450h」の追加
翌2006年3月、日本のレクサスブランド車としては初となるハイブリッド仕様[1]「GS450h」を追加。世界初となるFR方式のハイブリッドカーとなったGS450hは、GS350にも搭載される3.5Lの2GR-FSE型のV6エンジンに、FR車専用に開発されたモーターをトランスミッションケース内に組み込み、システム合計出力で345psを発生する(このハイブリッドシステムの基礎は後に「LS600h」や、トヨタ「クラウンハイブリッド」などにも技術転用されている)。トヨタ「プリウス」などの燃費重視型ハイブリッドとは違い、モーターをターボチャージャーのように使うパワー志向のハイブリッドとして、燃費以上に走りを重視しているのがGS450hの特徴である。なおエンジンの排気量こそ3.5Lであるが、「4.5Lエンジン並みのパワーを実現した」という意味で「450h」と名づけられている。
- 年次改良(2006年)
10月、イヤーモデル制度を敷くレクサスブランドの方針に従い年次改良を実施し2007年モデルへ移行。主な変更点として、GS350にもGS430と同じ18インチアルミホイール+245/40/R18タイヤが選択できるようになり、GS450h専用ボディカラーだったプレミアムライトブルーがGS350とGS430でも選択できるようになる。また翌2007年3月、日本車として初めてドイツ・iFデザイン賞金賞を受賞(ISと同時受賞)。
- マイナーチェンジ(2007年)
10月、マイナーチェンジが施され2008年モデルへ移行。「GS430(3UZ-FEエンジン搭載車)」のV型8気筒エンジンを、LS460に先行搭載された新開発エンジン(1UR-FSE)へ置き換え、ATも8速へ換装した。その結果、最高出力は280PSから347PSへと大幅に向上。このエンジン換装に伴って排気量もアップしたためグレード名称も「GS460」と改称された。登場から2年が経過していたこともあり、エクステリアの意匠変更も行いリフレッシュ。レクサスブランド車としては初めてLEDウインカー内蔵ドアミラーが採用された。さらにインテリアにもシートやステアリングホイールの意匠や材質を変更するなどさらに質感を向上させ商品性の向上を図った。
- 年次改良(2008年)
10月、年次改良を実施し2009年モデルへ移行。主な改良点として、レクサス車初となるソフトプライバシーガラスをリアウインドウとリアドアに採用し全車に標準装備された。
- 年次改良(2009年)
8月、年次改良を実施し2010年モデルへ移行。ナビゲーションシステムの機能を向上し、新たに「マップオンデマンド(通信により地図を最新版へ自動更新する機能)」や地上デジタルテレビチューナーを追加。さらにポータブルオーディオプレイヤーと接続するUSB端子をコンソールボックス内に設置し、MDプレーヤーを廃止した。また、運転席と助手席に鞭打ち傷害の軽減に寄与する「アクティブヘッドレスト」を標準装備した。ボディカラーも差し替えが行なわれ、新たにスリークエクリュメタリック・ディープペリドットマイカ・ラピスラズリマイカが追加され、内装色もセミアニリン本革シートが「エボニー」から「ブラック」へ変更され、アイボリーもより明るい色調へと変更された。
そしてGS450hではこれらの変更点に加え、専用の意匠としたフロントグリルとリアコンビネーションランプと18インチアルミホイールが与えられた。また内装にもブラック&ウォーターホワイトのGS450h専用色を設定し、HS250hと同じく「LEXUSハイブリッドブルー」色のパワースイッチを新採用するなどガソリンエンジン車との差別化を図った。
2010年8月にはレクサスブランド開業5周年を記念し、GS350・GS450hをベースに、穏やかなブラウンの本革シートの外側に深みのあるオレンジを配色して夕陽が後ろから優しく差し込み包み込むような空間を演出した特別仕様車「Art Works」を発売。
4代目 L1#型(2012年 - )
- 発表(2011年)
2011年8月19日(日本時間)に、アメリカ・カリフォルニア州で開催された「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」会場で、2012年モデルの新型(4代目)「LEXUS GS350」をワールドプレミアとして発表[2]。また、日本におけるレクサスでは初のフルモデルチェンジ車である。
