クロロエチレン

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テンプレート:Chembox クロロエチレン(chloroethylene)は、塩素ビニル基からなる有機化合物である。化学式はCH2=CHClである。塩化ビニル(vinyl chloride、ビニルクロライドバイナルクロライド)とも呼ばれる。IUPAC名はクロロエテン(chloroethene)。

付加重合させるとポリ塩化ビニルになる。

製法

クロロエチレンの工業的製法には、直接塩素化法とオキシ塩素化法がある。

直接塩素化法では、まず塩化鉄(III)を触媒としてエチレン塩素を反応させ、1,2-ジクロロエタン(エチレンジクロライド)を生成する。なお、この際に用いるエチレンはナフサ熱分解により、塩素は塩化ナトリウム(食塩)の電気分解により得られる。

CH2=CH2 + Cl2 → CH2ClCH2Cl

その後、1,2-ジクロロエタンを500℃、15-30気圧に加熱圧縮すると分解してクロロエチレンと塩化水素が生成する。

CH2ClCH2Cl → CH2=CHCl + HCl

工業的生産の場では、このとき副生成物として得られた塩化水素を空気(または酸素)と混合し、塩化銅(II)を触媒としてエチレンと反応させて更に1,2-ジクロロエタンを生成させる。これを直接塩素化法と同様に熱分解すればクロロエチレンが得られる。これをオキシ塩素化法という。

2 CH2=CH2 + 4 HCl + O2 → 2 CH2ClCH2Cl + 2 H2O

この2つの製法を併用すると、反応プロセス全体では結果的に副生成物が発生しないため、環境負荷を抑えることができるという特長を持つ。このため1950年代以降、この2つを併用した製法が広く普及した。

塩化ビニル(モノマー)の2008年度日本国内生産量は 2,763,040 t、工業消費量は 528,235 t である[1]

歴史

1835年にユストゥス・フォン・リービッヒとその教え子であるアンリ・ヴィクトル・ルニョーにより発見された。この時はジクロロエタンを水酸化カリウムエタノール溶液で処理して得られた。

安全性

塩化ビニル・モノマーはWHOの下部機関IARCより発癌性があると(Type1)勧告されている。これは、1974年に塩化ビニル樹脂製造に関わる労働者から肝血管肉腫(肝がんの一種)による死亡例が報告されたこと、以後の疫学調査で塩化ビニルモノマーへの曝露と肝血管肉腫との関連性が認められたこと、ラット等を用いた動物試験においても用量の増加と共に肝血管肉腫の増加が認められたことから提案された。かつて日本では、エアロゾルの噴霧助剤として使われていたが、1970年頃に使用禁止となった。しかし、これ以降もポリ塩化ビニル生産のために製造自体は継続されている。

脚注

  1. 化学工業統計月報 - 経済産業省

関連項目


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