シス (スター・ウォーズ)
シス(Sith)とは、『スター・ウォーズ・シリーズ』で用いられる用語の一つである。生物が創り出すエネルギーであるフォースを、ジェダイのように善の目的ではなく、自分達の私利私欲(支配欲)を達成させるために用いる銀河系の悪と恐怖の信奉者を指す。映画では一般的に「悪役」に位置づけられる。
シスである者は「シス卿」 (Lord of the Sith, Sith Lord) と呼ばれる。シス卿のうち一部は「ダース (Darth)」(シスの暗黒卿 (Dark Lord of the Sith) の略)の尊称を付けて呼ばれる。
シスは一般的にジェダイのように集団になって「騎士団」を構成したりはしない。後述するが基本的に「師匠(マスター)」-「弟子(アプレンティス)」の二人一組で行動する。かつてシスによる国家が存在したが、政治的には通常の帝国国家と同じであり、政治とは一線を画した集団であるジェダイ達とは異なる。
シスになるためには、フォースを操るための修行が必要で、誰でもなれるというわけではない。また良心に屈せず自身の欲望を貫徹することができる精神的な解放、あからさまな権力欲、防御よりも攻撃的な性向が非常に重要である。
ただし、スピンオフ作品での設定では正式なシス以外にもフォースを感知できるかどうかに関わらず、彼らの教義に感化される者もいる。中にはシスを崇める者がカルトを形成したり、単にダークサイドのフォースを扱うだけの者がシスを僭称することもあるとされる。
目次
古代共和国時代
「シス」という名称は惑星コリバンに移住した民族を指す。彼らは特に訓練したわけではないが、遺伝的にフォースを保持する民族であった。
フォースを研究する学者団体を祖とするジェダイは、世代を経るにつれて銀河の守護者たる「ライトサイド(光明面)」と、悪の道に堕ちた「ダークサイド(暗黒面)」が反目するようになり、遂に双方は「100年の闇」と呼ばれる大きな衝突を起こした。この戦いに敗れたダークサイドは銀河共和国領内から姿を消した。 アジャンタ・ポール、カーネス・ムール、ソサーンの3人をリーダーとする逃亡したダークサイドのジェダイ達は放浪の末に辺境のコリバンを発見。未開の住民であったシス民族をダークサイドのジェダイ達が神として支配する道を選び、ここにシスによる一大帝国の建設が始まった。やがてダークサイドのジェダイ達とシスの住民は交わり、コリバンは強力で魔術的なフォースを持つ民族「シス」が支配する「シス帝国」の中心となった。コリバンには代々のシスの暗黒卿を祀った寺院がある。
ヤヴィンの戦いより5,000年前、シス帝国の支配者マーカ・ラグノス卿が死亡し、ネイガー・サードー卿とルド・クレシュ卿という二人の有力なシスが後継者の座を争っていた。その最中、共和国の民間探査船が偶然シス帝国の存在を確認。これをきっかけに攻勢に出たシス帝国と共和国の間にハイパースペース大戦が引き起こされた。シス帝国はネイガー・サードー卿とルド・クレシュ卿の内部抗争によって自滅し、ハイパースペース大戦は共和国の勝利に終わったが、ネイガー・サードー卿は生き延び、ヤヴィン第4衛星に「大寺院(グレート・テンプル)」を建造した。その約1,000年後には、失われたシスの遺産を求めて自らシスの暗黒卿の名乗りを上げたエグザ・キューン卿と、その弟子となった堕落ジェダイのウリック・ケル=ドローマ卿という二人の強力なシスの出現により「シス大戦」が勃発。ウリック・ケル=ドローマ卿の裏切りによって共和国とジェダイ側はかろうじて勝利し、エグザ・キューン卿の魂をヤヴィン第4衛星の遺跡中に幽閉することに成功しシス帝国を滅亡させたものの、多大なる被害を受けた。その数十年後、シス大戦でウリック・ケル=ドローマ卿に従ったマンダロア戦士団が復興中の共和国を再び侵略、マンダロア大戦が勃発。マンダロア大戦はレヴァンとマラックという二人のジェダイの活躍により共和国の勝利に終わったが、二人はマンダロア大戦で暗黒面に堕ち、新たなシス卿ダース・レヴァン、ダース・マラックと名乗り、「第二次シス大戦」を引き起こした。最終的にはジェダイに帰還したレヴァンが裏切ったかつての弟子ダース・マラックを倒すことで、第二次シス大戦を終結させた。
