ノクターン号
テンプレート:Vertical images list ノクターン号(ノクターンごう 英称:The nocturne)は、神奈川県横浜市、東京都港区と青森県弘前市、五所川原市とを結ぶ夜行高速バス。日本の夜行高速バスとしては初めて大都市と地方中核都市を結んだ長距離路線で、その後の都市間輸送のあり方に一石を投じることになった路線である。
概要
東京・横浜と弘前・五所川原を夜行で結ぶ高速バス路線である。
弘前と盛岡を結ぶ高速バス「ヨーデル号」の利用状況が好調であったが、利用者の60%が弘前から東京への流動[1]で占められていることが判明した[2]。このため、弘南バスでは東京へ直行するバスにも需要が認められると判断、夜行バスの新規路線運行計画を立案した。共同運行事業者として、それまで帰省バスの運行支援などで実績のあった京浜急行電鉄を選ぶことになった。
当初は採算性を疑問視するバス会社が多く、当事者である弘南バスと京浜急行電鉄も需要に不安はあった[3]。しかし、開業直後より利用客が激増、需要に対する懸念は杞憂のものとなり、大都市と地方の中核都市のバス事業者が共同で運行する好例として注目を集めた。また、高速バスが全国的な報道メディアで取り上げられた最初の路線でもあった[3]。その後、横浜線の新設や五所川原への延伸、スーパーシートの設定(現在は終了)など積極的に施策が講じられている。
2002年10月より昼行便の「スカイターン号」を新設したが、利用低迷により[4]2006年9月に青森上野号(現・スカイ号)に統合する形で廃止されている。
また、高速バスのセオリーとしての「大都市 - 県都」という考え方から逸脱したルートと思われているが、青森県は行政都市としての青森市、商業・学術都市としての弘前市(他に商業都市として実力のある八戸市)と県内の都市機能が分散されていたという地方の実情にそれまで気づかなかったものであり、それまでの常識を覆し、他地方においても収益路線の発掘に貢献した路線として知られている。
運行会社
運行系統および停車停留所
2008年9月1日現在。
凡例 ○:乗車のみ取り扱い ●:降車のみ取り扱い ↓↑:通過又は経由せず
所在地 | 停留所名 | ノクターン号(夜行便) | 備 考 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
横浜 ↓ 五所川原 |
横浜 ↑ 五所川原 |
品川 ↓ 五所川原 |
品川 ↑ 五所川原 |
品川 ↓ 弘前 |
品川 ↑ 弘前 | ||||
神奈川県 | 横浜市 | 横浜駅東口バスターミナル | ○ | ● | |||||
東京都 | 港区 | 品川バスターミナル | ↓ | ↑ | ○ | ● | ○ | ● | |
浜松町バスターミナル | ○ | ● | ○ | ● | ○ | ● | |||
青森県 | 弘前市 | 弘前バスターミナル | ● | ○ | ● | ○ | ● | ○ | |
さくら野弘前店 | ↓ | ↑ | ↓ | ↑ | ● | ○ | |||
五所川原市 | 五所川原駅前 | ● | ○ | ● | ○ |
- 繁忙期に増発便を運行する場合は、浜松町バスターミナル始発便が設定される場合がある。
- 乗務員の休憩として、佐野・国見・紫波の3箇所で停車する。ただし、繁忙期に増便される便で、4列シート車で運行される便に限り、開放休憩が行われる。
運行回数
ノクターン号
- 横浜・浜松町~弘前・五所川原間 - 1日1往復
- 品川・浜松町~弘前・五所川原間 - 1日1往復
- 品川・浜松町~弘前間 - 1日1往復
- 各系統とも浜松町バスターミナル(下り)・弘前バスターミナル(上り)を同時刻に発車(実際の運行体制は#車両の項を参照のこと)。
歴史
- 1986年12月26日 - ノクターン号を新設。弘前バスターミナル~ホテル・パシフィック・メリディアン東京(品川)間運行開始。
- 1989年1月14日 - 品川バスターミナル乗り入れに伴い、ホテル京急への乗り入れを廃止。
- 1990年4月26日 - 横浜線を新設。弘前ビブレ(現・さくら野弘前店)~横浜間運行開始。
- 2000年10月2日 - 女性専用車両と往復割引運賃を新設。
- 2002年7月1日 - 昼行便のスカイターン号を新設。
- 2005年12月1日 - スカイターン号の京浜急行バス担当便を京急観光バスへ移管。
- 2006年9月1日 - スカイターン号廃止。
- 2006年11月1日 - 横浜線の起終点を五所川原駅に変更。
- 2008年9月30日 - 品川 - 五所川原線(4号車)、月曜日~水曜日の運行を休止(繁忙期を除く)。品川 - 弘前線の2号車に設定してきた女性専用車両の運行を終了[5]し、通常車両での運行に変更。
- 2011年9月1日 - 回数券と学生割引を新設。
- 2012年12月1日 - この日の品川出発の便をもって、弘南バス車両に設定されていたスーパーシートが廃止[6][7]。
