佐藤学 (教育学者)

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佐藤 学(さとう まなぶ、1951年 - )は日本教育学者学習院大学教授東京大学名誉教授。「学び」の研究と学校改革の実践で知られ、日本の授業研究をリードしてきた人物である。

経歴

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アメリカ進歩主義教育における単元学習の歴史や日本の学校カリキュラム改革の研究、「学び」の研究、教師の同僚性の研究などの第一人者として、さらには学校改革のスーパーバイザーとしても知られている。

1980年代に稲垣忠彦との協同で授業研究と教師研究を展開する。1990年代には佐伯胖とともに、「学び」ということばを教育研究や教育論に導入することを提唱する。佐藤において「学び」とは、モノ(対象世界)との出会いと対話による「活動(action)」、他者との出会いと対話による「協同(collaboration)」、自分自身との出会いと対話による「反省(reflection)」が三位一体となって遂行される「意味と関係の編み直し(re-contextualization)」の永続的な過程として定義されている。

また、「学び」を核とした学校改革の理念として「学びの共同体」を提唱する。佐藤において、「学びの共同体」は、学校の使命と責任と教室の公開を要請する「公共哲学」、多様な人々がともに生きる生き方としての「民主主義の哲学」、授業も学びも絶えず最上のものを追求する「卓越性の哲学」の三つの哲学を根本として定義されている。具体的な方法としては、授業改革、授業検討会、保護者や市民の学習参加の三つを、上記の「学び」の定義に従って展開することを提案している。

佐藤の主張する「学び」と「学びの共同体」は、デューイの思想に基づいた公共性共和制民主主義の理論、ヴィゴツキーの思想に基づいた社会的構成主義の学習論、ネル・ノディングズの「ケアリング」から示唆を得た受容的対話の概念を主な背景としている。一方で、合理的主体を想定した積極的リベラリズムには批判的である。こうした彼の理論に対しては、2000年代初頭において、アナーキズム的なリベラリズムを主張していた宮台真司などから批判が寄せられた。

社会的活動

  • 日本学術会議 会員(第19期)第一部副部長(第20期)会員(第21期)第一部部長(第22期)
  • 日本教育方法学会、日本教師教育学会、日本カリキュラム学会、教育史学会の理事を歴任。
  • 日本教育学会 会長(2004-2009年)
  • 全米教育アカデミー(NAed)会員(終身)
  • アメリカ教育学会(AERA)名誉会員(終身)

単著

博士論文

論稿集三部作

教科書

一般書

翻訳

共著・編集

教科書

  • 稲垣忠彦 『授業研究入門』 岩波書店、1996年。
  • 秋田 喜代美、恒吉僚子 『教育研究のメソドロジー—学校参加型マインドへのいざない』 東京大学出版会、2005年
  • 秋田喜代美 『新しい時代の教職入門』 有斐閣、2006年。

実践記録

  • 新潟県小千谷市立小千谷小学校 『「親と教師で創る授業」への挑戦…授業参観から学習参加へ』 明治図書出版、1998年。
  • 新潟県長岡市立南中学校 『地域と共に“学校文化”を立ち上げる』 明治図書出版、2000年。
  • 大瀬敏昭・神奈川県茅ケ崎市浜之郷小学校 『学校を創る…茅ヶ崎市浜之郷小学校の誕生と実践』 小学館、2000年。
  • C.エドワーズ・L.ガンディーニ・G.フォアマン・森真理・塚田美紀 『子どもたちの100の言葉 レッジョ・エミリアの幼児教育』 世織書房、2001年。
  • 大瀬敏昭・神奈川県茅ケ崎市浜之郷小学校 『学校を変える…浜之郷小学校の5年間 』 小学館、2003年。
  • 佐藤雅彰・静岡県富士市立岳陽中学校 『公立中学校の挑戦…授業を変える学校が変わる 』 ぎょうせい、2003年。
  • 津守真・岩崎禎子・東京都港区愛育養護学校 『学びとケアで育つ…愛育養護学校の子ども・教師・親』 小学館、2005年。
  • 和歌山大学教育学部附属小学校 『質の高い学びを創る授業改革への挑戦 新学習指導要領を超えて』 東洋館出版社、2009年。
  • ワタリウム美術館(編) 『驚くべき学びの世界 レッジョ・エミリアの幼児教育』 ACCESS、2011年。

