連分数

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連分数(れんぶんすう、テンプレート:Lang-en-short)とは、分母に更に分数が含まれているような分数のことを指す。分子が全て 1 である場合には特に正則連分数テンプレート:Lang-en-short)ということがある。単に連分数といった場合、正則連分数を指す場合が多い。具体的には次のような形である。

<math>x=a_0 +\cfrac{1}{a_1 +\cfrac{1}{a_2 +\cfrac{1}{a_3}}}</math>

ここで a0整数、それ以外の an は正の整数である。正則連分数は、最大公約数を求めるユークリッドの互除法から自然に生じるものであり、古来からペル方程式の解法にも利用された。

連分数を式で表す際には次のような書き方もある。

<math>x=a_0 +\frac{1}{a_1 +{}}\, \frac{1}{a_2 +{}}\, \frac{1}{a_3}</math>

または

x = [a0; a1, a2, a3]

また、極限の概念により、分数を無限に連ねたものも考えられる。

<math>[a_0 ;a_1 ,a_2 ,a_3 ,\ldots ]=\lim_{n\to \infty} [a_0 ;a_1 ,a_2 ,\ldots ,a_n ]</math>

二次無理数(整数係数二次方程式の根である無理数)の正則連分数展開は必ず循環することが知られている。逆に、正則連分数展開が循環する数は二次無理数である。

連分数展開の例

例として黄金数 φ を考える[1]φx2x − 1 = 0 の正の解である。この式を変形すると、

<math>\begin{align}

x^2 &=x+1 \\ x &=1+\frac{1}{x} \\ &=1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{x}} \\ &=1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{x}}} \end{align}</math> 以下同様にして、

<math>\phi =1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{\ddots}}}}

=[1;1,1,1,1,1,\ldots]</math> と表すことができる。

より一般的には、x2nx = 1 の根を次のように表すことができる。

<math>n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n+\cfrac{1}{n+\ddots \,}}}} =[n;n,n,n,n,\dots ]=\frac{1}{2} \left( n+\sqrt{n^2 +4} \right)</math>

連分数の計算方法

いまある数 ω が与えられたとする。ω を超えない最大の整数を a0 とし、

<math>\omega =a_0 +\frac{1}{\omega_1}</math>

となるよう ω1 を定める。ω1 が整数でないならば、ω1 を超えない最大の整数を a1 とし、

<math>\omega_1 = a_1 +\frac{1}{\omega_2}</math>

となるように ω2 を定めることができる。以下この作業を繰り返すことにより、n 段までの連分数

<math>a_0 +\cfrac{1}{a_1 +\cfrac{1}{a_2 +\cfrac{1}{\ddots a_{n-1} +\cfrac{1}{\omega_n}}}}</math>

を求めることができる。もし ω有理数ならば、この作業は有限回で終了するが、無理数ならば無限にこの作業が続く。

<math>\frac{p_n}{q_n}</math> は ω に収束する。すなわち上記の作業を繰り返すことによりいくらでも実数 ω に近い有理数を求めることができる。また、ω と連分数の差は

<math>\left| \omega -\frac{p_n}{q_n} \right| <\frac{1}{{q_n}^2}</math>

となることが知られており、連分数はディオファントス近似の解を求める手段として有効である。

連分数の性質

いま、a0整数、それ以外の an は正の整数であるような数列

<math>a_0 ,a_1 ,a_2 ,a_3 ,\ldots</math>

があるとき、数列 pn, qn を以下のように定める。

<math>\begin{cases}

p_0 =1\\ p_1 =a_0\\ p_n =a_{n-1} p_{n-1} +p_{n-2} \ (n\ge 2) \end{cases} \quad \begin{cases} q_0 =0\\ q_1 =1\\ q_n =a_{n-1} q_{n-1} +q_{n-2} \ (n\ge 2) \end{cases}</math> このとき、連分数は

<math>[a_0 ;a_1 ,a_2 ,\dots ,a_{n-1} ]=\frac{a_{n-1} p_{n-1} +p_{n-2}}{a_{n-1} q_{n-1} +q_{n-2}}=\frac{p_n}{q_n}</math>

となる。

pnqn にユークリッドの互除法を適用すると、割り算の商として数列 a0, a1, ... , an−1n 個の整数が順番に現れる。上記の数列 pn, qn の定義は互除法の操作を逆にたどったものともいえる。

また、pn, qn は整数であるから、ユークリッドの互除法の帰結より、pnqn は互いに素である。つまり連分数 <math>\frac{p_n}{q_n}</math> は既約分数である。

さらに |pn+1qnpnqn+1| = 1 である。また、pnpn+1 および、qnqn+1 も互いに素である。

なお数列an が全て 1 の場合、 数列pn, qn はともにフィボナッチ数列 (F0 = 0, F1 = 1) である。すなわち

<math>\frac{p_n}{q_n} =\frac{F_{n+1}}{F_n}</math>

である。そして、上で記したようにこの連分数は黄金比に収束する。ゆえに隣り合うフィボナッチ数列の比は黄金比に収束することが分かる。

様々な数の連分数展開

1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1} {2+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\cdots}}}}}}}</math>

1+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1} {1+\cfrac{1}{2+\cfrac{1}{\cdots}}}}}}}</math>

  • 黄金数逆数 φ−1 = [0; 1, 1, 1, 1, 1, 1, ...]
  • 白銀数[1] 1 + √2 = [2; 2, 2, 2, 2, 2, 2,…]
    • 白銀数の逆数 <math>\frac{1}{1+\sqrt2} =-1+\sqrt2 =[0; 2, 2, 2, 2, 2, 2,\dots]</math>

以上は二次無理数であるので、循環する連分数展開を持つ。

ネイピア数超越数であり、その連分数展開は循環しないものの一定の規則性を持つ。

  • ネイピア数 e = [2; 1, 2, 1, 1, 4, 1, 1, 6, 1, 1, 8, 1, 1, 10, ...]

円周率の正則連分数展開には規則性がないと考えられている。

円周率の正則でない連分数で規則性を持つものが存在する。

<math>\pi=3+\cfrac{1^2}{6+\cfrac{3^2}{6+\cfrac{5^2}{6+\cfrac{7^2}{6+\cfrac{9^2}{6+\cfrac{11^2}{\ddots \,}}}}}}</math>
<math>\cfrac{4}{\pi} =1+\cfrac{1^2}{3+\cfrac{2^2}{5+\cfrac{3^2}{7+\cfrac{4^2}{9+\cfrac{5^2}{11+\cfrac{6^2}{\ddots \,}}}}}}</math>

テンプレート:See also

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

外部リンク

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  1. 1.0 1.1 岩本誠一・江口将生・吉良知文 黄金・白銀・青銅 : 数と比と形と率と