黄泉がえり

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テンプレート:Portal黄泉がえり』(よみがえり)は、1999年に発表された梶尾真治小説、2003年に映画化された。

本項では、同じモチーフのテレビゲーム作品についても扱う。

概要

タイトルは、死んだ人が黄泉(よみ)から帰って来るという意味[1]

熊本市およびその周辺で突如発生する、死んだはずの人が蘇ってくるという超常現象をベースに、人々の絡み合いを描く物語である。

小説は『熊本日日新聞』土曜夕刊に、1999年4月10日から2000年4月1日まで連載された。作者が熊本出身・熊本在住だということもあり、作品中には熊本市内の実在の地名が数多く登場する。新聞連載時にはSF色を排除した構成になっているが、これは一般夕刊紙であることを意識したものと考えられている。単行本(『黄泉がえり』 新潮社 2000年10月 ISBN 4-10-440201-X)として刊行される際に、「彼」に関する記述が加えられた。

同じ状況設定で別の視点による短編として「黄泉びと知らず」[2]がある。こちらは「詠み人知らず」の語呂合わせ。

また、台湾の出版社より『黄泉歸來』のタイトルで中国語訳が出版されている。

劇場映画版は2003年に公開された。原作小説と同じ超常現象を扱いながらも、視点が異なる。また、同名キャラクターでも設定が異なっていたり、似たような設定のキャラクターでも名前が異なっていたりするため、以下、小説版・映画版のキャラクターを別々に解説する。

小説

熊本市で火の玉やUFOのような不思議な発光体の目撃情報が寄せられ、また同じ頃、熊本地方を震源とする震度1の地震が観測された。この後、死んだはずの人が熊本市内で次々に蘇る(黄泉がえり)。

登場人物

児島雅人
鮒塚万盛堂(株)総務課長、38歳。母・縁、妻・瑠美、小3の娘・愛と暮らしている。勤務先で、亡くなった先代社長を見たという話を聞いた日、自宅では27年前に急逝した父・雅継が黄泉がえる。
中岡秀哉
鮒塚万盛堂(株)営業見習い、30歳。ドジでお調子者。既に職歴が8社もあり、どこも長続きしておらず、26歳で離婚している。しかしこれらは、24年前兄の優一が秀哉を救って水死したことがトラウマとなって影響していた。その中岡の前に、兄の優一が当時の姿で黄泉がえる。
相楽玲子
32歳。4年前に夫の周平が交通事故に巻き込まれて死亡した後、古書店に勤務しながら息子・翔と必死で生きてきた。中岡に交際を申し込まれた翌日、周平が黄泉がえる。
川田平太
肥之國日報社会部記者。通称カワヘイ。児島とは、小・中学校の同級生。独特の風貌でとぼけた物言い、服装はチグハグで、伸びた髪をかき回せばフケが舞う。しかし記者としては優秀で、「黄泉がえり現象」をいち早くつかみ、取材を進めていく。
生田弥生(マーチン)
若くして亡くなった人気歌手。物語の終盤でコンサートを開く。映画版のRUIに相当するが、設定が異なる。
三池義信
警備会社社員。深夜勤務の夜間巡回中に、死んだはずのマーチンを「発見」し、彼女と関わっていくことになる。
六本松三男
相楽周平を死亡させた事故を引き起こした後、家族は離ればなれになり、仕事はまったくうまくいかず、ホームレス寸前まで追いつめられた。いつしか周平を逆恨みするようになったが、そんなある日、黄泉がえった周平が目の前に現れる。
斎紀遙子
40代後半。際だった美貌を備えていたが、母の介護をしながら日々を送り、母が亡くなった現在も独身。高校生のころ一度だけ会ったことのある、天才的なリードギターでボーカル・青葉由高を理想の男性像としていた。自分のところには誰も黄泉がえってこないことから、噂を信じられないでいた。

映画

テンプレート:Infobox Film 2008年ドリームワークスが権利を取得し、リメイク版の製作を発表した。公開時期は未定である。

あらすじ

熊本県阿蘇地方(原作とは異なる)で死んだ人が蘇るという超常現象が起こる。厚生労働省職員の川田平太は、現象の謎を探るため、自分の生まれ故郷でもある現地に赴く。「ヨミガエリ」と名付けられたこの現象は、さまざまなところで人が心に抱いていた思いを呼び起こすきっかけとなって行く。やがて山中で巨大な隕石口が発見され、また現象に対する研究も進められるが、突如ある限界が訪れる。