二度に渡るシス大戦での敗北によってシスの伝統は一旦途絶えたが、それから更に約2,000年後のジェダイの中で、ダークサイドに堕ちた者達がシスの教義を復活させようと画策、シスの集団ということで「シス・オーダー」を名乗り、形的にはまたもジェダイ対シスの戦乱が勃発した。争いは惑星ルーサンでの決戦まで凄惨を極めたが、元々個人的な感情からシスに走った集団に統率的な力は無く仲間割れが頻発し、ほどなくジェダイに鎮圧されてしまった。ジェダイは組織としてその指導と統率方針を更に強化、これ以上ダークサイドを輩出しないよう、騎士登用のレベルや修行内容をより厳しいものに改革した。ジェダイ・パダワンとなるためには、フォースが強いことはもちろん、生後6ヶ月以内であることが条件となり、恋愛や結婚も禁止された。これをルーサンの改革と呼ぶ。
ルーサンの戦いを最後にシスによる反乱はなくなり、共和国の人々の間ではシスの脅威は完全に去ったと思われ、平和を謳歌する時代に入った。だが、たった一人ではあるものの、ダース・ベインというシス卿だけは生き残っていた。
古代共和国時代の代表的なシス
- アジャンタ・ポール
- カーネス・ムール
- ソサーン
- ダース・アンデデュー
- マーカ・ラグノス
- ネイガー・サードー
- ルド・クレシュ
- フリードン・ナッド
- エグザ・キューン
- ウリック・ケル=ドローマ
- ダース・ヘイズ
- ダース・レヴァン
- ダース・マラック
- ダース・バンドン
- ダース・トレイヤ
- ダース・ニヒラス
- ダース・シオン
- ダース・デソルス
- ダース・フォボス
- ダース・ルイン
- ダーク・アンダーロード
- ダース・リヴァン
- ベリア・ダーズー
- カーン卿
- クォーディス卿
- コーペズ卿
- ギサニー卿
- ダース・ベイン
旧共和国時代
シスが仲間割れから内部崩壊に至った原因は、シスの教義そのものにあった。他者との協調や仁愛を重視するジェダイとは異なり、シスは自分の利益のみを考える。ジェダイは銀河の平和とバランスへの滅私的奉仕者として己を厳しく律し、力の濫用を戒め、フォースの使い道に関して極めて慎重である。これに対し、シスの基本的考え方は「力を抑制することは力を無駄にすることだ」であり、私利私欲に基づくフォースの無制限な行使を肯定する。その拠り所は自分自身の力だけである。よって、彼らは自分の技術や能力を他者と共有するようなことはしない。このため、対等のシス同士では相互に強い不信感を抱き、争うようになるのである。
シスの中でただ独り生き残ったダース・ベイン卿は先の内部崩壊の反省から、シス同士での争いを防ぐためのシステムを模索した。そして、シスの能力や教義は、ただ一人の師匠からただ一人の弟子へ、明確な序列のもとで伝承すべきとの結論に達した(エピソード1終盤のヨーダのセリフから、「一人の師匠に一人の弟子」でいう形式は、ジェダイと同じく、以前からあったものと思われる)。これが、後に『ダース・ベインの教え』と呼ばれる、シスの「師匠」から「弟子」への一子相伝的システムの確立である。弟子は師匠が引退(死亡)すると、独立して師匠になり、またたった一人だけの弟子に伝授してゆく(「師匠の死」は「弟子の独立」を意味したため、師匠の殺害という形で独立した弟子も多かった様子である)。こうしてシスの教義は細々とではあるが、確実に伝承された。シスたちはジェダイや世間からはその存在をひた隠しにし、ジェダイに復讐して、銀河を恐怖で支配する日までの修行が連綿と続けられていった。一方のジェダイはその間人数を増やし、最盛期には1万人のジェダイが銀河系各地で紛争の調停等で活躍し共和国の平和を守っていた。しかし天敵とも言えるシスが姿を消したことにより組織は硬直化し、フォースの探求や戦闘訓練は今までどおり行われたが、任務は紛争調停などが主となり、実戦経験を積む機会と必要性が薄れていった。そして、年を追うごとにフォースとライトセーバーを使った戦闘に長けた、俗に言う「強いジェダイ」は人数を減らしていった。シスがダークサイドの力を師匠と弟子の二人で独占したのに対し、ジェダイはライトサイドの力を大人数で薄く引き延ばしてしまったことも弱体化の原因であった。
