法律の留保
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法律の留保(ほうりつのりゅうほ、独:Vorbehalt des Gesetzes)は、オットー・マイヤーが提唱した概念で法律による行政と法律の留保型人権保障の2種類の意味がある。前者は主に行政法学にて用いられ、後者は主に憲法学にて用いられる。
法律による行政
法律の留保の範囲
- 権力留保説
- 公権力の行使として行われる行政活動には、法律の根拠が必要であるとする見解。侵害的行政活動であるか、受益的行政活動であるかを問わず法律の根拠を要求する。現在の有力説
- 侵害留保説
- 個人の権利または自由の侵害にわたる場合に法律の根拠が必要であるとする見解。補助金の交付などの授益的行政活動については、法律の根拠は不要であるとする。
- 判例・実務での見解。
- 本質留保説
- 侵害留保説を中核としながら、国土開発計画のような基本的人権にかかわりのある重要な行政活動については、その基本的内容について、法律の授権を必要とする見解。
- 全部留保説
- 行政活動の全部において法律の授権を必要とする見解。
法律の留保型人権保障
- 国民の人権は法律が認める範囲内においてのみ認められるに過ぎないという留保がつく体制をいう。つまり、法律を制定すれば自由に人権を制約し得るということになる。日本国憲法下では認められていない。