エチレングリコール
テンプレート:Chembox エチレングリコール (ethylene glycol) は、溶媒、不凍液、合成原料などとして広く用いられる 2価アルコールの一種である。分子式は C2H6O2、分子量 62.07。IUPAC命名法では エタン-1,2-ジオール、あるいは 1,2-エタンジオール と表される。粘稠な無色液体で、水などの極性溶媒に溶けやすい。その性質に加えて融点が −12.6 ℃ と比較的低いので水冷エンジンなどの不凍液として用いられている。引火点 111℃、発火点 398℃で、消防法上の第4類危険物(第3石油類)に指定されている。
合成
エチレングリコールは、エチレンオキシド(エポキシエタン、オキシラン)を酸触媒下で加水分解すると得られる。無触媒条件下でも、高温、高圧下でエチレンオキシドと水を反応させてエチレングリコールを得ることができる。
エチレングリコールの2008年度日本国内生産量は 628,793t、消費量は 12,089t である[1]。
反応・用途
エチレングリコールは、ポリエチレンテレフタラート (PET) の主原料のひとつである。ほかのポリエステルの原料としても同様に用いられる。PEN,PTT等
銅触媒のもとに空気酸化すると、グリオキサールを与える。
エチレングリコールのエーテル類はセロソルブ (cellosolve) とも呼ばれ、ブチルセロソルブやフェニルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどが塗料の溶媒などとして広く用いられている。
毒性
エチレングリコールは甘味を持ち、生体内で代謝を受けると有毒化する。代謝物のシュウ酸による低カルシウム血症、シュウ酸カルシウムの析出による腎障害を引き起こす[2]。不凍液の誤飲や、ワインなどの食品添加物に誤用(過去、日本やドイツでは故意に利用)されて中毒事件の発生や社会問題化することもある。ジエチレングリコールも同様である。誤飲した場合や自殺目的で飲用した場合は、代謝を拮抗するためにエタノールを投与し、エチレングリコールが代謝されずに尿から排泄されるのを待つ。