互換性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Redirectlist テンプレート:出典の明記 互換性(ごかんせい、テンプレート:Lang-en)とは、ある部品コンポーネント(構成要素)などを置き換えても同様に動作させることができる性質のこと。特に工業製品では互換性を確保することで新たなシステムを用意する必要がなくなりコストカットが見込めたり過去の製品からの買い替えなどを進めることができたりするが、古い基準に縛られる側面もある。しかしながらまた、互換性を確保するために余計なコストがかかる場合は軽視されるほか、メーカー間の互換性はベンダロックインを狙うためあえて削ぐものもある。

互換性の種類

互換性はその性質により、以下のような種類がある。

相互互換性(テンプレート:Lang-en
機能・性能などが酷似しており、相互に置き換えが可能なこと。交換可能性とも呼ばれる。
前方互換性(テンプレート:Lang-en
新しいシステム向けのデータなどが古いシステムでも使用できること。
後方互換性(テンプレート:Lang-en
新たに作られる製品の機能が、旧世代での古い機能を満たすように考慮されること。
上位互換性
機能・性能・グレードが上位の製品が、下位の製品の機能ももつこと。
下位互換性
機能・性能・グレードが下位の製品が、上位の製品の機能をもつこと。

これらの語はしばしば混同される。特に後発の製品はそれ以前に発売されているものよりも機能や性能が優れていることが多く、これによって前方・上位互換性と後方・下位互換性の組はそれぞれ同義語のように扱うものもいるが、後から発売された製品が以前に発売された製品の廉価版であるときなどにこれは成り立たない。また、例えば互換性があっても上位性のないものを「上位互換」と呼ぶなどの誤用もまれに見られる。

互換性の実現

相互に互換性を有する部品コンポーネント(構成要素)は、なんらかの標準化された規格にしたがっていることが多い。これは、なんらかの機関団体によって規定されたデジュリスタンダードと、市場で大きなシェアをもつものに倣ったデファクトスタンダードの2通りがありいずれもその規格の範囲内で互いに交換することが可能である。

また、市場のシェアが大きいことなどを理由としてのちの製品に前方・後方互換を持たせることも多く、例えばビジネスで多くの文章が作成され、保存されているMicrosoft Officeは過去のバージョン製品とファイルをやりとりできるように新しいバージョンの製品にファイル形式の前方互換を持たせたり、USBメモリーなどでUSB2.0が普及したため後継のUSB3.0ポートでもUSB2.0に対応した周辺機器が接続できるよう後方互換を持たせたりといった例がある。また、ユーザーの慣れやユーザビリティも互換性を確保するための大きな理由となりうる。

利点・欠点

大まかに言えば既存のデータやシステム、知識などが無駄にならないことがユーザー側の視点に立ったときの利点であり、より効率のいい手段・方法があるにも関わらず古い方式(レガシーシステム)に拘束されてしまうため、互換性を確保しつづけるためのコストがかかってしまうことがメーカー側の視点に立ったときの欠点となる。PC/AT互換機BIOSのようにレガシーシステムのサポートが肥大化した結果、規格の拡張に支障を生じてしまうケースもある。

関連項目