綏靖天皇

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綏靖天皇(すいぜいてんのう、神武天皇29年 - 綏靖天皇33年5月10日)は、日本の第2代天皇(在位:綏靖天皇元年1月8日 - 同33年5月10日。『日本書紀』では神渟名川耳尊(かむぬなかわみみのみこと)、 『古事記』では神沼河耳命(かむぬなかわみみのみこと)ともいう。綏靖天皇という呼称は、奈良時代後期の文人である淡海三船が歴代天皇の漢風諡号を一括撰進したときに付されたとされ、「綏」も「靖」も「やすらか」の意であり「綏靖」で「安らかに落ち着く」の意がある。

いわゆる欠史八代の1人だが実在説もある(欠史八代の実在説を参照)。

事績

  • 神武天皇42年に立太子。
  • 同76年3月に神武天皇が崩御。
  • 神武天皇崩御後、タギシミミの反逆が発生。
  • 都を葛城高丘宮(現在の奈良県御所市か?)に移す

詳細はタギシミミの反逆を参照


父・神武天皇が崩じた後、朝政の経験に長けていた庶兄の手研耳命(たぎしみみのみこと)が、腹違いの弟たちを害そうとした。神渟名川耳尊は母の歌からこのことを察知し、同母兄の神八井耳命(かむやいみみのみこと)とともに片丘(現在の奈良県北葛城郡王寺町)の大窖にいる手研耳を襲い、これを討った。この際、神八井耳は恐怖で手足が震えおののいて矢を放てず、代わりに神渟名川耳が矢を射て殺したとされる(己卯年11月)。 この失態を恥じた神八井耳は弟を助けて天神地祇を掌り、神渟名川耳が天皇として即位することになった。神渟名川耳は翌年1月に高丘宮にて即位。 なお、綏靖天皇から開化天皇までの初期8人の天皇について、綏靖即位前のこの皇位継承争いを除けば、記紀には系譜(帝紀)のみが伝えられ、事績(旧辞)が全く記されていないため、一般にまとめて「欠史八代」と称される。

なお、南北朝時代に安居院澄憲の子孫によって編まれたとされる『神道集』によれば、綏靖天皇には食人の趣味があり、朝夕に7人もの人々を食べ、周囲を恐怖に陥れたため、人々は「近く火の雨が降る」との虚言を弄し、天皇を岩屋に幽閉して難を逃れたという逸話がある。

古事記』には、45歳で没したといい、『日本書紀』によれば、綏靖天皇33年5月に84歳で没したとされる。

系譜

神武天皇の第3子で、母はヒメタタライスズヒメ(媛蹈鞴五十鈴媛命(『日本書紀』事代主神の女)。『古事記』では比売多多良伊須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ)である。(稗史では神武天皇の姉奈留多姫だといわれている。)

  • 皇后:『日本書紀』では五十鈴依媛命(いすずよりひめのみこと。第1の一書川派媛、第2の一書糸織媛)。『古事記』では河俣毘売(かわまたびめ))
    • 磯城津彦玉手看尊(しきつひこたまてみのみこと、安寧天皇

系図

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皇居

葛城高丘宮(かずらきのたかおかのみや。現在の奈良県御所市森脇か)。『古事記』では「葛城の高岡宮」。

陵・霊廟

(みささぎ)は、奈良県橿原市四条町にある桃花鳥田丘上陵(つきだのおかのえのみささぎ)に治定されている。公式形式は円丘。考古学名は四条塚山古墳

『古事記』では「御陵は衝田岡(つきだのおか)にあり」とある。現陵は直径16mの円墳。中世には山陵が荒廃して所伝を失い、元禄時代の探陵に諸説生じ慈明寺町のスイセン塚古墳(前方後円墳、墳丘長55m)があてられたりしたが、幕末修陵に際して現陵を擬し、明治11年(1878年)治定。

また、皇居では皇霊殿宮中三殿の1つ)において他の歴代天皇・皇族とともに天皇の霊が祀られているほか、阿蘇神社では「金凝神」として十二宮に祀られている。

在位年と西暦との対照

当天皇の在位について、実態は明らかでない。『日本書紀』に記述される在位を機械的に西暦に置き換えた年代については「上古天皇の在位年と西暦対照表の一覧」を参照。

関連項目

脚注

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外部リンク

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  1. 大林太良 『神話の系譜 ― 日本神話の源流をさぐる』 講談社1991年