イースの大いなる種族

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イースの大いなる種族(イースのおおいなるしゅぞく、Great Race of Yith)は、クトゥルフ神話作品に登場する架空の種族。人類以前に繁栄した「旧支配者」の一種族。イスの偉大なる種族との表記もある。

概要

イース(Yith)と呼ばれる滅亡しつつある銀河の彼方から6億年前の地球に到来した、実体を持たない精神生命体。時間の秘密を極めた唯一の種族であるため、畏敬の念を込めて、大いなる種族と呼ばれている。

以下の情報は、彼らによる精神交換を経験したミスカトニック大学のナサニエル・ウィンゲイト・ピースリー教授が学会誌「アフリカ心理学協会紀要」に寄稿した記録によるところが大きい。

投影による精神交換

別の生命体と精神を交換する能力をもち、種族の生命保存と知識の収集に活用している。精神を投影できる範囲は非常に広範で、時空を超えて別の銀河系や何億年もの未来や過去へ投影することもできる。

様々な時代や場所の知識を得るため、そこに住む知的生命体の中で最もふさわしい相手と一時的な精神交換をおこなう。 大いなる種族が新たな環境で調査活動をおこなう一方、精神交換を強制された相手ははるか未来、または過去に位置する大いなる種族の体に閉じ込められ、研究対象として情報・知識の提供を求められる。 なお、意外なことに彼らが外界の知識を記録する情報媒体は巻物である。

一連の調査が終わると、彼らは再び精神を転移して、お互いを元の身体に戻す。その際、相手が大いなる種族の下で得た記憶は抹消されるが、まれに記憶が断片的に残ったり、夢に現れたりすることがある。その場合、同じ時代に転移している同胞たちにより、隠蔽工作がなされる。

また、大いなる種族の知識を信奉する集団や異端宗派が、その知識と引き換えに彼らの活動を支援することもある。

肉体の寿命が尽きかけた個体が、死を免れるために精神交換をおこなう場合もあるが、そういったことは非常にまれである。 しかし、種族全体に避けられない脅威が迫った場合は、一斉に精神交換をおこない、他の場所や時代に棲む知的生命体の肉体へと移ることによって破滅を逃れる。

6億年前にオーストラリア大陸に生息していた巨大な円錘体生物(後述)と精神を交換して地球に来訪した。そして先住種族であった浮遊するポリプ状の生物、「盲目のもの」(flying polyp)を駆逐、地下へ封じ込めることに成功し、地球の支配者になった。

やがて未来から得た知識により、盲目のものたちが再び地上へ侵攻することを知った彼らは、そのときが訪れる直前、現人類の次に栄えることになる「強壮な甲虫類」の肉体に転移し、逃亡する。

その後、地球の終焉が近づくとさらに、水星の球根状植物に宿ることになるという。

外見

テンプレート:Wikisourcelang 精神生命体である「大いなる種族」の本来の姿は不明であるが、彼等が初出したハワード・フィリップス・ラヴクラフトの『時間からの影』(超時間の影、The Shadow Out of Time)に取り上げられている、6億年前から1万年前までの地球で彼らが使っていた肉体について説明する。

胴体は底部の直径が約3m、高さが約3mの円錐体で、虹色の鱗に覆われている。 底部は弾力性のある灰白色物質で縁取られており、ある種の軟体動物のように這って移動するのに用いられる。

円錐形の頂部から伸縮自在の太い円筒状器官が4本生え、2本は先端にハサミを備え、重量物の運搬および擦りあわせての会話に使われる。1本は先端に赤いラッパ型の摂取口が4つあり、最後の1本には頭部がついている。

頭部は黄色っぽい歪な球体で、円周上に大きな眼が3つ並び、上部からは花に似た聴覚器官を備える灰白色の細い肉茎が4本、下部からは細かい作業に使われる緑色がかった触手が8本、垂れ下がっている。

彼らは半ば植物的な生命体で、水中で成長する胞子単為生殖をおこなう。

関連項目

テンプレート:クトゥルフ神話/作中事項