渦度
渦度(うずど、かど)は、流れの回転するありさまを表現する量である。渦度はベクトル量であり、流れの速度ベクトルのなすベクトル場の回転である。
渦度ベクトルΩは流速ベクトルv = (vx , vy , vz ) により、以下のように表される。
- <math>\begin{align} \mathbf{\Omega} &= \operatorname{rot} \mathbf{v} = \nabla \times \mathbf{v} \\
&= \begin{pmatrix}\dfrac{\partial v_z}{\partial y} - \dfrac{\partial v_y}{\partial z},& \dfrac{\partial v_x}{\partial z} - \dfrac{\partial v_z}{\partial x},& \dfrac{\partial v_y}{\partial x} - \dfrac{\partial v_x}{\partial y} \end{pmatrix}\end{align}</math>
渦度ベクトルを流線のようにつなげた曲線を渦線という。流れの中のある閉曲線上の各点を通る渦線によってできる曲面を渦管という。断面積を無限小にした渦管を渦糸という[注 1]。渦糸が閉曲線になっている場合、これを渦輪という[1][2]。
大気力学における渦度
大気力学においては、渦度ベクトルの中で3方向の成分の中で特に重要なのは鉛直方向の成分であり、これは鉛直渦度と呼ばれ、単に渦度といった場合、暗黙の了解として鉛直渦度を指すことが多い。鉛直渦度は、東西南北方向の長方形の単位領域に対して、長方形の辺に沿う方向の風速を考え、
- (上辺の西向きの風速-下辺の西向きの風速)/縦方向の距離 - (右辺の南向きの風速-左辺の南向きの風速)/横方向の距離
により与えられる。北半球においては、低気圧の鉛直渦度は正になり、高気圧の鉛直渦度は負になる。南半球においては逆符号になる。
地表からは静止しているように見える空気も地球の自転に伴って運動しているので、慣性系から見れば渦度を持っている。この自転に伴う渦度を惑星渦度という。惑星渦度は 2ωsinφ(ωは自転の角速度、φは緯度)である。惑星渦度と地表から見たときの風による渦度(相対渦度という)と足し合わせた渦度、つまり慣性系から見たときの風による渦度を絶対渦度という。
風に発散や収束が無い場合、空気が別の場所へ移動してもその空気の絶対渦度は保存される。大気中では500 hPaの面がこの状況に近い。そのため将来の渦度の分布を予測することが可能であり数値予報の重要な要素となっている。
脚注
参考文献
関連項目
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