古典的条件づけ
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古典的条件づけ(こてんてきじょうけんづけ)は学習の一形態であり、刺激の対呈示によって刺激間に連合が起こり反応が変容することである。レスポンデント条件づけ、パブロフ型条件づけとも呼ばれる。イワン・パブロフの条件反射研究がもとになった理論である。
刺激と反応
- 生体が本来持っている反応を無条件反応 (UCR; UnConditioned Response) という。
- (例)犬が唾液を分泌する。
- 無条件反応を起こす刺激を無条件刺激 (UCS; UnConditioned Stimulus) という。
- (例)犬に餌を食べさせる。
- 無条件反応を起こさない刺激を中性刺激という。
- (例)犬に音を聞かせる。(学習成立前)
- 中性刺激によって起こる反応を無関連反応という。
- (例)犬が耳をそばだてる。
中性刺激を与えた直後に無条件刺激を与えることを繰り返すと、(中性)刺激のみで(無条件)反応が 起こるようになる。これを古典的条件づけという。
- 古典的条件づけに基づく刺激を条件刺激 (CS; Conditioned Stimulus) という。
- (例)犬に音を聞かせる。(学習成立後)
- 古典的条件づけに基づく反応を条件反応 (CR; Conditioned Response) という。
- (例)犬が唾液を分泌する。(学習成立後)
様々な条件づけ
条件刺激を与えた直後に無条件刺激を与えることを強化という。条件反応が成立した後、条件刺激のみを与えて無条件刺激を与えないことを繰り返すと、条件反応が起こらなくなる。これを消去という。消去によって反応が起こらなくなったのち、休憩をはさんでふたたび条件刺激を与えたとき、条件反応が起こることを自発的回復という。
古典的条件づけのモデル
ドナルド・ヘッブは1949年、神経細胞間の結合強度(伝達効率)の変化によって古典的条件づけを説明できる仮説を提案した。こうした、神経細胞間の結合強度が刺激によって変化していく性質を、シナプス可塑性という。のちに生理学的にもその存在が確認され、ヘッブの法則(あるいはヘブ則)と呼ばれている。