- 2013年9月29日 - この日をもって、回数券の販売を終了。なお、お手持ちの回数券については、有効期限内であれば、そのまま利用出来る。また、払い戻しを希望する場合は、手数料無しで払い戻しを行う。
- 2013年11月1日 - この日乗車分から、曜日別運賃が適用(実質の運賃値下げ)。なお、年末年始等、繁忙期は適用除外日がある。[8]
- 2014年4月1日 - 消費税増税に伴い、運賃値上げ。なお、曜日別運賃は、消費税増税分の値上げがあるものの、継続する。
車両
号車 | 運行区間 | 運行担当会社 | 座席仕様 | 備 考 |
---|---|---|---|---|
1号車 | 横浜 - 五所川原 | 京急 / 弘南(隔日運転) | 3列独立 | |
2号車 | 品川 - さくら野 | |||
3号車 | 品川 - 五所川原 | 繁忙期を除く月曜~水曜は運休 | ||
4号車 | 京急 / 弘南いずれか | |||
5号車 | 横浜 - 五所川原 | 運行区間を品川 / 弘前に変更する場合あり | ||
6号車 | 品川 - 弘前 | 運行区間を浜松町 / 五所川原に変更する場合あり | ||
7号車 | 運行区間を浜松町 / 五所川原に変更する場合あり | |||
8号車以降 | 弘南バス | 4列 | 運行区間を浜松町 / 五所川原に変更する場合あり |
- 通常は1~3号車の3台体制で運行。4~7号車は週末等に運行される場合がある。8号車以降はGW、お盆、年末年始等の繁忙期に運行される。
- 運行開始当初は「NOCTURNE」の文字をあしらったノクターン号オリジナルの塗装だったが、現在は両社とも独自塗装の車両を使用している。また、一部では2列+1列シートの車両も運用されていた。
- かつて設定されていたスーパーシートには個室カーテンが装備されていた。但し、3,870円の追加料金が必要であり、往復割引運賃が適用されないなど利用条件が異なっていた。
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弘南バス初代ノクターン専用車 日野・ブルーリボン
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弘南バス初代ノクターン専用車 三菱ふそう・スーパーエアロ2
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弘南バスノクターン専用車 三菱ふそう・スーパーエアロ2
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弘南バス初代ノクターン専用車 日野・ブルーリボン
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京急バスノクターン専用車 三菱ふそう・スーパーエアロ2
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京急バスノクターン専用車 三菱ふそう・エアロクィーンM
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弘南バスノクターン専用車(スーパーシート設置車) 三菱ふそう・エアロバス
乗車券
乗車の31日前より京浜急行と京急観光の各窓口、ルトラン上大岡、ルトラン横須賀中央、弘南バスと弘南観光の各窓口、JTBなど主要旅行会社で受け付ける。10日以内に往復利用する場合は繁忙期を除き往復割引運賃が適用される。
その他
- HTBのTV番組『水曜どうでしょう』の企画「サイコロ6」では、「キング・オブ・深夜バス」と称された「はかた号」に対して、ノクターン号は「東日本の女王」と紹介された。
- 年間の利用者数は約7万7千人で、関東~東北間を結ぶ夜行高速バスでは最も利用者が多い。「平成18年度における管内高速バス輸送実績(国土交通省東北陸運局 2007年8月9日)」より。
- 2006年12月に運行開始20周年を記念し、京急バスと弘南バス共同で「ノクターン号」運行開始時の車両・塗装をモデルにしたチョロQを制作した。
関連項目
注記
- ↑ 当時、東北新幹線は盛岡駅が終点だったため、新幹線を利用する乗客による利用のこと。
- ↑ 鈴木文彦『高速バス大百科』p113
- ↑ 3.0 3.1 鈴木文彦『高速バス大百科』p114
- ↑ 鉄道ジャーナル2003年10月号の記事によれば、キャンペーンとして往復割引運賃を設定した際には、乗客数は1便平均20人程度あったものの、通常期は1便平均10人前後と低迷していた。
- ↑ その代替として、「パンダ号」に女性専用車両が設定された。
- ↑ 高速バス ノクターン号スーパーシート車両運行終了について(京浜急行バス トピックス 2012年10月24日)
- ↑ テンプレート:PDFlink(弘南バス 2012年10月19日)
- ↑ ノクターン号 運賃改定のお知らせ - 弘南バス・2013年9月20日リリース
参考文献
- 鈴木文彦「新版 高速バス大百科」中央書院、1991年11月 ISBN 492442062X
外部リンク