2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸
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テンプレート:Chembox 2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(—さくさん、2,4,5-trichlorophenoxyacetic acid, 略称 2,4,5-T)は、現在認可されていない広葉用除草剤・化学合成農薬である。2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)と構造的に似通っており、2,4-D同様、植物ホルモンであるオーキシン様の作用を示す。除草の仕組みも同様であるが、2,4-Dよりもイネ科植物への作用が大きい。また、ミカン、リンゴなどの落果防止、果実肥大の効果もある。
ベトナム戦争で使用された枯葉剤は 2,4,5-T と2,4-Dの混合物であるが、合成過程でダイオキシン類の一種2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)を生成し、さらに一般の2,4,5-T剤よりTCDDをはるかに多く含んでいたため問題となった。
2,4,5-Tはかつて日本国内でも除草剤として使用され、ベトナム戦争で問題になった後、多くが埋設処理された(1975年に農薬登録は失効した)。国有林野においても全国で数十箇所が埋設されたが、埋設場所の一部は、今となっては特定できないため、問題がより深刻化している。
当時の林野庁は、埋設方法について「一カ所あたりの埋設量は300kg以内。セメント1、水0.6、土4に、埋設する枯葉剤の10倍の量の土を練り込んで、コンクリート詰めにする」との指示を出した。しかし、実際には杜撰な埋設が行われていた。現に1984年には、愛媛県津島町(現在の宇和島市)の八面山で、缶に入った枯葉剤をビニール袋で包んだだけで放置されていたため、ダイオキシンが大量に流出し、被害が出た。