公倍数
公倍数(こうばいすう)とは、2つ以上の正の整数の、それらに共通する倍数のことをいう。例えば、<math>2</math>と<math>3</math>の公倍数は<math>0,\ 6,\ 12,\ 18,\ \ldots</math>である。ただし、算数では、倍数に<math>0</math>を含めないので、公倍数にも<math>0</math>を含めない。
<math>0</math>以外の公倍数のうち、最小のものを最小公倍数という。上の例でいうと、<math>2</math>と<math>3</math>の最小公倍数は<math>6</math>である。
与えられた2つ(以上)の数に対し、それら全てを掛け合わせたものは、それらの数の公倍数になるが、最小公倍数になるとは限らない。例えば、<math>4</math>と<math>6</math>の最小公倍数は<math>12</math>であるが、<math>4 \cdot 6 = 24</math>である。
一般化
二つの整数<math>m,\ n</math>の公倍数とは、<math>m</math>の倍数全体の集合<math>m \mathbb{Z} = \{mk|k</math>は整数全体を動く<math>\}</math>、<math>n</math>の倍数全体の集合<math>n \mathbb{Z} = \{nk|k</math>は整数全体を動く<math>\}</math>の集合の共通部分<math>m \mathbb{Z} \cap n \mathbb{Z}</math>に属する整数のことである。
<math>m \mathbb{Z} \cap n \mathbb{Z}</math>はある整数<math>c</math>を用いて<math>c \mathbb{Z} = \{ck|k</math>は整数全体を動く<math>\}</math>の形に表すことができる。このような<math>c</math>は正と負の2つが存在し、正の方を<math>m</math>と<math>n</math>の最小公倍数という。これらの概念は<math>m,\ n</math>が正の整数のとき、既に定義したものと一致する。
この定義に現れる「整数」を一般の「単項イデアル整域の元」に取り替えても、全く同様の概念として公倍元・最小公倍元を定義できる。一般の環では、公倍元は定義できるが最小公倍元の存在は必ずしもいえない。