プリーズ・プリーズ・ミー (アルバム)

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『プリーズ・プリーズ・ミー』("Please Please Me" / "Please Please Me with Love Me Do and 12 Other Songs")は、イギリスにおいて1963年3月22日に(モノラル盤)が、更に翌月の1963年4月26日に(ステレオ盤)が発売されたビートルズの最初のイギリス盤公式オリジナル・アルバムである。

レコーディング

『プリーズ・プリーズ・ミー』は、ビートルズ2枚目のシングル「プリーズ・プリーズ・ミー」(1963年1月11日発売)のヒットを受け、急遽制作されることとなった。当初はキャバーン・クラブで観客を前にしたライヴ録音が計画されたが、キャバーン・クラブがレコーディング環境としては劣悪だったため、その代わりとしてEMIレコーディング・スタジオ(現:アビー・ロード・スタジオにてスタジオ・ライヴを想定した形式でのレコーディングが行われた。

1963年2月11日の午前10時にビートルズとプロデューサーのジョージ・マーティンはスタジオに入り、約3時間のセッションを3回繰り返し、10時間弱で10曲を仕上げ、事実上わずか1日でアルバムを完成させた(既発シングルに収録されていた4曲は除く)。時間と予算が限られていた為、ほとんどの曲は原則一発録り(当時は2トラック録音のため、演奏と歌は同時録音で、それぞれ1つずつのトラックに録音された)で制作された。また、収録曲14曲中6曲は、このころのビートルズがライヴで好んで演奏していたアメリカのR&Bロックンロールなどのカヴァーで占められている。「ホールド・ミー・タイト」もこのセッションで録音されたが、アルバムへの収録は見送られ、再録の後に次のアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』に入れられている。

レコーディング当日、ジョン・レノンは風邪をひいており、その影響でヴォーカルがやや鼻声になっている。ジョージ・マーティンはジョンの喉への負担を考慮し、ツイスト・アンド・シャウトの録音はセッションの最後に行い、ジョンはこの曲をワンテイクで仕上げた。後にジョンは「ビートルズの(当時の)ライヴ感の生々しさを出しているという点ではこのアルバムが一番近い」と解散後に発言している。

リリース

1963年春、『プリーズ・プリーズ・ミー』当時の慣習でモノラル盤・ステレオ盤の双方がリリースされた(但し、モノラル盤とステレオ盤それぞれの発売日が異なっている。これはビートルズのアルバムでは唯一のケース)。実質1日、既発曲を含めても3日間という、極端な短期間で制作されたにもかかわらず、同アルバムは発売と当時に大ヒットを記録。イギリスのメロディ・メーカー誌で30週間もの間1位を独占した。なお、31週目にこのアルバムの1位を阻止したのは、セカンド・アルバムの「ウィズ・ザ・ビートルズ」であった。

CDでは1987年にモノラルで発売され、2009年9月9日にステレオ盤がCD化された。ステレオ・ヴァージョンが存在しない「ラヴ・ミー・ドゥ」と「P.S.アイ・ラヴ・ユー」の2曲はLP盤では疑似ステレオ・ヴァージョンが収録されていたが、CDではモノラル・ヴァージョンのまま収録された。

日本でのリリースは遅く、正規の日本盤で発売されたのはビートルズ解散から6年後の1976年6月のことであった。63年の発売当時は、高価な輸入UK盤を別にすれば、66年に発売された、曲順やジャケット・デザインがイギリス盤と異なる『ステレオ! これがビートルズ Vol.1』やシングル盤などで聴くことしかできなかった。アメリカではCDが発売される1987年までリリースされず、編集盤がヴィージェイ・レコードから "Introducing... The Beatles" というタイトルで、キャピトル・レコードから『ジ・アーリー・ビートルズ』というタイトルでリリースされていた。

評価

現在も名盤との評価が高く、『ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・ベスト・アルバム500」と「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」に於いて、それぞれ39位[1]と17位[2]にランクイン。

収録曲

アナログA面

  1. アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア - I Saw Her Standing There (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(2'57" - monaural version)(2'53" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
  2. ミズリー - Misery (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(1'52" - monaural version)(1'48" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノンとポール・マッカートニー
  3. アンナ - Anna (Go To Him) (Alexander)
    演奏時間:(3'00" - monaural version)(2'57" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    アーサー・アレキサンダーのカヴァー曲。
  4. チェインズ - Chains (Goffin - King)
    演奏時間:(2'28" - monaural version)(2'24" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョージ・ハリスン
    クッキーズのカヴァー曲。
  5. ボーイズ - Boys (Dixon - Farrell)
    演奏時間:(2'29" - monaural version)(2'26" - stereo version)、リード・ヴォーカル:リンゴ・スター
    シュレルズのカヴァー曲。
  6. アスク・ミー・ホワイ - Ask Me Why (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(2'29" - monaural version)(2'26" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
  7. プリーズ・プリーズ・ミー - Please Please Me (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(2'05" - monaural version)(2'00" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン

アナログB面

  1. ラヴ・ミー・ドゥ - Love Me Do (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(2'24" - monaural version)(2'21" - monaural version included in stereo CD)、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
  2. P.S.アイ・ラヴ・ユー - P.S. I Love You (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(2'07" - monaural version)(2'04" - monaural version included in stereo CD)、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
  3. ベイビー・イッツ・ユー - Baby It's You (David - Willlams - Bacharch)
    演奏時間:(2'42" - monaural version)(2'40" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    シュレルズのカヴァー曲。
  4. ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ノウ・ア・シークレット - Do You Want to Know a Secret (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(2'01" - monaural version)(1'56" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョージ・ハリスン
  5. 蜜の味(ア・テイスト・オブ・ハニー) - A Taste of Honey (Scott - Marlow)
    演奏時間:(2'06" - monaural version)(2'03" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
    レニー・ウェルチのカヴァー曲。
  6. ゼアズ・ア・プレイス - There's a Place (McCartney - Lennon)
    演奏時間:(1'53" - monaural version)(1'50" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
  7. ツイスト・アンド・シャウト - Twist and Shout (Medley - Russell)
    演奏時間:(2'35" - monaural version)(2'35" - stereo version)、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    アイズレー・ブラザーズのカヴァー曲。

脚注

  1. [1]
  2. [2]

関連文献

外部リンク

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