時差式信号機
時差式信号機(じさしきしんごうき)とは、道路に設置される信号機の一種で、道路の上下方向により青信号を表示している時間に差異がある信号機のことである。
日本における概要
主に右折する車両の多い交差点(丁字路や高速道路への入口、一方通行との交差点)や連続した交差点に設置される。右折車線がある側の青信号の時間を延長することによって、渋滞の改善を図っている。後発式と先発式と右折車分離式がある。
後発式
両方向の信号が同時に青信号となり、右折車線のある方向の青信号が延長され、対向車線の信号は赤となる方式。一般的な方式である。
方式 | サイクル 左が時差作動側 右が非作動側 |
アニメーション 左が時差作動側 右が非作動側 |
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例1 | 青、青 | 150px |
青、黄 | ||
青、赤 | ||
黄、赤 | ||
赤、赤 | ||
例2 | 青、青 | 150px |
青、黄 | ||
青、赤 | ||
黄と↑→、赤 | ||
赤と↑→、赤 | ||
黄、赤 | ||
赤、赤 | ||
例3 | 青、青 | 150px |
黄と↑、黄 | ||
赤と↑→、赤 | ||
黄、赤 | ||
赤、赤 | ||
例4 | 青、青 | 150px |
黄と↑→、黄 | ||
赤と↑→、赤 | ||
黄、赤 | ||
赤、赤 |
先発式
右折車線がある側が先に青信号となり、対向車線は赤信号のままとなる方式。左折車線のある丁字路で比較的多く見られる。
サイクル 左が時差作動側 右が非作動側 |
アニメーション 左が時差作動側 右が非作動側 |
---|---|
赤と↑→、赤 | 150px |
黄、赤 | |
赤、赤 | |
青、青 | |
黄、黄 | |
赤、赤 |
右折車分離式
この方式は、時差作動側の左折道路が狭い、あるいは右折事故が多い場所などに設置される。 まず、時差作動側は↑又は←↑ 非作動側は通常通り 非作動側が赤になると、時差作動側が青又は全方向の矢印を点灯させる。
サイクル 左が時差作動側 右が非作動側 |
アニメーション 左が時差作動側 右が非作動側 |
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赤と↑、青 | 150px |
赤と↑、黄 | |
赤と↑、赤 | |
青、赤 | |
黄、赤 | |
赤、赤 |
表示板
時差式信号機ということを運転者に知らせる表示板は、各都道府県により違い、東京都・石川県では四角形の市松模様が描かれた「時差式」、他県では、「時差式」・「時差式信号」・「時差式信号機」・「時差信号」など、多種多様である。また、時差作動信号だけに表示板を設置している県と、全信号に表示板を設置する県がある(例として近畿地方の場合、兵庫では前者、大阪・京都・奈良・滋賀では後者)。
岐阜県では、古い交差点には、青色で時差式、対向側は鼠色で時差式表示である(一部表示が両方同じ方式で設置しているところもある)。また、現在は線で囲んで時 差 式と書いてあるところが多い。
感応式信号と併用される場合、兵庫県では時差作動信号に「時差式信号」、感応側に「感知式」を設置しているが、奈良県では感応側に「時差信号」と「押ボタン信号」の両方を設置している。
時差式表示板の位置
都道府県によって違いがあるが、近畿地方の場合は基本的に表示板を信号機の上に設置している。信号機を交換・新設で設置したときは基本的に信号灯器の上に設置される。対向側の灯器の時差式表示の位置も同じである。
時差式信号の問題点
通常の時差式信号機の場合、右折車線側から対向車線の信号が分からないため、対向車線の信号が赤になったと勘違いして右折車両が発進し、対向車線の直進車両と衝突する事故が多い。
また、時差分離式の場合は、右折が時差作動までできないため、渋滞が発生するおそれがあることからあまり使用されていない。 そのため、以下のような改善策を採った交差点もある。
改善例
- 時差式で全方向に行けることを明示するために、青信号にせず矢印信号を全方向に付ける方法。
- この場合、「時差式」の表示板を設置しないことが多い。
- 信号が黄→赤に変わる際に、右折車線のある側の方向には黄→赤の信号とともに全方向(直進と右折等)のないしは黄色のときは直進(・左折)のみ点灯させ、赤になってから右折の矢印信号を点灯させる方法。
- 愛知県はこの方式である。同県内は後者が多くみられる。この場合、矢印信号の無い方の信号機にだけ、「時差式」の表示板が設置される。
- 兵庫県の一部の交差点は、時差作動時に「時差作動中」と表示するところがある。この場合、矢印は使用しない。
- 岐阜県では1車線の場合、時差式に黄で点灯せず、赤で全点灯するのが見られる。2車線以上の場合は通常の矢印制御である。
- 山梨県では岐阜県と同様に、一部に黄色のときは矢印を点灯させず、赤になってから全方向の矢印を点灯させるものが見られる。
- 2000年代前半頃までは黄色とともに全方向の矢印を点灯させた後、黄色に戻さず赤のまま消灯するものが見られた。現在もごく一部に残っている。
- 右折車線専用の信号機を設置する方法。対向車線の信号が赤になった際、専用信号機が青になる。専用信号機には「右折専用」などの表示板が設置されている。
- 青信号のまま右矢印信号を表示させる(新潟県、大阪府、高知県、沖縄県等の一部の例。ただし、近年は誤認・事故防止のために他県と同様に黄→赤とともに全方向の矢印を表示するタイプに切り替えられるか、矢印灯器が撤去されるケースが増えている)。
- 右折分離式との組み合わせで、対向車線の信号が赤になってから数秒後に矢印(←↑、↑など)から青にする方法(青にせず、右矢印を追加するものもある)。
- Y字型交差点などの変則三叉路に多くみられる。この方式も表示板がないものが多くみられる。