チャノキ
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チャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である。チャの木、あるいは茶樹とも記される。単にチャ(茶)と呼ぶこともある。原産地は中国南部とされているが確かなことは分かっていない。
特徴
中国や日本で栽培される1m前後の常緑低木(学名 : Camellia sinensis)。インド・スリランカなどで栽培される変種のアッサムチャ(学名 : C. sinensis var. assamica)は8 - 15mにも達する高木になる。ここでは基本変種を中心に記述する。
栽培では普通は1m以下に刈り込まれるが、野生状態では2mに達する例もある。幹はその株からもよく分枝して、枝が混み合うが、古くなるとさらにその基部からも芽を出す。樹皮は滑らかで幹の内部は堅い。若い枝では樹皮は褐色だが、古くなると灰色になる。
葉は枝に互生する。葉には短い葉柄があり、葉身は長さ5-7cm、長楕円状披針形、先端は鈍いかわずかに尖り、縁には細かくて背の低い鋸歯が並ぶ。葉質は薄い革質、ややばりばりと硬くなる。表面は濃緑色でややつやがある。その表面は独特で、葉脈に沿ってくぼむ一方、その間の面は上面に丸く盛り上がり、全体にはっきり波打つ。
花は10-11月頃に咲く。花は枝の途中の葉柄基部から1つずつつき、短い柄でぶら下がるように下を向く。花冠は白く、径2-2.5cm、ツバキの花に似るが、花弁が抱え込むように丸っこく開く。
果実は花と同じくらいの大きさにふくらむ。普通は2-3室を含み、それぞれに1個ずつの種子を含む。果実の形はこれらの種子の数だけ外側にふくらみを持っている。日本の地図記号で茶畑を表す記号はこの果実を図案化したものである。
分類
- チャノキ Camellia sinensis (L.) Kuntze
- トウチャ Camellia sinensis (L.) Kuntze f. macrophylla (Siebold ex Miq.) Kitam.
- ベニバナチャ Camellia sinensis (L.) Kuntze f. rosea (Makino) Kitam.
- アッサムチャ(ホソバチャ) Camellia sinensis (L.) Kuntze var. assamica (J.W.Mast.) Kitam.
栽培植物の逸出
日本では、栽培される以外に、山林で見かけることも多い。古くから栽培されているため、逸出している例が多く、山里の人家周辺では、自然林にも多少は入り込んでいる例がある。また、人家が見られないのにチャノキがあった場合、かつてそこに集落があった可能性がある。
日本自生の在来種説
九州や四国に、在来(一説には、史前帰化植物)の山茶(ヤマチャ)が自生しているという報告があり、また、日本自生の在来系統を一般的に日本種という言い方をする[1]説がある。
一方、「日本の自生茶とも言われて来たヤマチャについて、その実態を照葉樹林地域、焼畑地域、林業地域、稲作地域と概見した結果、歴史的にも植物学的にも、日本に自生茶樹は認められないという結論に至った」[2]という日本自生の在来種説に否定的な研究があり、また、「伊豆半島、九州の一部などから野生化の報告もあるが、真の野生ではない」[3]とされ、YList [4]では帰化植物とされている。
特性
チャノキは亜熱帯原産の植物であるため寒さには弱く、日本国内では宮城県(桃生町)が北限とされる[5]が、気候変動の影響もあり絶対的な基準ではない。また暑さに対しても乾燥した気候には弱く、旱魃(干害)で枯れ込むこともある。チャは他の多くの植物と違って、酸性土壌を好む植物であり、土壌の酸性化が進んでいる場合でも、その耐性が比較的強い。また、本来は陽樹に区分されるが、日射量が少ない環境にさらされても生き延びることができるという、耐陰性に優れた特性を持っている。
利用
チャノキの葉は人間が口にする嗜好品として加工されている。チャノキの主に新芽にカフェイン、カテキン、アミノ酸(テアニン)等が豊富に含まれており、飲用として利用されている[6][7]。茶を参照。
また、種子からカメリア油を絞るのにも使われる。
茶品種
種苗法に基づいて登録されている茶品種として、下記のものが挙げられる(抜粋)。
- 星野緑
- おくゆたか
- 司みどり
- たかねわせ
- さとう早生
- おくひかり
- めいりょく
- ふくみどり
- いなぐち
- 寺川早生
- みねかおり
- みなみかおり
- しゅんめい
- さえみどり
- 茶中間母本農1号
- ふうしゅん
- みなみさやか
- さわみずか
- べにふうき
- ほくめい
- みねゆたか
- 松寿
- 摩利子
- 三重緑萌1号
- あさのか
- 藤かおり
- 山の息吹
- 茶中間母本農2号
- さがらひかり
- さがらみどり
- 香駿
- さがらかおり
- さがらわせ
- さきみどり
- りょうふう
- みどりの星
- むさしかおり
- りょくふう
- 茶中間母本農3号
- 成里乃
- 奥の山
- はるみどり
- つゆひかり
- みえうえじま
- そうふう
- さいのみどり
- みやまかおり
- はるもえぎ
- きら香
- 鳳春
- 展みょう
- さやまかおり
- さやまみどり
- おくみどり
- やまとみどり
など。
注釈
- ↑ 武田善行『茶のサイエンス』筑波書房、2004年、ISBN 4-8119-0258-0
- ↑ 松下智『ヤマチャの研究 日本茶の起源・伝来を探る』「愛知大学綜合郷土研究所研究叢書(15)」岩田書院、2002年、ISBN 4-87294-244-2
- ↑ 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年、p.140
- ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ↑ 矢部園茶舗 | YABE-EN.com
- ↑ http://ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/caffeine/
- ↑ http://ocha.tv/production/cultivation/basics/
- ↑ 農林水産省登録品種一覧表
- ↑ 中間母本
参考文献
- 北村四郎・村田源、『原色日本植物図鑑・木本編II』、(1979)、保育社
関連項目
- 茶
- 茶園
- ロバート・フォーチュン
- 多田元吉
- 杉山彦三郎
- 中村順行
- チャノミドリヒメヨコバイ
- チャドクガ
- 茶木みやこ
- ティーツリー
- 入間市博物館:狭山茶の主産地として茶をメインテーマとする。1999年に特別展「北限への旅路―茶の自然と歴史を訪ねて―」を開催。