ファウル (バスケットボール)
ファウル(Fouls)は、バスケットボールにおける反則のうち、どちらかに責任のある不当な体の触れあい、およびスポーツマンらしくない行為の総称。
目次
分類
以下の反則がファウルに含まれる。
パーソナル・ファウル
ファウルをしたプレイヤーに1個のパーソナル・ファウルが記録され、ファウルが起こった場所に最も近いアウト・オブ・バウンズから相手チームのスロー・インでゲームを再開する。
ショットの動作中のプレイヤーがファウルされた時は、以下の様にフリースローが与えられる。
- そのショットが成功の場合、得点が認められ、さらに1投(バスケットカウント)
- そのショットが不成功の場合、
- ツー・ポイント・エリアからのショットであれば、2投
- スリー・ポイント・エリアからのショットであれば、3投
- ブロッキング
- からだを使って相手チームのプレイヤーの進行を不当に妨げること。
- チャージング
- ボールの所持の如何に関わらず、無理に進行して相手チームのプレイヤーの胴体に突き当たったり押しのけたりすること。
- 後方からの不当なガード
- 防御側プレイヤーが相手チームのプレイヤーのうしろから触れあいを起こすこと。
- ホールディング
- 相手チームのプレイヤーを押さえて行動の自由を妨げること。
- イリーガル・スクリーン
- 不当なスクリーン・プレー。スクリーン・プレーの接触時に手や足を動かした場合ファウルになる。両足を床について上体を動かさなければ、体の接触があってもファウルにはならない。
- イリーガル・ユーズ・オブ・ハンズ
- 防御側プレイヤーが、相手チームのプレイヤーをたたいたり手を使って相手に触れたり触れ続けたりしてその動きを妨げること。かつては手で叩くファウルは「ハッキング」と呼ばれていた。
- プッシング
- 相手チームのプレイヤーを手やからだで無理に押しのけたり押して動かそうとすること。
- ダブルファウル
- 両チームのパーソナルファウルが同時に2つ起きること。ファウルを犯したプレイヤー両方にファウルが宣告される。
アンスポーツマンライク・ファウル
アンスポーツマンライク・ファウルとは、規則の精神と目的を逸脱しボールに正当にプレイしていないと審判が判断したパーソナル・ファウルのことである。NBAではフレグラント・ファウルと呼ばれる。
ファウルをしたプレイヤーに1個のアンスポーツマンライク・ファウルが記録され、以下の様にフリースローが与えられる。
- ショットの動作中でないプレイヤーがファウルされた場合は2個
- ショットの動作中のプレイヤーがファウルされた場合
- そのショットが成功すれば得点が認められさらに1個
- そのショットが不成功の場合
- ツー・ポイント・エリアからのショットであれば2個
- スリー・ポイント・エリアからのショットであれば3個
フリースロー後、フリースロー・シューター側のスロー・インでゲーム再開。アンスポーツマンライク・ファウルが2回記録されるとディスクオリファイング・ファウルとなり、そのプレイヤーは失格・退場となる。以前は「インテンショナル・ファウル」と呼ばれていたものである。
ディスクオリファイング・ファウル
ディスクォリファイング・ファウルとは、チーム・メンバー、コーチ、アシスタント・コーチおよびチーム関係者のファウルで、特に悪質なものをいう。宣告された場合、失格・退場となる。ファウルの後は相手チームにフリースローが与えられ、さらにそのチームにスロー・インのボールが与えられる。フリースローの数はアンスポーツマンライク・ファウルの場合と同じ。
テクニカル・ファウル
審判やオフィシャル、相手チームに対する無礼な態度、暴力行為、観客に対する不作法な行動、言動、肘を振り回す行為、相手チームのプレイヤーに対する妨害行為、ゲームの遅延行為、等がテクニカル・ファウルである(相手プレイヤーとの接触がない)。相手チームや審判へのチーム・メンバー、コーチ、アシスタントコーチ、チーム関係者の暴力行為は、ただちに失格・退場となる。
コーチ自身のテクニカル・ファウルは2回の累積により、チーム・メンバーをはじめとするベンチテクニカル・ファウルの3回の累積により、コーチは失格・退場となる。
プレイヤーが犯したテクニカル・ファウルの場合そのプレイヤーに1個、プレイヤー以外の場合はコーチに1個記録され、2個のフリースローが相手チームに与えられ、成功、不成功にかかわらず、さらにそのチームにスロー・インのボールが与えられる。
