ビブロス
ビブロス(ギリシャ語:Βύβλος、ラテン文字表記:Byblos)は、レバノンの首都であるベイルートの北方約30kmにある地中海沿岸の都市。古代にはフェニキア人の都市として栄えた。「ビブロス」はギリシャ人がつけた呼び名で、本来は「グブラ」のちに「ゲバル」。現在はジュベイル(Jbeil)と呼ばれている。遺跡群はユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。
概要
ビブロスは、フェニキア人の発祥の地として有名。アルファベットの元になったフェニキア文字もこの地で生まれた。このことからアルファベット発祥の地と言われることもある。紀元前3000年頃から、フェニキア人が居住し始めたと言われているテンプレート:誰2。
フェニキア人は、ビブロスの東、レバノン山脈に自生するレバノン杉を伐採。この木材から船を作り、杉から取れる油をエジプトへ輸出、地中海貿易の主役へと躍り出た。
後に、ローマ帝国の支配下に入る。12世紀には、十字軍を迎え撃つべく要塞化される。その後は、ベイルートなどに交易の拠点の地位を奪われ、衰退の道をたどった。
「ビブロス」という呼称は、ギリシャ語でパピルスを意味するもう一つの語 βύβλος に由来するといわれるテンプレート:誰2(「パピルス」自体がギリシャ語)[1]。これは、ビブロスが長い間エジプトの支配下にあり、当地の港からエジプトへレバノン杉材が輸出され、その代価としてパピルスなどが輸入され、さらにそのパピルスがこの都市を経由してギリシャなどに運ばれていたので、ギリシャでは紙は原産地のエジプトではなく、積出港のビブロスとして知られた。やがてパピルスを意味するビブロスから「ビブリオン」(本)という言葉ができ、さらに「ビブル」(聖書)が生まれたという[2]。
逆に都市の名前がパピルスの意味を持つようになったとする説もある。この説では、それがのちに書物の意に転じて、結果としてこの都市が「バイブル」(聖書)の語源になったという。
ビブロスで発掘された出土品のほとんどは、ベイルートの国立博物館に移されている。
ビブロスは、ナポレオン3世が1860年にドルーズ派イスラム教徒によってキリスト教徒虐殺事件をきっかけにレバノンに出兵したときに同行した学者によって再発見された。同地では、十字軍が12世紀頃建てた城とその隣にあるフェニキア時代の集落遺跡やローマ時代の街の遺跡が残っている。[3]
主な史跡
- オベリスク神殿
登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。テンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/core
脚注
- ↑ ビブロスは、ギリシャ語では「パピルス」(紙)を意味する。(堀口(2005) 26ページ)
- ↑ (堀口(2005) 26ページ)
- ↑ 堀口(2005) 24ページ
参考文献
- Byblos through the ages, Nina Jidéjian, Dar al-Machreq, Beyrouth, 1968
- Je m'appelle Byblos, ジャン=ピエール・ティオレ Jean-Pierre Thiollet, H & D, Paris, 2005 (ISBN 2 914 266 04 9)
- テンプレート:Cite book
関連項目
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