生活 (教科)

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生活(せいかつ)とは、1989年に改定、1992年度から施行された学習指導要領より小学校第1学年及び第2学年に設置された教科である。英訳はLife Environment Studiesである。

概要

社会理科を廃して設置されたため、この両者を統合して授業を行うものであると考えられがちであるが、実際は別の教科である。内容のほとんどが体験的な活動を重視しており、特に体系化された内容は含まれない。また「遊び」の要素を取り入れた学習内容となっている。

小学校1・2年では、まだ自己中心性が強く、自分の周囲で起きた現象を、自然現象か、社会現象かを識別する能力に乏しいとするのも、生活科創設の目的である。

各学校区の社会・自然環境はそれぞれ違っており、各学校ごとにカリキュラムが異なる側面がある。例えば都心の学校では自然観察・体験ができる場所が少ない。公園や路側帯の街路樹など、「自然発見」活動そのものが中心となってしまう。逆に僻地では日常的にインタビューなどの取材活動ができる商店や施設がないため、公民館・集会所で代用したり、バス利用の実践活動と抱き合わせで郊外のショッピングモール探検に組み込んだりするなど、各校ごとに工夫がなされている。

保護者や地域の協力が必要不可欠な教科であり、悩みの種でもある。内容2項目の「お手伝い」に関しては、家事を担う保護者の視点に立てば、子供の挑戦が嬉しい反面、作業能率の低下は避けられない。商店街の取材活動に対しては、子供たちの活動をほほえましく見る店主もあれば、収益に関係ない部外者として避けたい店主もいる。公共交通機関の体験利用をする場合、マナーが身に付いていないとする抗議の声もある。また、熱心な保護者と無関心な保護者の温度差が生じやすい。校外活動での引率・警備や、発表会・交流会のスタッフとして保護者に協力を要請する場合が挙げられる。

歴史

正式に「生活科」が小学校1・2年の教科として全国でスタートする以前、1984年度から1986年度にかけて宮崎大学教育文化学部附属小学校が試験的に「生活科」と称した科目を導入して、市内の歴史的建造物の調査や探検などの体験的な学習が行われており、この結果が学習指導要領に大きく反映されている[1]

現行の学習指導要領の内容

3点の指導目標が掲げられている。要約すると

  1. 自分と社会(人々や地域)とのかかわり方
  2. 自分と自然とのかかわり方
  3. 活動・表現技法の習得

である。導入当初には「教科書のない教科」という表現が誤解を生じ、「ただ遊ぶだけの活動」と捉えられた。実際の学習活動では、第3の目標が重要視される。例えば、昭和期の昔遊び活動を行った場合、指導者として老人会の人々を呼び、事前の招待状・事後の感謝状の製作を通じて第3の目標を具現化する。

指導内容は以下の8項目が挙げられている。

  • 学校の施設・先生、友達→楽しく安全な遊びや生活・安全な登下校
  • 家族・手伝い→自分の役割・規則正しく健康な生活
  • 地域の人々・場所→親しみ・適切なコミュニケーション・安全な生活
  • 公共物・公共施設→正しい利用
  • 自然の観察・行事にかかわる活動→生活の工夫
  • 遊びの工夫→楽しい集団遊び
  • 飼育・栽培→生き物への親しみ・生命の尊重
  • 自分を支える人々・自分の成長→感謝の気持ち・意欲的な生活

主に自分自身と学校・家庭・地域とのかかわり方及びそれらに伴う表現技法の習得が要求される。第1学年と第2学年の境界は取り払われており、学年相互の共同活動の機会が確保されている。典型例としては4月に実施される「学校探検」である。第1学年は「学校施設・職員を知ること」、第2学年は「学校施設・職員を紹介し、1年生を案内すること」を目的とし、同一の活動ながら発達段階に応じた目標を持たせている。

問題点

前述したように、この教科は内容のほとんどが体験的な活動を重視しており、特に体系化された内容は含まれないため、一部の人(保護者)からは不要だとする意見(つまり、社会と理科を復活させるべきだとする意見)がある。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 宮崎大学教育学部附属小学校・編著『生活科はこうすればどうだろうか』(北大路書房、1990年、ISBN 4-7628-0125-9)の「まえがき」より。