バックラッシュ (機械)
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バックラッシュ(Backlash, バックラッシとも呼ぶ)とは、機械に用いられる送りねじ、歯車などの互いにはまりあって運動する機械要素において、運動方向に意図して設けられた隙間のこと。この隙間によってねじや歯車は自由に動くことができる。しかし、ある方向に回転していたものを逆の方向に回転させたとき、寸法のずれや衝撃が生じることがある。フライス盤などの工作機械を使用した加工の際は、工作機械が持つバックラッシュを考慮して寸法の調整をしなければならない。
また、バックラッシュは磨耗により増大するため、振動や騒音の発生及び機械の寿命を低下させる原因となる。
ノンバックラッシュ(カエリ防止)
バックラッシュは必要悪とされる場合が大部分であり、バックラッシュを減らす(無くす)様々な工夫が行なわれている。それらの工夫を「ノンバックラッシュ」・「バックラッシュレス」などと呼ぶ。
- ねじにおいては、めねじの一部を切り取り、それをねじの長手方向に多少動かして、めねじの本体と切り取り部分との隙間を調節することにより遊びを無くすことができる。
- 歯車においては、相手の歯車に対し、かみ合う同形、同軸の歯車をバネでトルクを与えて(予圧を与えるという)遊びをなくす。トヨタのハイメカツインカムと呼ばれる方式のDOHCエンジンやスバルのEN07型エンジンのスーパーチャージャー付DOHCエンジン(EN07X型)などでははさみになぞらえて、この方式の歯車をシザーズ・ギヤと称している。自動車用エンジンなどの一定方向にしか回転しない事例では有効な方法である。
- トルク変動が大きい駆動装置におけるバックラッシュ低減方法に、マツダがトランスミッション等に採用したフリクションギアがある。主ギアよりも歯が1枚少ない薄いギアを、それ自体が皿バネとなるように製作し、主ギアに押しつける形でセットすることで、その間のフリクションによりトルク変動を吸収しながらバックラッシュを小さくするという仕組みのものであり、回転方向(トルクのかかる方向)を問わないこと、コスト的に有利なことで、シザーズギアに勝る部分も多い。
- 三共製作所がウオームホイールの歯をローラーに置き換え(同社ではターレットと呼ぶ)、ウオームギア(同じくローラーギアカム)の歯の山を両側からローラーではさみ、バックラッシュをなくした「ローラドライブ」を製品化している[1]。各々は線接触となり、小径のローラーギアカムではすべりの影響をほとんど考慮する必要がないことから、伝達効率も高い。産業用ロボットのアーム類において、停止位置の精度向上に高い効果がある。