その他

  • 『「にほんご」の授業』谷川 俊太郎、竹内 敏晴、稲垣 忠彦、佐藤 学 1989
  • 『シリーズ授業〈1〉教師主導型からの脱皮』石井順治、佐藤学 1989
  • 『シリーズ授業〈2〉子どもの読みを開く授業』若林達也、佐藤学、田村省三 1989
  • 『学校の再生をめざして〈1〉学校を問う』佐伯 胖、佐藤 学、汐見 稔幸  1992
  • 『学校の再生をめざして〈2〉教室の改革』佐伯 胖、佐藤 学、汐見 稔幸  1992
  • 『学校の再生をめざして〈3〉現代社会と学校』佐伯 胖、佐藤 学、汐見 稔幸  1992
  • 『教室にやってきた未来コンピュータ学習実践記録』佐伯 胖、苅宿 俊文、佐藤 学、 NHK取材班 1993
  • 『日本の教師〈9〉 カリキュラムをつくる』佐藤 学、小熊 伸一 1993
  • 『日本の教師〈14〉教師としての第一歩』佐藤 学、前田 一男 1993
  • 『日本の教師〈15〉教師としての私を変えたもの』佐藤 学、小熊 伸一 1993
  • 『教育への挑戦〈1〉教室という場所』佐藤 学 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈1〉学びへの誘い』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈2〉言葉という絆』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈3〉科学する文化』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈4〉共生する社会』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈5〉表現者として育つ』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1995
  • 『シリーズ学びと文化〈6〉学び合う共同体』佐伯 胖、佐藤 学、 藤田 英典 1996
  • 『岩波講座 現代の教育〈第0巻〉教育への告発』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第1巻〉危機と改革』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第2巻〉学校像の模索』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第3巻〉授業と学習の転換』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第4巻〉いじめと不登校』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第5巻〉共生の教育』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第6巻〉教師像の再構築』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第7巻〉ゆらぐ家族と地域』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第8巻〉情報とメディア』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第9巻〉教育の政治経済学』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第10巻〉変貌する高等教育』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第11巻〉国際化時代の教育』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『岩波講座 現代の教育〈第12巻〉世界の教育改革』佐伯 胖、佐藤 学、浜田 寿美男、 黒崎 勲 1998
  • 『心理学と教育実践の間で』佐伯 胖、佐藤 学、宮崎 清孝、 石黒 広昭 1998
  • 『教育時評1997→1999』佐藤 学 1999
  • 『内破する知身体・言葉・権力を編みなおす』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2000
  • 『語りつむぎだす』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2000
  • 『言説切り裂く』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2000
  • 『装置壊し築く』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2000
  • 『知の植民地越境する』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2001
  • 『文化の市場交通する』栗原 彬、佐藤 学、小森 陽一、 吉見 俊哉 2001
  • 『教育本44転換期の教育を考える』佐藤 学 2001
  • 『教育学年報〈9〉大学改革』藤田 英典、片桐 芳雄、黒崎 勲、 佐藤 学 2002
  • 『子どもたちの想像力を育むアート教育の思想と実践』佐藤 学、 今井 康雄
  • 『学校教育を変える制度論教育の現場と精神医療が真に出会うために』三脇 康生、佐藤 学、 岡田 敬司 2003
  • 『教育学年報〈10〉教育学の最前線』藤田 英典、片桐 芳雄、黒崎 勲、 佐藤 学 2004

参考文献・脚注

  • ReaD研究者情報

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