太陽年
概要
太陽年(たいようねん、solar year, tropical year)とは太陽が黄道上の分点(春分・秋分)と至点(夏至・冬至)から出て再び各点に戻ってくるまでの周期のことである。回帰年ともいう。各回帰年はそれぞれ違うのでこれを平均したものを平均回帰年という。回帰年は歳差運動のため、恒星年より短い。春分での回帰年は春分回帰年といい、およそ365.2424日である。
太陽年の変化
平均太陽年(回帰年)の長さは一定ではなく、少しずつ短くなっている。
- 1900年1月0日12時(世界時)の値・・・365日5時間48分45.9747秒 = 31 556 925.9747秒(1967年まで秒の定義となっていた)= 365.242 198 781 25日
- 2000年1月0日12時(世界時)の値・・・365日5時間48分45.4441秒 = 31 556 925.4441秒 = 約365.242 192 640 日
- 2008年年央値(天文年鑑2008による)・・・365日5時間48分45.205秒 = 31 556 925.205秒 = 約365.242 189 87 日
- 2013年年央値(天文年鑑2013[1]による)・・・365日5時間48分45.179秒 = 31 556 925.179秒 = 約365.242 189 57日
これによれば1900年から2000年までの100年間に約0.53秒、2000年から2008年の間に約0.24秒、2008年から2013年の間に約0.026秒、それぞれ短くなっている。
平均太陽年は100年(正確には1ユリウス世紀)ごとに約0.532秒ずつ短くなっている。もっと精密には、平均太陽年 Y (単位は、日)の計算式は、Tを2000年1月1日0時を起点(元期)としたユリウス世紀とすると、次の通りである[2]。
<math>Y = 365.242\ 189\ 6698 - 0.000\ 006\ 153\ 59 \times T - 7.29 \times 10^{-10} \times T^2 + 2.64 \times 10^{-10} \times T^3 </math>
この式の第2項の、0.000 006 153 59 に1日の秒数である86 400秒を掛けると、上記の約0.532秒となる。
太陽年と太陽暦
太陽暦の1年は太陽年にあわせて定められている。400年間に97回の閏日を設けるように決められたグレゴリオ暦の1年間は平均して正確に365.2425日=正確に365日5時間49分12秒 = 正確に31 556 952秒であり、2013年の太陽年に比べて約26.821秒長い。このため2013年を基準にすると、3,221年後の西暦5234年にはそのずれは1日に達する。そのころにはグレゴリオ暦で定められた閏日を省くことが必要になる。若しくはグレゴリオ暦が定められた1582年を基準にして、それから約3,200年後の西暦4782年頃に閏日を省くことになるかもしれない。
ただし、平均太陽年は前述のように、100年につき、0.532秒ほど短くなっているので、実際にはもっと早い時点で、1日の誤差が生じると考えられる。
太陽年の変化と地球自転の遅れ
なお、いわゆる「地球の自転の遅れ」(実際の自転の遅れは100年(正確には、1ユリウス世紀)につき1.7ミリ秒/日程度[3](USNOの解説では、1ユリウス世紀につき1.4ミリ秒/日程度としている[4])は、閏秒に関わることであって、このことと太陽年が短くなることとは全く別のことである。
文献
- ↑ 天文年鑑2013年版、p190(このページの執筆者:井上圭典)ISBN 9784416212851
- ↑ [1] Representations of Time Coordinates in FITS, Time and Relative Dimension in Space (V0.90), 4.3.Time Unit, p.7
- ↑ テンプレート:PDFlink "THE PHYSICAL BASIS OF THE LEAP SECOND" (The Astronomical Journal, 136:1906–1908, 2008 November)、4. THE LEAP SECONDの章、p.1907 右、下から6行目
- ↑ [2] 「The Earth is constantly undergoing a deceleration」で始まるパラグラフの第2文目