やがて、シスの野望を体現する者が遂に現れた。ダース・シディアス、後の銀河帝国皇帝・パルパティーンである。彼は師匠のダース・プレイガスの弟子として修行を積み、強力なフォースを手に入れると師匠を殺害、最強のシス・マスターとして君臨した。その力は政治的能力にも発揮され、表向きは惑星ナブー出身の元老院議員として議会の最高議長にまで出世した。腐敗が横行する日和見主義的な政治の改革を共和国の代表として先導する一方、裏では不満勢力をたきつけてクローン大戦を勃発させ、共和国の軍備増強を促進し、戦争を利用してジェダイの人数を減らしつつ、情報操作などで人々にジェダイへの不信感を植え付けた。そして最終的には軍事力と新たな弟子ダース・ベイダーを使ってジェダイを壊滅させた。共和制を帝制に移行させることにも成功し、ここに4,000年来のシスによる大帝国が復活されたのである。だが、かつてルーサンの戦いにおいてシス卿ダース・ベインが生き残ってシスの命脈を未来につないだように、ジェダイにもオビ=ワン・ケノービやヨーダなどの生き残りが存在した。
旧共和国時代の代表的なシス
- ダース・ベイン
- ダース・ザナー
- ダース・コグナス
- ダース・ミレニアル
- ダース・ヴェクティヴス
- ダース・プレイガス
- ダース・シディアス
- ダース・モール
- ダース・ティラナス(ドゥークー伯爵)
- ダース・ベイダー
帝国時代
ジェダイは滅びたとされていたが、帝国に対する反乱同盟軍に協力する一人のジェダイの存在を感じ取っていた皇帝は、シスの弟子である側近中の側近ダース・ベイダーにそのジェダイの捜索を命じていた。だが、そうして発見されたのがベイダー卿の実の息子であるルーク・スカイウォーカーであったのが運命の分岐点であった。
ルークが戦いの中で父と同じようにフォースの暗黒面に堕ちる可能性を感じた皇帝は、彼が憎しみを募らせて父を殺害し、シス側に付くように陰謀を巡らす。しかし、かつて「フォースにバランスをもたらす選ばれし者」と予言されたダース・ベイダー=アナキン・スカイウォーカーの本当の力を見抜くことができず、強力なフォースを持つルークを新しい弟子に据えることに固執した一瞬のスキをつかれて殺害された。これにより4,000年ぶりに甦ったシスの帝国はたった25年で終焉を迎えた。ジェダイの予言の通り、善悪両面で最強の力を発揮したアナキン・スカイウォーカーが戦いに決着を付け、その息子であるルークがより高い次元の精神をもって新たなジェダイを率いていく結末を導く。
帝国時代の代表的なシス
- ダース・シディアス
- ダース・ベイダー
新共和国・銀河同盟時代
一般的にはダース・シディアスとダース・ベイダーが最後のシスの暗黒卿と言われていたが、スピンオフ作品ではこの後にもホロクロン等を通してシスの教義を学んだりそういった者に教えを受けたりといった形でシスの教義を受け継ぐ者が現れたり、既に死亡しているシスの暗黒卿が何らかの形で復活したりといった形でシスの暗黒卿が姿を現している。 そして皇帝の手としてシスに仕えていた人物の一人であり、シスの女暗黒卿を名乗るルミヤ(シーラ・ブリー)と旧共和国時代のジェダイの生き残りであり、シスの暗黒卿ダース・クレイトを名乗るアシャラド・ヘットがダース・ベインから続く正式な系譜とは異なる新たな二つの分派をそれぞれに創設し、シスは存続していくことになる。
新共和国・銀河同盟時代の代表的なシス
- ダース・シディアス(クローンとして復活)
- エグザ・キューン(霊体として復活)
- マーカ・ラグノス(霊体として復活)
- ルミヤ(シーラ・ブリー)
- カノア・ジャックス
- ダース・カイダス(ジェイセン・ソロ)
- ダース・クレイト(アシャラド・ヘット)
- ダース・アンデデュー(霊体として復活)
- カーネス・ムール(霊体として復活)