また、9月13日にはフランクフルトモーターショーでGS450hを[3]、11月1日にラスベガスのSEMAショーではGS350"F SPORT"を[4]、そして広州国際モーターショーではGS250[5]をそれぞれ発表したほか、2011年11月から開催された第42回東京モーターショーにおいても市販仕様が出展された。
プラットフォームは専用設計となった。
- 発売(2012年)
2012年1月26日に日本国内仕様のフルモデルチェンジが正式発表[6]され、同日からガソリン仕様のGS250とGS350の販売が開始された。ハイブリッド仕様のGS450hについては同年3月19日より販売開始。
居住性向上のため、先代に比べて全高を30mm(AWD車は35mm)拡大。全幅もトレッドを前後ワイド化しながらも20mm拡大に抑え、全長を据え置いたことで外形サイズの最小化と室内スペースの拡大を両立。外装デザインは次世代レクサスの共通デザインアイコン「スピンドルグリル」を初採用。逆台形のアッパーグリルと台形のロアグリルを組み合わせた形状で、空力・冷却などの性能向上を活かした造形とした。ヘッドライトはハイビーム・ロービームともにLEDとしたHi/Lo LEDヘッドランプを採用(GS450hは標準装備、GS250/GS350はオプション設定)し、高い照射性能を実現。内装も量産車としては最大クラスとなる12.3型高精細ワイドディスプレイ、パソコンのマウス感覚で操作できる第2世代「リモートタッチ」、自発光指針のレクサス初のアナログ時計を採用するなど、デザイン性と使いやすさを両立。またGS450hのversion LとI Packageには高知県産の天然の竹を使用した「バンブーステアリング」を採用した。
エンジンはGS350には先代と同じくV6・3.5Lの2GR-FSE型を、新設のGS250にはIS250と同じV6・2.5Lの4GR-FSE型を搭載。ハイブリッド仕様のGS450hには次世代直噴D-4Sシステムとアトキンソンサイクルを採用した2GR-FXE型を採用。さらにパワーコントロールユニットの刷新やトランスミッションの改良、エネルギー回生制御の大幅な性能向上等により、燃費が大幅に向上された(JC08モードで18.2km/L、平成27年度燃費基準+20%達成)。GS250・GS350・GS450hいずれにもノーマルグレードのほかに、電動リアウインドウサンシェード、手動式リアドアサンシェード、本革シートを追加した「I Package」、専用アルミホイール、本木目+本革ステアリング&本革シフトノブ、セミアニリン本革シート、運転席・助手席18Way調整式パワーシート等を追加した「version L」のほか、「LFA」を頂点とするレクサスのスーパーカー「Fパフォーマンス」の走りのテイストを継承し、高速域での走行安定性・中速域での卓越した機敏性・低速域での取り回しの良さを実現する4WS「LDH」(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム。GS350の2WD車とGS450hに装備)、走行性能を最大限に引き立てる専用デザインの19インチアルミホイールや専用チューンズドサスペンション、メッシュ仕様の「スピンドルグリル」や専用の内外装を採用した「F SPORT」の4種類が用意される。また、GS350についてはAWD車も設定されている。
- 年次改良(2013年)
2013年10月17日に日本仕様を一部改良。GS350の2WD車に「8-Speed SPDS(8-Speed Sport Direct Shift:8速スポーツダイレクトシフト)」を新たに採用したことで高速巡航での燃費向上に貢献するとともに、多段ATによるなめらかな加速と最短0.2秒で変速するMポジションでのダイレクトな操作感を両立。走行中にドアミラーでは確認しにくい後側方を走行する車両をレーダーで検知してドライバーに注意喚起することで車線変更時の安全運転を支援するブラインドスポットモニターをオプション設定するとともに、ヘッドアップディスプレイ(ノーマルグレードを除く全車にオプション設定)をカラー表示に変更したことで視認性を高めた。