ツワブキ

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テンプレート:生物分類表 ツワブキ(石蕗、艶蕗、学名Farfugium japonicum (L.) Kitam.[1]シノニムFarfugium tussilagineumLigularia tussilaginea )とはキク科ツワブキ属の多年草。イシブキ、ツワともいう。ツワブキの名は、艶葉蕗(つやばぶき)、つまり「艶のある葉のフキ」から転じたと考えられている。沖縄方言では「ちぃぱっぱ」という[2]

特徴

分布・生育環境

日本では本州福島県・石川県以西から四国九州琉球諸島大東諸島尖閣諸島を除く)に、日本国外では朝鮮半島中国台湾に分布する。低地から山地の日陰や海岸に多い。有毒物質のピロリジジンアルカロイドを含有している。

形態

多年草で、草丈は50cm程度。地下に短い茎があり、地上には葉だけが出る。葉は根生葉で葉身は基部が大きく左右に張り出し全体で円形に近くなる。長い葉柄を持ち、葉柄は大きく切れ込んだ葉身の中心につく。これらの点はフキによく似ている。その葉は厚くて表面につやがあり、緑色が濃く、若いときには綿毛が多い。花期は10-11月。葉の間を抜けて花茎を伸ばし、その先端に散房花序をつけ、直径5cm程度の黄色い花を数輪咲かせる。

フキが夏緑性であるのに対して、ツワブキは常緑性である。

利用

日陰でもよく育ち、園芸植物として、日本庭園の石組みや木の根元などに好まれる。斑入りの葉を持つものもある。

民間薬(生薬名たくご)として、茎と葉を打撲や火傷に用いる。フキと同じように茎を食用とすることもあり、フキを原料にした煮物と同様に「キャラブキ」と呼ばれることもある。

津和野町の名前の由来は「石蕗の野」であるという。

変種

リュウキュウツワブキ F. japonicum var. luchuense
奄美大島沖縄島西表島に分布する琉球諸島固有変種渓流植物。ツワブキとはの形が極端に異なり、円形からハート形をしているツワブキに対し、本変種は扇形からひし形をしており、葉面積が狭くなっている(狭葉現象)。これはツワブキが渓流環境に適応した結果であると考えられている[3]。沖縄島と西表島では比較的多いが、奄美大島では2つの河川に少数個体が点在するのみであり[4]環境省レッドリストで準絶滅危惧に、鹿児島県レッドデータブックで絶滅危惧I類に評価されている[5]
オオツワブキ F. japonicum (L.) Kitam. var. giganteum (Siebold et Zucc.) Kitam.[6]
九州の海岸に分布する[7]。ツワブキよりも大きくなり、葉身の幅が45cm、長さが35cmにもなり、花茎も1mになる[7]。花期は12-1月[7]。葉柄は食用となる[7]

脚注

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参考文献

  • 島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』 九州大学出版会、1997年、565-566頁、ISBN 4-87378-522-7。
  • 林弥栄編 『山溪カラー名鑑 日本の野草』 株式会社山と溪谷社、1983年、51頁、ISBN 4-635-09016-7。

関連項目

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  • 多和田真淳監修・池原直樹著 『沖縄植物野外活用図鑑 第5巻 低地の植物』 新星図書出版、1979年、180-181頁。
  • 土屋誠・宮城康一編 『南の島の自然観察』 東海大学出版会、1991年、ISBN 4-486-01159-7。
  • 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、339頁、ISBN 4-9901588-1-4。
  • "日本のレッドデータ検索システム「リュウキュウツワブキ」". (エンビジョン環境保全事務局). 2013年8月21日閲覧。
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html(2013年8月22日). 2013年8月22日閲覧。
  • 7.0 7.1 7.2 7.3 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎 他 『日本の野生植物 草本III合弁花類』 平凡社、1999年、新装版第1刷、ISBN 4-582-53503-8、p. 185