キャスト

  • 川田平太 - 草彅剛SMAP
    主人公で、厚生労働省厚生科学課勤務の生真面目な性格。名は原作由来だが、役柄・性格ともに全くの別人。本作では東京在住だが、
    黄泉がえり現象調査のため故郷でもある現地に派遣され、亡き親友・俊介の婚約者で幼馴染みでもある葵と再会する。業務を進める中で現象の深層に迫り、発現に必要な要素を知ることになる。秘め続けてきた想いを押し隠し、俊介を黄泉がえらそうと奔走するが…。
  • 橘葵 - 竹内結子
    平太の幼なじみで、本作のヒロイン。地元の役場に勤務し、明るく過ごしているものの、婚約者の死を受け入れられずにいる。平太と再会し、彼への思いと、俊介が黄泉がえってこないことの意味に苦悩するが、実は彼女も黄泉がえりである。
  • 俊介 - 伊勢谷友介
    平太と葵の幼馴染み。葵にプロポーズして婚約した後、海の事故で死亡。
  • 斉藤幸子 - 伊東美咲
    聾学校教諭。聾者で体が弱かった母が自分を出産した後に亡くなったことを、ずっと気に病んでいた。母と再会し、感謝の思いを伝えることが出来た。
  • 斉藤医師 - 田中邦衛
    葵がカウンセリングを受けている医師で、幸子の父。突然黄泉がえった妻に、微笑みながら手話で話しかけるシーンが印象的。
  • 斉藤園子 - 忍足亜希子
    斉藤医師の亡き妻であり、幸子の母。命の危険を冒して娘を出産した、強い意志の持ち主。
  • 玲子 - 石田ゆり子
    夫を亡くした後、幼い娘を抱え、ラーメン屋を営んできた。周平と再会したものの、脳出血で倒れてしまう。
  • 周平 - 哀川翔
    玲子の夫で、男気の強い性格。喧嘩の仲裁に入り、巻き添えで死亡。娘が英也に懐いていることに、複雑な思いを抱く。
  • 山田克典 - 市原隼人
    イジメを苦にして自殺した中学生。葬儀の最中に黄泉がえる。
  • 森下直美 - 長澤まさみ
    克典の同級生で、小学校時代から彼のことが好きだった。
  • RUI - 柴咲コウ
    2年間、音楽活動が確認されていなかったため、死亡説まで出た歌姫。2年前に喪った恋人が黄泉がえったため、活動を再開し、物語の終盤でコンサートを開く。原作のマーチンに相当するが、設定が異なる。
  • SAKU - 村井克行
    RUIの恋人で、キーボード奏者。2年前に亡くなっていたが黄泉がえる。
  • 内藤勝雄 - 三島圭将
    半世紀前に、森で友達と遊んでいて行方不明になった少年。その時のままの姿で、年老いた母親の前に姿を現す。絵を描くのが好き。
  • 内藤サキ - 北林谷栄
    勝雄の母親。

主題歌

同シングルCD収録の3曲とも、本作の劇中でRUIが歌っている。

エピソード

劇中で歌を披露する歌姫、RUI役は水面下でオーディションが行われていた。しかし、塩田明彦監督の思うような歌声の人が見つからず滞っていた。 そんな時ラジオから流れていた『Trust my feelings』を聴いた塩田監督は「この声だ!!」と思い声の主である柴咲コウをRUI役にキャスティングした。

サウンドトラック

  • 『黄泉がえり』 オリジナル・サウンドトラック

音楽:千住明 発売:2003.01.15 UPCH-1209(2,500円) テンプレート:Columns-list

受賞歴

ゲーム

黄泉がえり 〜リフレイン〜』のタイトルで2004年3月25日に発売された。PlayStation 2用ゲームソフト、ジャンルはファンタジックサウンドノベル。制作は株式会社ディースリー・パブリッシャー

プレーヤーは主人公の佐伯となり、「隈本市」で起きている「黄泉がえり現象」の取材をすることとなる。ゲーム内では7月1日から8月15日までの期間が1週間単位で進行する。取材先は9ヶ所あるが、1週間に取材できるのは3ヶ所まで。取材先ごとに1つずつのストーリーが設定されていて、ゲーム中で迫られる選択の結果による主人公の性格パラメータ(勇気、愛、真理、宥し、誠実、癒し、献身、正義、祝福)の変化などに応じて、各ストーリーごと、及びゲーム全体(佐伯と茜の物語)のバッド・ノーマル・グッドエンディングを迎えることとなる。

ストーリー

ある夏、九州・隈本市では、「死んだ人が生き返ってくる」という奇妙な噂が広がっていた。その生き返った人々「黄泉がえり」が次第に増えていくなか、「肥之國日報」の佐伯隼人は、その「黄泉がえり現象」の取材を担当することとなった。生前と同じ記憶・姿を持ち、しかしどこかが違う、彼ら「黄泉がえり」。佐伯は、彼らに対するインタビューを重ねつつ、それぞれの人生に深く関わっていくことになる。そんな佐伯の前に、4年前に亡くなった、幼なじみの久住茜が黄泉がえってきた。

登場人物

佐伯隼人
主人公。「肥之國日報」社員、24歳。
久住茜
(声:小倉優子島涼香 - ダブルキャスト)
佐伯の幼なじみ。享年19。4年前に謎の死をとげたが黄泉がえり、佐伯の前に現れる。佐伯の取材に同行しながら、自分の死の真相についても調査する。
天草小四郎
(声:田坂秀樹
佐伯の助手兼カメラマンで、おっちょこちょいの好人物。23歳。

シナリオタイトル

  • 「社運」
  • 「家に帰る」
  • 「青春カムバック母さん」
  • 「夕方に帰ってきた男」
  • 「駅前の犬」
  • 「傷跡」
  • 「母子像」
  • 「大正少女」
  • 「姉さんの花壇」

脚注

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外部リンク

  • 「黄泉」とは元々、「よみがえる(蘇る・甦る」の語源である。
  • 『黄泉びと知らず』所収 新潮社文庫 2003年7月 ISBN 4-10-149006-6。文庫用書き下ろし。