経済的発注量
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経済的発注量(けいざいてきはっちゅうりょう、Economic Order QuantityまたはEOQ)とは、定量発注方式において、発注費用と在庫費用の総額を最小化する1回あたりの発注量のこと。経済発注量、最経済発注量、経済的ロットサイズとも言われる。
この手法は、F. W. Harrisにより1915年に考案され、R. H. Wilsonの研究によって進化していった。
概要
単一商品に対する経済的発注量は、次式で表される総費用C を最小にする発注量Q である。
- <math>C(Q) = PD + {E\frac{D}{Q}} + {H\frac{Q}{2}}</math>
- (総費用=購入費+発注費用+在庫費用)
式の一部を説明すると、こうである。
- <math>\frac{D}{Q}</math> = 一定期間内の発注回数
- <math>\frac{Q}{2}</math> = 一定期間内の平均在庫量
用いられている変数と定数の意味は、以下のとおりである。
- Q = 発注量(変数)
- P = 取得原価
- D = 一定期間内の需要
- E = 発注ごとに発生する発注費用 (単位あたりの費用ではない)
- H = 一定期間内の単位あたり在庫費用
このとき、経済的発注量の値 <math>Q^*</math> は、次式になる。
- <math>Q^* = \sqrt{\frac{2ED}{H}}</math>
導出
<math>C(Q)</math>を最小とするQ を求めるために、Q についての導関数を計算して、それを 0 とおくと、
- <math>{\frac{dC(Q)}{dQ}} = {\frac{d}{dQ}}\left(PD + {\frac{ED}{Q}} + {\frac{HQ}{2}}\right)=-{\frac{ED}{Q^2}}+{\frac{H}{2}}=0</math>
これをQ について解くと、以下のとおりになる。
- <math>{\frac{H}{2}}={\frac{ED}{Q^2}}</math>
- <math>Q^2={\frac{2ED}{H}}</math>
- <math>Q^* = \sqrt{\frac{2ED}{H}}</math>
なお、このときの総費用は次式になる。
- <math>C(Q^*) = PD + \sqrt{2EDH}</math>
その他
便宜的に、H を次式で計算する方法もある。
- H = PF
ここで、F は、在庫費用係数である。
- F = 在庫費用係数(0〜1の範囲の係数を用い、通常は10〜15%とする)