クリア・パス・ファウル
バックコートでスティールなどにより、フロントコート側にディフェンダーが誰もいない状況で、ボールハンドリングを開始したプレーヤに対して、ファウルをした場合、クリア・パス・ファウルが宣告される。つまりゴールまで妨げが何もない状況でのプレーヤーに対するファウルは、通常のディフェンスファウルに比べ重い罰則が与えられる。 ファウルされたプレイヤーに2投のフリースローが与えられ、成功、不成功にかかわらず、さらにそのチームに攻撃権が保持され、スロー・インのボールが与えられる。罰則はテクニカル・ファウルに準じたものだが、ファウルを宣告されたプレーヤーにはパーソナルファウルのみ記録される。
ファイティング
コート上やコートの周囲で暴力行為が起きたときまたは起こりそうなとき適用される。ベンチ・エリアから出た交代要員およびチーム関係者は失格・退場となる。監督、アシスタント・コーチは争いを止めるためであればベンチ・エリアから出ても失格にはならない。失格・退場の人数にかかわらず監督に1個のテクニカル・ファウルが記録される。
ハック
フィールドゴール能力があるがフリースローを苦手としているプレーヤーに意図的にファウルを仕掛け、相手の得点機会で得られる得点を、フィールドゴールによる2あるいは3ではなく、1あるいは0に抑えることを目的に行われる戦術。 NBAでペイントエリアで強力な支配力を発揮していたシャキール・オニールに対してこの戦術を用いることをハック・ア・シャックと呼び有名である。他の対象には、ブルース・ボーエン、ドワイト・ハワードらがいる。
ファウル・ゲーム
ゲームタイムが残り少なく、数回の攻撃機会で逆転の可能性が残るチームが、意図的にファウルをして、相手チームにゲームタイムを使わせないようにするとともに相手の得点機会で得られる得点を、フィールドゴールによる2あるいは3ではなく、1あるいは0に抑えることを目的に行われる戦術。できる限りハック戦術と同じようにフリースロー成功率の低い選手や、メンタルの弱い選手に仕掛ける。チーム・ファウルの罰則がある状態で行う。ただし、インバウンド・パスが成立する前にファウルをすると、フリースロー後の攻撃権が相手に保持されたままになるのである意味スキルの必要な戦術でもある。戦術を仕掛けられたチームはできる限りフリースロー成功率が高く、ターンオーバーの少ないメンバーで臨む必要があり、守備時と攻撃時でメンバーチェンジが行われることもある。
補足
- プレイヤーがパーソナル・ファウル(アンスポーツマンライク・ファウルを含む)およびテクニカル・ファウルを合わせて5回宣告された場合、そのプレイヤーは直ちに交代となり以後そのゲームに出場することはできない(ファウルアウトと呼ぶ。自チームのベンチには座れる)。強制的な交代なので、交代要員がいる限り試合でプレイする味方の人数が減って数的不利になることはない。
- 1チームが各ピリオドに4回のプレイヤー・ファウル(コーチ・アシスタンコーチのファウル以外)が宣告された後、5回目からはディフェンス時のファウルは、チーム・ファウルの罰則が適用され相手チームに2個(bjリーグでは1&1 - 1回目成功時のみ2回目が可能)のフリースローが与えられる。ただし、ショットの動作中のファウルの場合はそのルールに従う。
- ファウルがかさみ退場しそうになった際に、退場されないために交代させられたり、プレイが消極的になったりすることをファウルトラブルと呼ぶ。
外部リンク
- International Basketball Federation (October 2008). Official Basketball Rules 2008.
- National Basketball Association. Official Rules of the National Basketball Association. Retrieved Oct. 28, 2004.
- 日本バスケットボール協会de:Foul (Basketball)
en:Foul (basketball) es:Falta personal fr:Faute personnelle (basket-ball) it:Fallo personale pl:Błędy w koszykówce#Faule ru:Фол (баскетбол) sv:Foul zh:侵人犯規