醸造アルコール
醸造アルコール(じょうぞうアルコール)とは、食用に用いられるエタノールのこと。醸造用アルコールともいう。主に日本酒(清酒)などの増量、品質調整、アルコール度数の調整などに用いられる。衛生管理が不十分だった時代においては清酒を腐敗させる乳酸菌の一種である火落菌の増殖を抑える効果もあったが、現在ではその意味合いはなくなっており、火落ち菌の増殖は火入れによって防止できる。普通酒や三倍増醸清酒とは違い、吟醸酒や本醸造酒は、原料となる白米の重量の10%以下と添加量の上限が定められており、かさ増しを目的としていない[1][2]。 醸造アルコールを添加した日本酒(清酒)は厳密には醸造酒ではなく混成酒である(リキュールではない)が、日本の酒税法上は一括して清酒として扱われる。
カクテル・リキュールのベースとしても広く用いられている他、アルコール度数を36度未満にしたものは焼酎(甲類)として販売されている。
味噌や醤油などの食品製造でも使用される発酵法によって製造された工業用アルコール(エタノール)は、管轄が経済産業省であるという点と酒税がかからないという点を除けば醸造アルコールと同じものである。しかし、工業用アルコールとは異なりエチレンを原料とする合成法で製造されたアルコールを醸造アルコールとして用いることはできない(合成アルコールは食品衛生法により、食品添加物としても使用できない)。また、工業用アルコールは不正に転用されないようアルコール事業法により製造・販売・使用が厳しく規制されている。 一般に市販されている工業用アルコールや燃料用アルコールには飲用に用いられないように有毒なメタノールやイソプロパノールが添加されている(変性アルコール)。
日本での定義
「清酒の製法品質表示基準」(平成元年国税庁告示第8号)により以下のとおり定められている。
「醸造アルコールとは、でんぷん質物又は含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいうものとする。」
主な原料
以下に挙げる原料を発酵させ連続式蒸留機で蒸留する。