恒星の種族

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恒星の種族(こうせいのしゅぞく、stellar population)とは、恒星の分類の一種である。恒星は種族I及び種族IIと呼ばれる2つのグループに分けられる。(I,IIの数字はローマ数字で表記される習慣になっている。)ある恒星がどちらの種族に分類されるかの基準は、その恒星の空間速度、銀河の中での位置、年齢、化学組成、HR図上での分布の違いによる。

種族Iの星はヘリウムより重い元素(天文学では慣習的に「金属 (metal)」と呼ばれる)を多く含む。これらの重元素はより以前の世代の星の中で作られ、超新星爆発によって撒き散らされたものである。我々の太陽は種族Iの星である。種族Iの星は銀河系ディスク部分によく見られる。

種族IIの星はビッグバンの後に作られた最初の長寿命の星々であり、それ故に含まれる金属量は少ない。従って、種族IIの星の周囲には惑星の材料となる物質もあまり多量には存在しないだろうと考えられている。種族IIの星は銀河系のハローの中の球状星団バルジに存在する。また、種族IIの星は固有運動が非常に大きく、銀河内を高速で運動している。これは銀河形成の初期に生まれた星であるため、銀河を作ったガス雲が収縮する前の運動状態を残しているためであると考えられている。

I,II という番号付けの順序とは裏腹に、星の年齢は種族IIの方が種族Iの星よりもずっと古い。これは天文学における歴史的事情による。星の種族構成が最初に調べられた頃には、ある種の星がなぜ他の星々に比べて金属量が少ないのか、その理由が分かっていなかったからである。

また、今はまだ仮説の段階だが、種族IIIと呼ばれる第三の種族も提唱されている。この種族の星は宇宙で最初に誕生した第1世代の星であり、それ故に金属量は0である。種族IIIの星は、クエーサースペクトルに重元素が見られることや、宇宙初期に宇宙全体が再電離された理由を説明するために考えられたものである。種族IIIの星は存在が予言されているものの、実際に確実に存在するという観測結果は今のところ得られていない。種族IIIの星は極端に大きく高温で寿命が短かったと考えられている。その質量は太陽の数百倍に達していたとされる。極めて金属量の少ない恒星はいくつか発見されており、HE 0107-5240HE 1327-2326はそれぞれ太陽の20万分の1以下の金属量しかない。

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