合同
ユークリッド幾何学において、合同(ごうどう、テンプレート:Lang-en)とは、2つの図形の形と大きさが同じであるということを数学的に表した概念である。
合同は相似の特殊例と見なせる。
どのような図形を互いに同じと見なすかという基準は考察している対象や状況によって変わりうる。ユークリッド幾何学では合同を基準とするが、例えば基準を大幅に緩めてできる幾何学がトポロジー(位相幾何学)であり、他にも様々な幾何学が考えられる。
定義
まず2次元の場合を考える。A, B を平面上の二つの図形としよう。A を B にユークリッドの運動、すなわち
- 平行移動:図形上の全ての点をある方向に同じ長さだけ移動すること、
- 回転移動:平面上のある点を中心にしてそこからの距離を保ちつつ図形上の全ての点を同じ角度だけ移動すること、
- 対称移動:平面上のある直線に関して線対称の位置にある点に図形上の全ての点をそれぞれ移動すること、
を繰り返すことによって重ねる、すなわちAの全ての点が対応するBの点を持つようにできるとき、A は B と合同である、または合同関係にあるという。
もっと一般に、ユークリッド空間 E のある部分集合 A と B に対して、E から E への等長写像 (isometry) f が存在して、f(A) = B となるとき、A は B に合同である、と定義することもできる。
2つの図形 A, B が互いに合同であるとき、"A ≡ B " と表す。合同関係は同値関係の一つである。
様々な合同条件
以下のような特別な図形に対しては、合同条件が図形の持つ情報を使って記述されている。
三角形
ユークリッドの運動のどの操作も、三角形のそれぞれの辺の長さや角の大きさを変えない。逆に2つの三角形が、互いに等しい長さの辺を持ち、対応する角も全て等しければ、2つは合同であることが分かる。つまり、3つの辺全てが等しく、三つの角も全て等しいということは、合同であるための必要十分条件である。この条件はもう少し簡単にすることができる。それが以下の3つである。
- 三辺相等(3組の辺がそれぞれ等しい)
- 二辺夾角相等(2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい)
- 一辺両端角相等/二角夾辺相等(1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい)
ユークリッド幾何学(原論)において、これらはそれぞれ定理として証明されている。一方、ヒルベルトによる幾何学の公理化においても、これらはそれぞれ定理として証明されているが、二辺夾角相等に関しては、これに非常に近い公理が用いられ証明されている。日本の中学校数学においては、この点を曖昧にしており、あたかもすべてが公理であるかのように、作図に頼って導入されている。
直角三角形
- 斜辺他一辺相等(斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい)
- 斜辺一鋭角相等(斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい)
正方形
- 1辺の長さが等しい。
- 対角線の長さが等しい。
円
- 半径が等しい