内装ではオーナメントパネルの設定グレードの拡大を行い、GS250・GS350の「version L」と「I package」にはバンブーを、「F SPORT」には本木目(ウォールナットか縞杢を選択)をそれぞれ追加。また、LSで採用されたオートエアコン・シートヒーター・シートベンチレーションを連携制御することで車内を快適に保つとともに過度な運転を抑制することで省燃費にも寄与する「レクサス クライメイト コンシェルジュ」をノーマルグレードを除く全車に標準装備した。外装では全車に装備されているフロントフォグランプをLEDタイプに変更し、LEDクリアランスランプに昼間の被視認性を高めるデイライト機能を追加。「version L」には19インチアルミホイールをオプション設定に追加し、ボディカラーは「F SPORT」専用色の「ホワイトノーヴァガラスフレーク」を追加した全11色を設定した。
併せて、ハイブリッドモデルの新グレードとして、GS300hを追加。2.5L直列4気筒アトキンソンサイクルD4-Sエンジンである2AR-FSE型にGS450hと同じ1KM型モーターを組み合わせたハイブリッドシステム(リダクション機構付THS II)を搭載したことで、ダイナミックな走りとJC08モード燃費で23.2km/Lの優れた低燃費を実現させた。また、GS450hよりも割安な価格設定だけでなく、使用燃料がレギュラーガソリンとなっているため、経済性にも配慮されている。同一車種のハイブリッドで複数のパワートレーンを持つのは、レクサスのみならずトヨタ全体で見ても前例がなく、日本国内全体で見てもホンダ・インサイトに続き2例目である。グレード体系はGS250・GS350・GS450hと同じく、ノーマルグレード・「I Package」・「version L」・「F SPORT」が設定される。
- 年次改良(2014年)
2014年8月21日に日本仕様を一部改良(9月1日販売開始)[7]。ボディカラーに色を表現する塗装膜を意匠と機能の2層構造に分け、意匠層を乾燥させて体積収縮することで光輝材(マイカ粒子)の並びをきめ細かく整え、滑らかな質感と強い陰影感を実現した独自技術「ソニック技術」による明暗のグラデーションで造形美を際立たせる「ソニックチタニウム」を追加し、シャークフィンアンテナの形状を新しくした。「version L」には助手席に電動オットマンが搭載されて快適性を向上したほか、microSDカードを用いた情報更新やパソコンやオーディオ機器に保存した音楽再生に対応したSDナビゲーションシステムを標準装備。さらに、G-Link機能には同年7月に一部改良したISや新規発売のNXに順次導入されている音声対話サービス・先読み情報案内サービス「エージェント」とアプリケーション追加機能の「LEXUS Apps」を搭載した。 テンプレート:-
受賞歴
- 2012年12月、GS450hのサドルタンインテリアがオートカラーアウォード2013でオートカラーデザイナーズセレクション・インテリア部門を受賞。
車名の由来
- 「GS」の車名は「Grandtouring Sedan」[8]の頭文字をとった略である。
カスタマイズカー
GS(3代目)と同時期に開発された他のレクサス車(ISなど)やトヨタ車(クラウン、マークXなど)と同じように、細やかな電子制御や特殊なパーツ等によりカスタマイズは難しいとされてきたが、現在ではトヨタのセミワークス的存在とも言えるトムス(TOM'S)をはじめ、数多くのチューニングパーツメーカーなどがカスタマイズに成功している。
脚注
- ↑ ちなみに日本国外市場ではSUVの「RX400h」がレクサス初のハイブリッドカーである。
- ↑ レクサス、北米で新型「GS」シリーズを世界初公開
- ↑ LEXUS、フランクフルト国際モーターショーに次期GS450hを出展
- ↑ LEXUS、米国SEMAショーに次期GS350のスポーティバージョン“F SPORT”を出展
- ↑ LEXUS、広州国際モーターショーに次期GS250を出展
- ↑ LEXUSの新たなステージを切り開く、新型GSを発売
- ↑ LEXUS、GSを一部改良 - トヨタ自動車 2014年8月21日
- ↑ トヨタの概況2009 国内販売車両一覧(PDF)より