ヘチマ

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ヘチマ糸瓜天糸瓜、学名:Luffa cylindrica (L.) Roem.、シノニムLuffa aegyptica Mill.)はインド原産のウリ科一年草。また、その果実のこと。日本には江戸時代に渡来したといわれる。

本来の名前は果実から繊維が得られることからついた糸瓜(いとうり)で、これが後に「とうり」と訛った。「と」は『いろは歌』で「へ」と「ち」の間にあることから「へち間」の意で「へちま」と呼ばれるようになった。今でも「糸瓜」と書いて「へちま」と訓じる。沖縄ではナーベーラーと呼ばれるが、これは果実の繊維を鍋洗い(なべあらい)に用いたことに由来するという。

特徴

つる性植物巻きひげで他のものに絡みつきながら生長する。花期は7 - 9月。雌花雄花に別れており、直径8cmほどの黄色い花を咲かせる。自家和合性で同一株で受粉が可能である。

果実は細長く、大きなキュウリのような形をしている。若い果実は食用に、成熟した果実は強い繊維が発達するのでたわしなどに用いられる。果実は成熟後、次第に乾燥し、種子の周囲が繊維で支えられた空洞となる。その頃になると果実の先端が蓋のように外れ、果実が風でブラブラと揺れるたびに、ここから遠心力で種子が振り出され、飛び出す。原産地で野生植物であったときには、こうして一種の投石器のような機構で種子散布を図っていたと考えられる。

有用植物としてのヘチマ

食用
繊維が未発達の若い果実には独特の風味があり、固い皮を剥いて加熱すると甘味のある液が出る。汁物や煮物などに用いるほか、台湾では小籠包の具としても使用する。
日本では主に南西諸島と南九州で食べられている。沖縄では味噌味の蒸し煮であるナーベラーンブシーとして食べるほか、シチューやカレーなどの洋風料理にも用いられる。南九州では煮物や焼き物などにし、味噌汁の具になることが多い。
なお、ヘチマの一部の株においてククルビタシンを非常に多く産生するものが混じって流通することがあり[1]、自家栽培したものなどを苦味を我慢して食べたことによる食中毒事例(おう吐や下痢等)もある[1]。そのため、ゴーヤー(ニガウリ)に比べて苦味の強いものには注意する必要がある[1]
へちま水
に実が完熟したころ、地上30cmほどのところで蔓を切り、切り口を容器に差し込んでおくとたまる液体を「へちま水」(へちますい)という。
化粧水として用いるほか、民間薬としては飲み薬や塗り薬として用いられる。飲み薬としては咳止め、むくみ、利尿に効くとされ、塗るとあせも、ひび、あかぎれ、日焼け後の手当てにも効くとされる。含有成分は、ヘチマサポニン硝酸カリウムペクチンタンパク質分等である。正岡子規の句「痰一斗糸瓜の水も間に合わず」はこの咳止めの効能に関わるものである。そのままでは防腐剤が入っていないため腐りやすいので煮沸濾過をして冷蔵庫にしまい、使う時だけ取りだすと長持ちする。
タワシ
晩秋に茶色くなった果実を、水にさらして軟部組織を腐敗させて除き、繊維だけにして、タワシを作る。果実の先端(雌しべのある方)を地面などに軽く叩きつけて、蓋のようになっている部分を開いて取り除いて水にさらす。他にも、完熟して乾燥した果実の皮を剥いて中身の種を取り出す方法のほか、煮て中身を溶かして作ったり、酵素剤を使って中身を溶かす方法で作ることができる。産地には、江戸時代から静岡県浜松市袋井市がある。
学習教材
1年で発芽、開花、受粉、結果、枯死し、雄花雌花によって他家受粉することから、日本では小学校の理科教材として使用される。

近縁種

トカドヘチマ
トカドヘチマ(Luffa acutangula (L.) Roxb.)の果実にはとても硬い筋があり、そこから名前がつけられた。野菜としての用途が主たる栽培目的である。トカドヘチマの葉と茎にはナッツ系の独特の臭気がある。タワシを作る場合は、完熟乾燥すると果実が硬く加工が難しくなるので、やや緑がかった状態が適している。繊維採取用の種類より幾分果実が小さく、15 - 40cm程度である。小さい果実であれば原型を活かしたままタワシにすることができる。

栽培

強健で作りやすい植物である。

発芽温度が高いので、四月下旬から五月上旬ころ播種する。タネはかなり大きいので、覆土は1~2cmくらいにする。鉢にまいて後で植え替えてもいいが、直まきにする方が楽である。蔓がのびてきたら、4mくらいの支柱を立てて誘導してやる。適当な排水がある土地なら比較的栽培は容易である。ヘチマをとるほか、緑陰としての人気が高まっている。

脚注

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  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite web