ブラジリアンワックス脱毛
ブラジリアンワックス脱毛(ブラジリアンワックスだつもう)は、ビキニラインの部位を含むワックス脱毛の一種である。この脱毛では、肛門、会陰、および外性器(大陰唇もしくは男性器、および恥丘)周辺の毛を完全に取り除く(外性器の上部の陰毛を小さな線状に残す、全て取り去るなど、ヘアのデザインは好みで決めることができる)。ブラジリアンビキニワックス脱毛あるいはアンダーヘア脱毛などとも呼ばれる。
女性がTバックのビキニ水着を着用するために行われるようになったもので、Tバック発祥の国ブラジルから命名されたという説があり、後に男性に対しても行われるようになった。
手順
他のワックス脱毛と同様に、脱毛をする部位に温めたワックス剤を薄く塗ってのばし、その上にワックス脱毛専用の不織布をあてて引きはがすのが一般的な手順である。また、ワックス剤にはソフトとハードがあり、施術部位や毛の長さ、技術者の好み(溶剤の扱いやすさ)により用途が異なる。上記のように、専用の不織布を当てず、ワックス剤を肌に塗布し、数十秒後に堅くなってきたワックス剤をそのまま引きはがす溶剤もある。これは溶剤の特徴により、不織布を使用するか、しないかが異なるのでメーカーに問い合わせ、正しい使用方法を行うべきである。しかしこの不織布を使用しない溶剤は欧米では多く用いられているが、再度溶かして使用できるという事から、一般的には衛生面が問題視されている。この種の脱毛法の利点は、かみそり負けを生じないことと、毛の再生がゆっくりとしていることである。また、不利な点として、体の最も敏感な部分に対して行うために、脱毛からしばらくの間、皮膚が赤くなることも多い。
ビキニライン、恥丘および陰部を脱毛する際には、ベッドにあおむけの姿勢をとり、脚の間の部位はそのまま開脚して脱毛を行うことが多いが、国や店によってやり方はまちまちである。会陰部や肛門の周囲の脱毛は四つんばいの姿勢をとるのが普通である。しかし、最近では横向きになって行う店もあり、下半身には何も着用しない場合が多いが、何もはいていないことによる不安感や羞恥心を和らげるために、腰のゴムひもを布地が左右にスライドできるように作られた使い捨てのTバックショーツをはき、脱毛する部位だけが露出するように布地をずらしながら実施される場合もある。下着を着用するかどうかにかかわらず、脱毛を受ける者のプライバシーが守られていることと、相互の信頼関係にもとづくリラックスした雰囲気が重要である。
恥丘に一定の幅だけ毛を残す場合などには、脱毛しない部分に紙などを当てて、その周囲を脱毛する。一定の形状(例えばハートスートの形など)に毛を残す場合も同様であるが、ワックスで脱毛しきれずに残った毛や生え際の部分はピンセットで1本ずつ抜いて整える。
ピンセットで残った毛を取り除くのがされる側とすれば苦痛であるが、必要以上にワックス剤を塗り、何度も剥がす行為を繰り返すよりは肌へのダメージが少ないため、いたしかたない。脱毛後、皮膚に残ったワックスを取り除き、さらに鎮静効果のあるローションなどを塗ることもある。
起こりうる皮膚疾患
脱毛行為を行うことで様々な皮膚疾患が考えられる。人々が行う脱毛行為にはレーザー脱毛、フォト脱毛(光)、ワックス脱毛、クリーム脱毛、カミソリ処理、毛抜き処理等様々な脱毛方法が存在する。これらすべての脱毛行為において確実に起こるであろう皮膚トラブルは施術箇所が赤くなる、毛穴がブツブツと赤くなる、施術箇所が腫れる、施術箇所が熱を持つという症状は上記脱毛行為を行う95%以上で多く確認報告されている。
また、これら以外で起こりうる症状は埋没毛、毛膿炎、内出血、色素沈着、肌荒れ等である。個々の皮膚の状態やその日の体調などにもよるが、ブラジリアンワックス脱毛での内出血と肌荒れについては起きる可能性が高い。
陰部の粘膜箇所はおりものの量、ホルモンバランス、生理前後により日々異なり、ワックス剤を付け剥がすという行為で皮膚が引っ張られ、内出血を起こす事がある。人体の中で陰部粘膜箇所とよく似ている箇所は口腔内、鼻腔内であるが、口腔内で置き換えて考えてもよくわかるだろう。口の中は少しでも熱い物や冷たい物、そのほか間違って自分自身で噛んでしまっただけでも内出血や血豆ができることが多々ある。
陰部粘膜箇所は乾燥している場合や尿で湿る、おりものの分泌で湿った状態の場合があるため、内出血や肌荒れがよく起きる。このような症状が出てしまった場合、内出血は数日~数週間で皮膚下の血液が散っていくため問題ないが、肌荒れの場合は冷却、保湿を徹底すると早急な改善がみられる。
サービスの状況
古代ギリシアの時代から陰毛を脱毛することが行われていた欧米において、女性たちは比較的容易にこの脱毛法を受け入れて一般的になっている、しかし男性が陰毛を脱毛するのは人に言いにくいこととされ、1990年代以降しだいに受け入れられるようになってきた。2003年にアーノルド・シュワルツェネッガーがカリフォルニア州知事に選出された時に、立候補したときの決意をかためることは、1978年に出場したボディビルディングの大会に出場するために(完全なブラジリアンであったかどうかはっきりしないが)ビキニ脱毛すべきかどうか真剣に悩んだのと同程度のものであったと述べていることからも、当時の男性にとってビキニ脱毛には心理的に大きな抵抗があったことがうかがわれる。
市販されている家庭用のワックス脱毛用品も使うことはできるが、「フル・ブラジリアン」あるいは「プレイガール」「プレイボーイ」などと呼ばれる完全な脱毛を望むなら、有資格者のいるショップやサロンへ行くべきであろう。
2008年の日本においては、衛生的 (hygiene) な女性に由来する「ハイジニーナ」という言葉が、陰毛を脱毛処理した女性という意味で何度も雑誌に取り上げられ、ブラジリアンワックス脱毛も話題になった[1]。この施術を提供しているエステティックサロンも増加してきたが、男性向けは少数である。また、すでにレーザー脱毛が普及してきており、これによって陰毛の脱毛処理を受けることもできる。
欧米において、脱毛の専門家は低い温度で融けるワックスを使用する。また、皮膚を引っ張って伸ばしたり、男性に対しては陰茎や陰嚢などを動かすための介添えもするが、施術を受ける男性が自ら行うこともある。男性は女性よりも陰部の形状が複雑で毛の量や太さなどのために時間がかかることが多く、完全なワックス脱毛には専門家でも最高4時間程度を要する。
ワックス脱毛ではないが、日本でもレーザー脱毛や電気による針脱毛を実施している医療機関では、女性に対しても、男性に対しても、ビキニラインより内側の会陰や肛門の周囲を含めた陰部の脱毛が行われていることが多い。脱毛を受けることができるかどうかは、公開されている料金表などを見るか、わからない場合は問い合わせればよい。
技能習得
日本においては、エステティシャンのための教育の一環としてワックス脱毛の基本を学ぶことが多い。日本で多く活動が見られる、日本ブラジリアンワックス協会では日本での正しい知識と技術の普及を目的としている近年日本に普及させている者の多くは、欧米から帰国した者が無資格で行い日本で広めているのが現状でその半面トラブルを多く招いている。施術方法、使用する製品などは日本人向けの正しい技術と知識を身につけるべきである。