アイガー
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アイガー (Eiger) は、ベルナーアルプスの一峰でスイスを代表する山。標高は3,970m。アイガーから発し、アイガー西壁の麓、メンヒとの間にはアイガーグレッチャーの氷河が流れる。
概要
ユングフラウ、メンヒと並び、いわゆるユングフラウ三山の一つとされる。アイガー北壁は、高さ1,800mの岩壁で、グランドジョラスの北壁、マッターホルン北壁とともに、困難な三大ルートの一つとして知られ、アルプスの三大北壁と呼ばれている。アイガーの北壁は、1934年~1958年までに25回の登頂が試され、13回67名が登頂に成功したが、15名の死者が出ている。
登頂歴
- 1858年8月11日、チャールズ・バリントンとガイド2名が初めて登頂に成功する。
- 1871年7月14日、南西稜からの登頂に成功。
- 1876年7月31日、南尾根からの登頂に成功され、北東山稜だけが未踏破となる。
- 1921年9月10日、日本の槇有恒の隊によって北東山稜(ミッテルレギ稜)から初登頂する。その成功はアルプス登山史上に一期を画しただけでなく、日本の登山に大きな影響を与えた。
北壁の登頂歴
- 1934年、ドイツのW・ベックとG・レーヴィンガーが史上初のアイガー北壁挑戦を試みるも、標高2,900m付近から滑落して死亡。
- 1935年8月21日、マックス・ゼドゥルマイヤーとカール・メーリンガーが北壁に挑んだが、第3雪田の上の標高3,300m付近で凍死する。それ以降、この場所は「死のビバーク」と呼ばれるようになった。
- 1936年7月18日、ドイツのアンドレアス・ヒンターシュトイサーとトニー・クルツ、オーストリアのエディー・ライナーとヴィリー・アンゲラーの2隊が競いながら登頂を目指し、ヒンターシュトイサーが第1雪田の下の難しいトラバース(ヒンターシュトイサー・トラバース)に成功、さらに「死のビバーク」を越える位置まで登攀する。しかしアンゲラーが負傷したことから2隊は助け合いながら下山することを決定、天候の悪化からビバークを余儀なくされる。7月21日、ザイルを回収してしまったことが仇となってヒンターシュトイサー・トラバースで行き詰る。このため北壁に開いているアイガーヴァント駅の坑道からの脱出を試て懸垂下降を繰り返したものの、クルツを除く3人が墜落などで相次いで死亡。クルツも救助隊の元にザイルで下りる際にカラビナにザイルの結び目が引っかかるという悲劇に見舞われ、体力を消耗し切っていたために結び目を外すことが出来ず、ザイルにぶら下がったまま、7月22日、「もうダメだ」の一言を残して力尽きる。救助隊のわずか数メートル上であった。この事件により、ベルン州の州議会は北壁の登攀を禁止する決議を採択する(翌年、条件付きで緩和)。
- 1938年7月24日、アンデレル・ヘックマイヤー、ルートヴィヒ・フェルク(ドイツ人隊) ハインリッヒ・ハラー 、フリッツ・カスパレク(オーストリア人隊)がアイガー北壁初登頂。両隊は登頂開始時は別々のパーティだったが、後から登頂に挑んだドイツ人隊がオーストリア隊に追いついた時点で同一パーティを組み、初登頂に成功した。
- 1947年、リオネル・テレイ、ルイ・ラシュナル(フランス隊)が第二登。
- 1961年3月12日、トニー・キンショーファーら4人が冬季初登頂。
- 1963年8月3日、マイケル・ダルベレーが北壁の単独初登頂。
- 1964年9月3日、デイジー・フォーグが女性初登頂。
- 1965年8月16日、高田光政が日本人初登頂。登頂まであと300mというところで、パートナーの渡部恒明が墜落・負傷したため救助を求めるために山頂を経由した際に達成。しかし渡部はその間に謎の墜死を遂げた。一説には骨折の痛みと孤独に耐えきれずに自らザイルを解いたとも言われている。これをもとに新田次郎は「アイガー北壁」という小説を書いている。
- 1969年7月、辰野勇が、日本人としては二人目となる北壁登頂に成功。当時の世界最年少記録(21歳)。
- 1969年8月15日、加藤滝男、今井通子、加藤保男、根岸知、天野博文、久保進の6人が、夏期世界初直登。冬期直登ルートが夏場は通れないため、「赤い壁」を経由。現在でも最短直登ルート「ジャパン・ダイレクト」として名が残っている。加藤滝男が山頂直下でザイル無しで墜落したが、運良く固定ザイルに引っかかって九死に一生を得た。
- 1970年1月27日、森田勝、岡部勝、羽鳥祐治、小宮山哲夫の4人が、冬季日本人初登頂。
- 1970年3月21日、遠藤二郎、星野隆男、小川信之、三羽勝、嶋村幸男、高久幸雄、深田良一の7人が、冬季直登日本人初登頂[1]。
- 1978年3月9日、長谷川恒男が冬季単独初登頂[1]。
- 2008年2月13日、ウーリー・ステックが2時間47分33秒で登頂し、自らが持つ冬期単独登頂の最速記録を更新。
アイガーを舞台とした作品
- 北壁の死闘(ボブ・ラングレー) - 主人公は前項のヒンターシュトイサー達が遭難した登山行に参加する予定であったが、恐怖心から直前になって参加を諦めた(代わりにアンゲラー達が参加したことになっている)経歴の持ち主である、という設定。主人公の回想シーンで遭難事故の状況が史実に沿った形で語られている。救助隊の目前で凍死したクルツの悲劇的な最期が詳述されている。
- アイガー・サンクション(トレヴェニアン)
- アイガー北壁(新田次郎)
- アイガー北壁(2008年のドイツ映画)
- 運命を分けたザイル2(2007年のイギリス映画) - ドキュメンタリー映画であるが、前項のヒンターシュトイサーらの遭難の顛末がドラマで再現されている。
- グランツーリスモシリーズ(レースゲーム) - アイガー北壁コースという名称でグランツーリスモHDコンセプトで初登場。グランツーリスモ5プロローグにも登場し、グランツーリスモ5ではオリジナルコースとなっている、またダートコースが追加された。
アイガーの姿
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外部リンク
- KleineScheidegg.jpg
クライネ・シャイデック峠から
- Eiger met Grindelwald, Zwitserland.jpg
グリンデルヴァルトとアイガー
- Eiger NE NW FromEastOfGrindelwald.jpg
北壁を間近から
- North face.jpg
北壁を正面から