大倉集古館
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大倉集古館(おおくらしゅうこかん)は、東京都港区虎ノ門二丁目にある、日本・東洋の古美術が中心の私立美術館である。運営は、公益財団法人大倉文化財団。
概要
明治から大正期にかけて大きな財をなした実業家大倉喜八郎が、長年に亘って収集した古美術・典籍類を収蔵・展示するため、1917年(大正6年)に財団法人大倉集古館として大倉邸の敷地の一角に開館したもので、日本最初の私立美術館である。開館からまもない1923年(大正12年)、関東大震災によって当時の展示館と一部の展示品を失い、一時休館を余儀なくされた。1928年(昭和2年)、建築家伊東忠太の設計による耐震耐火の中国風の展示館が完成し、翌年再開館した。その後昭和30年代にホテルオークラ東京の建設のため一部の建物が解体された。解体前の建築は現存する展示館から長い回廊が伸び六角堂を経て表門に至る壮大な建築であった。喜八郎の子大倉喜七郎も近代日本画などの収集品を館に寄贈している。
大倉邸跡に喜七郎により建設されたホテルオークラ東京本館と前述の通り隣接している。眼前は霊南坂という坂道になっており、坂道を介して対面には駐日アメリカ合衆国大使館がある。館の運営者は財団法人大倉文化財団であり、日本・東洋の絵画、書跡、彫刻、陶磁器、漆工、金工、刀剣、能面、能装束、考古遺物など約2,500点と中国の古典籍(漢籍)約1,000部を所蔵し、年間5回ほどの企画展を開催している。
2015年(平成27年)9月より開始されるホテルオークラ東京本館の建て替えに伴う施設改修工事のため、2014年(平成26年)4月より長期休館している。再開は2018年(平成30年)の予定。
主な収蔵品
国宝
重要文化財
- 絹本著色一字金輪像
- 絹本著色石清水八幡宮曼荼羅図
- 紙本著色賀茂競馬・宇治茶摘図 久隅守景筆 六曲一双
- 紙本著色鵜飼図 狩野探幽筆 六曲一双
- 絹本著色洞窟の頼朝 前田青邨筆 二曲一隻 昭和4年(1929年)
- 石造如来立像 北魏
- 長生殿蒔絵手箱
- 寿老図六角皿 尾形乾山作・尾形光琳画
- 短刀 銘則重
- 徐公文集(宋刊本)12冊
- 宋版大唐三蔵取経詩話3帖
- 宋版韓集挙正10冊
- 東大寺文書(屏風貼付)六曲一隻
その他
- 探幽縮図 狩野探幽筆(重要美術品)
- 宮川長亀『上野観桜図・隅田川納涼図』六曲一双(重要美術品)
- 椿椿山『蘭竹図』六曲一双(重要美術品)嘉永5年(1852)
- 冷泉為恭『仏頂尊勝陀羅尼神明仏陀降臨曼陀羅図』『山越阿弥陀図』(各重要美術品)
- 宇田荻邨『淀の水車』二曲一隻(1926)
- 横山大観『夜桜』六曲屏風一双(1929)
旧蔵品
外部リンク
- 大倉集古館
- 近代デジタルライブラリー 大倉集古館陳列品目録 1918年
- 公開された大倉集古館『歴史写真. 大正7年6月號』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)