マリネ
マリネとは、肉・魚(スモークサーモン、ニシンなど)・野菜(タマネギなど)等を、酢やレモン汁などからなる漬け汁に浸す調理法、またその料理を言う。「マリナード(仏:marinade)」、「マリネード(英:marinade)」とも呼ばれる。
素材に風味をつけたり、柔らかくしたりする目的の下ごしらえであるが、漬け汁につけた状態のままでも食される。一般に南欧の調理法として知られているが、実際には世界中で広く散見される。
漬け汁(これも「marinade」と呼ばれる)は、酢やレモン汁、ワイン、塩水などから作られる。風味を良くするために、油や香草・香辛料を加えることが多い。漬ける時間は比較的短く、多くは発酵を伴わない。
日本の南蛮漬けはマリネといえる。スペイン料理のエスカベチェ(Escabeche、エスカベッシュとも)などもマリネに該当する。中南米ではセビチェというマリネ料理がよく食べられている。
呼称について
日本語の「マリネ」はフランス語の「mariné」に由来するが、フランスではこの調理法・料理は、マリネではなく「マリナード」と呼ばれる。「mariné」は、動詞 「mariner(マリネにする)」の過去分詞、またはそこから派生した形容詞で、「マリネにされた」「マリネの」の意。したがって、現地でこの語を用いる場合は、「saumon mariné」といったように、必ず被修飾語を伴う。「mariner」の語源は、古フランス語の 「marin(「海の」の意)」と言われ、元々は海水に漬けていたことが示唆される。
日本語では、イタリア語由来の「マリナータ」も用いられる。イタリア語で「マリネする」を意味する動詞 marinare の過去分詞から派生した形容詞が marinato で、女性名詞を修飾する場合は語尾変化で marinata となる。また、marinata はマリネ用の漬け汁を表す名詞としても用いられる。
マリナード
漬け込むマリネ液をマリナードという。 ワインや酢、油、レモン汁などに香味野菜、香辛料、調味料を入れて作る。マリナードには非加熱、加熱、即席の種類がある。[1]。
- 非加熱マリナードは材料を混ぜてマリナードを作るとマリナードを加熱せずに食材を漬け込む。
- 加熱マリナードはマリナードの材料を加熱し冷めてから食材を漬け込む。比較的大きな塊肉などの風味をよくするために使われる。
- 即席マリナードは漬け込むというより振り掛けて風味付けをする。グリルの前や薄く切った魚など小さい材料で行われる。[1]
脚注
参考文献
- 辻静雄料理教育研究所(2012) 編著『フランス料理ハンドブック』柴田書店