神戸電気鉄道3000系電車
テンプレート:鉄道車両 神戸電気鉄道3000系電車(こうべでんきてつどう3000けいでんしゃ)は、神戸電鉄(神鉄)が神戸電気鉄道時代の1973年に導入した通勤形電車。
目次
概要
沿線の乗客の増加と旅客サービスの向上に対応するため、神鉄の保有車両数が100両を突破[1]した1973年に製造が開始されたアルミ合金製車体の冷房車である。大きく分けて1973年から1981年まで製造された前期型と、増備中断期間を経て1989年から新造が再開され、1991年まで製造された後期型に分けられる。
4両編成で組成され、先頭車デ3000形・中間車デ3100形の全車が電動車である。電動機出力は75kWで、1両に4基搭載される。制御装置は電動カム軸式自動総括制御で発電ブレーキ機能を有する。機器は奇数車の床下一杯に搭載するほか、偶数車にも分けて搭載される。
1974年の鉄道友の会ローレル賞(当時は投票制)の選定では、西日本鉄道2000形電車の獲得票数455票に120票余り及ばず、次点となった。
車体
車体は1000系列と同様の18m級であるが、軽量化を図るためアルミ合金製となった。側面は1,300mm幅の両開き扉を片側に3ヶ所配置し、バランサーを設置した大型の1枚下降窓を配する。前面は非貫通の折妻構成の2枚窓を採用、窓下に丸型のヘッドライトを2つ配置、窓上には種別と行先を表示する方向幕と尾灯が設置されている。塗装はアルミ地肌を生かしたクリアラッカー仕上げに、赤を基調とした塗装から『ウルトラマン電車』のニックネームがある。
1978年製の3007編成からは、尾灯がそれまでの凸型から凹型に変更された。建造が再開された1989年製の3013編成から塗装が変更され、先頭車側面にKマーク、側面種別・行先表示器を種別用と行先表示用とに分割・大型化。併せて内装も一新された。さらに3015F・3017Fでは運転台のマスコンハンドルの形状も変更された。
主要機器
制御装置・主電動機
主電動機は1000系列と同系列のMB-3054-C直流直巻電動機(75kW×4/両)を採用。制御方式はいわゆるMM'ユニット方式、制御単位は1C8Mで、2・4・6両での組成が可能。直並列制御を行うため制御器は多段式のABFM-108-15MDHを採用、制御装置を3000形奇数車 (cM) と3100形奇数車 (M) に搭載、電動機を4個ずつ直列として2群を、直列17段・並列8段・弱め界磁4段の計29段で制御する。また、下り急勾配区間用の定速度抑速制御装置を設置、マスコンからの指令により乗客の多少、勾配の変化(40~50‰)、車輪径の変化などにかかわらず補助電源装置からの添加励磁電流の制御により定速度抑速運転が行われる。駆動装置は平行カルダン駆動方式を採用し、歯車比は7.07である。
台車
KW-12ウイングばね軸箱守式軸箱支持方式ダイレクトマウント空気ばね台車を採用。3015Fと3017Fのみ軸梁式のKW-67を装着する。
集電装置
PT-4808-A-M下枠交差型パンタグラフを採用している。3000形奇数車 (cM) と3100形奇数車 (M) の神戸方の屋根上に搭載している。
ブレーキ
ブレーキ装置は従来と同様HSC-D電磁直通空気ブレーキを採用するほか、非常電制については非常ブレーキ操作後一定時間(3秒間)空制が作用しない場合、気圧スイッチでこの状態を検知、自動的に空気ブレーキの作用しない車両のみ非常電制が作用、制動距離が伸びるのを防止する。 保安ブレーキも併せて装備する。
補助電源・空気圧縮機
補助電源装置は定速度抑速制御装置や冷房を搭載した関係から大容量のMG-111-S電動発電機を採用。容量は75kVAである。後期グループでは前記のMGに代えて70kVAのNC-FAT70A静止形インバータを採用。電動空気圧縮機はC-2000電動空気圧縮機を採用。吐出容量は毎分2100リットルである。これら補機類は3000形偶数車 (M'c) と3100形偶数車 (M') に搭載する。
冷房装置
神戸電鉄初の冷房車として集約分散式の冷房装置を採用した。前期グループはCU-18(8,500kcal/h×4)を装備、後期グループでは1000系列で採用されていた省エネタイプのCU-193R(10,500kcal/h×3)を装備する。冷風吹出口も前期グループはスポット方式、後期グループはラインフロー方式と異なる。
運用
有馬線、三田線、粟生線の各線で運用されている。入線有効長が3両分であった三田線の道場南口以北と粟生線の志染以西は長らく入線実績がなかったが、三田線は1991年3月、粟生線は2001年6月に4両対応化が実施され全区間の運用を開始した。公園都市線は3両編成のみのため、定期運用は実施されていない。
編成
3000系は4両編成が9本(36両)製造されたが、3001Fが2014年3月31日付で廃車された[2]。同年6月現在は4両編成8本(32両)が在籍し、5000系に次ぐ在籍数である。
デ3000形制御電動車 (cM・M'c) とデ3100形中間電動車 (M・M') からなる全車電動車の4両編成で、有馬方から cM-M'-M-M'c の順に編成される。奇数車 (cM・M) には三菱電機製の電動カム軸式制御装置と定速度抑速制御装置を、偶数車 (M'c・M') には補助電源装置(電動発電機(前期グループ)または静止形インバータ (SIV・後期グループ))・電動空気圧縮機 (CP) ・蓄電池 (BT) が搭載されている。パンタグラフ (PT) は奇数車の神戸寄り車端部に付けられている。
脚注
参考文献
- 『鉄道ピクトリアル No.711 2001年12月臨時増刊号』、電気車研究会、2001年
- ↑ 1973年時点での車両保有数は113両、旅客車のみの合計も102両に達している。
- ↑ テンプレート:Cite journal